プラスティック系床材とは、塩化ビニル樹脂を主な原料としたビニル床タイルやビニル床シートのことです。
マンションなどの共同住宅の共用部分や店舗や学校、病院、その他の公共施設の床仕上げ材として施工されているほか、一般住宅でも水回りの床仕上げ材として利用されています。
プラスティック系床材は下地に接着剤で貼るだけですが、施工品質管理が非常に重要な床材です。
プラスティック系床材の特徴と施工方法、施工時の注意点について解説します。
記事のポイント
- プラスティック系床材の種類と特徴が分かる
- プラスティック系床材の施工方法が分かる
- プラスティック系床材の施工時の注意点が分かる
プラスティック系床材とは
プラスティック系床材は、塩化ビニル樹脂を主な原料とした床材のことで、ビニル系床材とも呼ばれます。
水を通さない素材であることから、水まわりの床材として使われることが多いです。
一般住宅では、クッションフロア、フロアタイル等として知られています。
プラスティック系床材の特徴
プラスティック系床材は、他の床材と比較した場合、次のような特徴があります。
デザイン性に優れている
塩化ビニル樹脂が主な原料のため、着色加工、印刷、エンボス加工などにより、様々なデザインを生み出すことができます。
木質系フローリング材に似せることもできますし、石やタイルに似せることも可能です。
また、木材や石、タイルなどでは表現することが難しいデザインやアート系のデザインの床材を作ることもできます。
弾力性を持たせることができる
発泡層と一体化した積層構造とすることにより、弾力性を持たせることが可能になります。
医療機関や介護施設、福祉施設では、患者や利用者が転倒した場合に大怪我することを避けるために弾力性のある床材を採用することがあります。
このような場合、掃除しやすく弾力性にも優れたプラスティック系床材が最適な選択になります。
様々な施設に施工できる
プラスティック系床材は一般住宅では、クッションフロア、フロアタイルとして使われていますが、店舗や学校、病院、その他の公共施設でも採用されることが多いです。マンションなどでは、廊下や階段などの共用部分でも採用されやすい床材です。
また、屋内だけでなく、屋外の床材としても使われています。
様々な下地に施工できる
フローリングの下地と言うと、一戸建てでは、ラワン合板やコンパネと言った木質系の下地材が一般的です。
プラスティック系床材は、こうした木質系の下地材に限定されるわけではなく、コンクリート、石、金属、プラスティックなどの下地に施工することも可能です。
短期間で施工できる
プラスティック系床材は、接着剤により下地材に貼り付ける乾式工法で施工されます。そのため、湿式工法で施工するタイルや石などと比べると施工時間を約20分の1に短縮することができます。
また、養生期間が短い点も特徴です。
タイルや石の場合は、セメントが乾くまで歩行することができませんが、プラスティック系床材は、施工直後から歩行が可能になります。
そのため、マンションの共用部分や商業施設、公共施設の床を施工する際に有利になります。
改修しやすい
木質のフローリング材やタイル、石の床材を剥がして改修する場合は、剥がすにも時間がかかりますし、下地も作り直さなければならないこともあります。
プラスティック系床材の場合は、剥がしやすいため、改修しやすいという特徴があります。
また、ビニル樹脂系廃材はリサイクル技術が確立していますし、グリーン購入法の特定調達品目適合品にもなっているものもあり、リサイクル性にも優れています。
プラスティック系床材の種類
プラスティック系床材は、様々な商品がありますが、主に次のようなものが知られています。
- コンポジションビニル床タイル:ビニル系樹脂と可塑剤などが30%未満で難燃性が高い。耐薬品性、耐水性にも優れ、変形や反りも生じにくい。店舗、事務所、学校などで利用されている。
- 複層ビニル床タイル:ビニル系樹脂と可塑剤などが30%以上含まれる。色彩が鮮明で高級感、意匠性に優れている。
