大田区ビル外壁清掃作業報告 ~灰色タイル外壁を酸洗浄クリーニング~
大田区にあるビルの外壁清掃(単発案件)を行いました。外壁は灰色タイル張りで、長年の排気ガスや埃で黒ずみが目立つ状態です。プロの清掃業者として高所ロープブランコ作業による外壁クリーニングを実施し、酸性洗浄剤「ドレストン」を用いて汚れを除去しました。以下、現場作業担当者の視点で、準備から仕上げまでの流れを詳しく報告します。
施工準備
作業当日はまず施工環境の安全確保と下準備から開始しました。今回の外壁清掃には、無足場工法であるロープブランコ作業を採用しました。これは屋上から2本のロープでぶら下がって作業する方法で、高所作業車や足場を組まなくても対応でき、狭い現場でも効率的かつ低コストに施工可能な手法です。
もちろん、作業に従事するスタッフはロープ高所作業の特別教育を修了した有資格者で、安全帯やヘルメットの着用など万全の安全対策を講じました。
まず屋上に上がり、構造物の堅固な部分にロープ用のアンカーを設置しました。アンカーには十分な強度がある既存の金具や梁を利用し、主ロープと副ロープ(セーフティロープ)の二本を確実に固定しました。私(清掃スタッフ)はハーネスを装着し、カラビナでロープに接続しました。作業前にロープや器具類に損傷がないか入念に点検し、少しでも不安な箇所があれば交換・再調整しました。また、万一に備えて地上係の同僚とも無線で連絡を取り合える体制を整えました。
薬品や汚水が飛散しないよう、建物の周囲も事前に養生しました。外壁直下の地面や植栽にはビニールシートを敷き、植木などの緑地帯が薬品で傷まないようにたっぷり水を撒いてからカバーしました。ドレストンは強力な酸性洗浄剤のため、窓ガラスやアルミサッシといった金属部も腐食させる恐れがあります。そのため窓枠周りにもビニールを貼り付け、液垂れが発生しても建物を傷めないようしっかり保護しました。
もちろん作業員自身の安全にも最大限の配慮が必要です。私はゴム手袋に保護メガネ、防毒マスクに長袖の作業着と長靴という完全装備で薬品を取り扱いました。実際、ドレストンは医薬用外劇物指定の洗浄剤で、素手で触れると危険なため防護具の着用が必須です。こうした準備と安全措置を徹底した上で、いよいよ洗浄作業に移ります。
酸洗浄(黒ずみ除去)
外壁面の黒ずみ汚れに対して、酸性洗浄剤「ドレストン」を用いた洗浄を開始しました。ドレストンは石材やタイルに長年蓄積した水アカや排ガス煤煙汚れ、サビ等の頑固な汚れを短時間で効率よく除去できる強力な洗浄剤です。
まず私は外壁タイル表面の埃や砂などの付着物を軽く水拭きし、汚れの状態を確認しました。特に黒ずみが酷い箇所では、事前に目立たない一角で試し洗いを行い、タイルや目地への影響がないかチェックしました。幸い灰色タイルへの薬剤反応に問題は見られなかったため、本格的な洗浄に取りかかりました。
ブランコで外壁面まで降下し、薬品用のハケでドレストン原液をタイル表面に丁寧に塗布します。壁面で薬剤が垂れすぎないよう注意しながら、縦横にむら無く塗りました。塗布後、汚れが特に頑固な部分には研磨用の白パッドを当て、円を描くようにこすっていきます。長年染み付いた黒ずみ汚れが徐々に浮き上がり、パッドに汚れが転写されるのが見て取れました。酸の反応で汚れが分解されるのを待ちつつ、数分間おいてから再度ブラシでこすり洗いします。
高所での作業のため、一度に広範囲を施工しようとせず、区画を決めて少しずつ進めました。特に夏場など反応が早い時期には薬剤が乾かないよう小面積ごとに作業するのがコツですが、この日は涼しかったので焦らず確実に進めます。一通りブラシがけが済んだら、今度はきれいな水を含ませたウエスでタイル面をしっかり水拭きしました。酸洗浄後に水拭き・水洗いを十分行うことで、薬剤が残留して素材を痛めるのを防ぎ、安全に次の工程へ移れます。実際に水拭きすると、真っ黒だったウエスが茶色く汚れており、薬剤がしっかり汚れを溶かし出したことが分かりました。