- ビニル床シート汎用品(長尺塩ビシート):純度の高い塩化ビニル樹脂が使われ、表層が耐摩耗性、耐薬品性、耐傷性など様々な性質面で優れている。比較的廉価のため、汎用床材の代表例となっている。
- 防滑性ビニル床シート:凹凸(エンボス)加工が施されている。マンションなどの共同住宅の共用廊下や階段で使われている。
- クッションフロア:透明塩ビ層の表層と裏打ち基材の発泡層で形成される。表層は耐摩耗性、防汚性、発泡層は保温性、衝撃吸収性、防音性に優れている。一般住宅の水周りで使われることが多い。
- インレイドシート:ビニルチップを透明塩ビ樹脂で固め、不織布などを裏打ちしたもの。耐久性やデザイン性に優れている。
プラスティック系床材の選び方で迷ったら
プラスティック系床材は、様々なメーカーからたくさんの商品が出されています。
大きく分けるとビニル床タイルとビニル床シートの2種類ですが、さらにデザインや機能性で、様々な商品に分かれているため、どれを選択したらよいか迷われる方も多いと思います。
「KIREI produce」では、お客様の現場の状況を確認し、用途をお聞きした上で、最適なプラスティック系床材を提案することができます。また、施工時も品質管理を徹底し、お客様にご満足いただける仕上がりを目指します。
プラスティック系床材の選択で迷われている方は、お気軽にお問い合わせください。
プラスティック系床材の施工方法
プラスティック系床材は、下地に接着剤をつけて貼り付けるだけなので、比較的簡単そうに見えるかもしれませんが、まっすぐに貼ることは意外に難しいものです。
プラスティック系床材は、形状からビニル床タイルとビニル床シートの2種類に分類できます。それぞれの施工方法を確認しましょう。
ビニル床タイルの施工方法
約450×450mmといったサイズのビニル床タイルを一枚一枚敷いていく形で施工します。
ビニル床タイルは隙間なく敷きますが、タイルと同じようにまっすぐに貼ることが非常に難しく、高い技術力が求められます。
下地調整
ビニル床タイルは下地が強固で、平滑でなければうまく施工することができません。
また汚れやワックスがついている場合は、接着不良の原因となるため、丁寧に掃除してふき取ります。
隙間や段差がある場合も平滑になるように補修を行います。
割付け
部屋の床の寸法を測り、部屋の中心に基準線を墨打ちします。
左右の基準線が交わる中心部分から部屋の隅に向かって、一枚ずつビニル床タイルを敷いていくわけですが、基準線の長さから面積を計算し、必要なビニル床タイルの枚数を確認します。
接着剤の塗布
基準線を十字に打つことで部屋が四分割されます。そのうちの4分の1の部分に接着剤を塗布します。
接着剤は貼付け可能時間が指定されているため、その時間内に施工できる範囲のみに接着剤を塗布します。
ビニル床タイルの貼り付け
基準線に沿って、ビニル床タイルを一枚一枚貼り付けます。貼り付けする方向は、基準線が十字に交わる中心点から、部屋の隅に向けて貼り広げる形になります。
隅の部分はタイルを切込む
隅の部分のタイルはそのままでは合わないため、切込みを行います。
切込みを行うタイルを一枚手前のタイルの上にのせて、定規として使用するタイルを壁に沿わせて、切込みをするタイルの上に乗せて、その端をカットします。
ビニル床タイルの圧着
ビニル床タイルにローラーを押し付けて十分に圧着します。貼付け後30分以内に行うことがポイントです。
養生時間を置く
ビニル床タイルを貼り付けた直後は十分な接着強度が出ていません。
- 溶剤形および反応形接着剤は48時間
- ラテックス形・エマルション形接着剤は7日間
これだけの期間を置かないと完全に接着しないので注意が必要です。
ビニル床タイルの施工の注意点
ビニル床タイルを施工する際はその性質からしていくつかの注意点があります。
冬期は室温を上げる
ビニル床タイルは温度による影響を受けやすい素材です。寒い時は固くなりますし、暑い時は柔らかくなります。
冬期はビニル床タイルが固い上、接着剤がなじみにくく、圧着がうまくいかないことがあるため、室温を10℃以上に上げて、ビニル床タイルも室温に馴染んでから施工する必要があります。
高温も避ける
ビニル床タイルは温度変化によって寸法が変化することがあり、特に高温にさらされた場合は変形やへこみが生じてしまうことがあります。 トーチランプで温めながら貼る場合でも焦げないように注意が必要です。
品番・色番・ロットによりばらつきがある
ビニル床タイルは、寸法が完全にそろっているとは限らず、品番・色番・ロットにより、寸法にばらつきがあることもあります。
そのため貼り付け時には、寸法調整が必要になります。
大面積を貼るときは特に丁寧さが求められる
ビニル床タイルは、1枚の面積が小さく目地が多いことから、大面積に貼るときは、目地のずれが生じやすいので注意が必要です。
また、目地が多いことから、接着剤が目地から染み出てきて、表面を汚してしまう危険もあります。接着剤のにじみはその都度丁寧にふき取っておく必要があります。
ビニル床シートの施工方法
ビニル床シートは、長尺のため、一気に貼ることができますが、接合部分の施工は特に丁寧にやらないと、継ぎ目が目立ってしまうため注意が必要です。
下地調整
下地が強固で、平滑であることを確認し、段差や隙間を補修します。また、ワックスや汚れを丁寧に取り除きます。
割付け
部屋の床の寸法を測り、部屋の中心に基準線を墨打ちします。
ビニル床シートを仮敷き
ビニル床シートは、巻かれた状態で現場に持ち込まれるため、そのままでは巻き癖が残ってしまいます。
そのため、いったん広げて巻き癖を直す必要があります。特に冬期は巻き癖が直りにくいため、念入りに直します。
ビニル床シートの切込み
壁際などの部分を巾定規等で切り込みます。ビニル床シート同士の接合部も直線が出ているとは限らないため、適示カットします。
下地に接着剤を塗布する
一旦、ビニル床シートを剥がして、下地に接着剤を塗布します。
ビニル床シートを貼り付け圧着する
接着剤の貼付け可能時間と圧着時間は指定されているため、その時間内に、貼り付けて圧着を行います。
空気だまりを残すと、膨れの原因になるため、しごき板などで目地の方向に押し出します。
また、接合部は、けがいてからカットします。
養生期間を設ける
接着強度が出るまで24時間以上の養生期間を設けます。
継目処理
シートの種類や施工環境に応じて、シートの重なり部分が目立たないように継目処理を行います。
継目処理は、溶接、シーム液の塗布、シールを貼る方法などがあります。
ビニル床シートの施工の注意点
ビニル床シートの施工時にはその性質からしていくつかの注意点があります。
温度管理に注意する
ビニル床シートは、急激な温度変化によって寸法が変化してしまうことがあるため、運搬後の保管場所にも注意が必要です。
特に高温に晒されると伸びてしまいます。
また、冬はシートが固く、巻き癖が取れにくい上、接着剤がなじみにくいことから、施工前に室温を上げて、シートも室温に馴染ませることが大切です。
下地水分に注意する
ビニル床シートは、下地を完全に覆ってしまう形となるため、下地の湿気が逃げにくいですし、接着剤の溶剤も揮発しにくくなります。こうした水分により後に、接着不良、剥がれ、膨れ等が生じてしまうことがあります。
そのため、施工前に下地水分率を測定して、水分率が高めの場合は、耐湿工法を採用し、ウレタン・エポキシ樹脂系接着剤を使用するといった工夫が必要です。
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まとめ|
プラスティック系床材は、接着剤で貼るだけなので、施工は簡単そうに見えますが、丁寧に貼ることや、後に剥がれや膨れが生じないようにするためには、施工時の丁寧な品質管理が求められます。
「KIREI produce」では、お客様の現場に合わせた最適なプラスティック系床材を提案させていただきますし、施工時も品質管理を徹底し、お客様にご満足いただける仕上がりを目指します。
プラスティック系床材の施工を検討されている方はお気軽にお問い合わせください。
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