仕上げ(最終点検と外観確認)
薬剤洗浄と水拭きを終えた段階で、改めて外壁全体を目視でチェックしました。ロープを使い上下左右に移動しながら、洗い残しやムラがないか細かく確認しました。灰色タイル目地に入り込んだ黒ずみはほぼ消えていますが、日陰になっていた部分など一部汚れが落ちきっていない箇所もありました。そうした箇所には再度少量のドレストンを塗布し、スポンジで軽くこすって追加洗浄を行いました。
薬品の使いすぎによる変色を避けるため、慎重に様子を見ながら作業しました。
全ての汚れを除去したことを確認した後、仕上げとしてもう一度清水でタイル面全体を丁寧に水拭きします。薬剤の成分が完全に残らないようにするためと、洗浄後に浮き出た微細な汚れも拭き取る狙いがあります。この最終拭き上げによりタイル本来の淡いグレー色が鮮明に蘇り、外壁が明るい印象になりました。作業前は全体に黒ずんでいたビル外壁ですが、施工後はくすみのない清潔な外観となり、建物の印象が見違えるほど向上しています。
離れて建物全景を見渡すと、オーナー様からも「まるで新築時のように明るくなった」と嬉しいお言葉をいただきました。
最終点検では、汚れ落ちだけでなく外壁タイルやシール材の状態もチェックしました。高所作業のついでに目に付いた点として、タイル目地の一部に経年劣化によるクラック(ひび)が認められました。微細なもので緊急性はありませんが、こうした異常も清掃作業中に早期発見できました。
清掃報告書に写真付きで記録し、オーナー様へ今後の補修提案と併せて報告いたしました。
撤収(後片付けと周辺清掃)
作業が完了したら、使用した機材と養生資材の撤収作業に入りました。まず地上に落ちていない工具や部品がないかを隅々まで確認しました。高所で使用した道具類は、腰道具から外す際にうっかり落下させないよう、その場で袋に入れてロープで地上に下ろしました。私がロープを登って屋上へ戻った後、ロープをアンカーから丁寧に外して回収しました。ロープやハーネス、カラビナなどは汚れたままだと次回使用時に劣化を招くため、その場で水拭きして汚れや薬剤を落としてから収納しました。
建物周辺の養生シートも慎重に取り外し、薬剤が付着した部分があればその場で中和処理または水で洗い流しました。幸い今回は植物や地面への薬品飛散もなく、後処理もスムーズです。最後に周囲の清掃を行い、バリケードやコーンを片付けて現場を原状復帰しました。持ち込んだ機材一式の積み込みまで完了したところで、全作業終了となりました。
撤収まで気を抜かず確実に作業することで、初めて清掃作業が完結します。使用後の機材点検も含め、次回の現場に備えた準備の一環と考えています。現場を後にする際、「今日も無事故で作業を終えられた」という安心感と達成感を胸に、オフィスへと戻りました。
総評と提案
今回の酸洗浄による外壁清掃は、黒ずみ汚れに対して非常に高い効果を発揮しました。酸の力でタイルに染み付いた頑固な汚れを根こそぎ落とせたことで、建物の外観は見違えるほど明るく清潔になっています。
外壁クリーニングによって美観が回復しただけでなく、外壁に付着していた有害な汚れを除去することで建材の劣化抑制にもつながりました。外壁がきれいになると訪問者や利用者に与える印象も向上し、ビル全体の価値向上にも寄与します。
プロの清掃業者として感じるのは、外壁汚れは早め早めの対処が肝心だということです。長年放置された汚れは落とすのに手間も費用もかかりますし、外壁自体の劣化を進行させる原因にもなりかねません。定期的な外壁清掃(外壁クリーニング)を行うことで、汚れの蓄積を防ぎ、建物の美観と寿命を維持できます。実際、定期的に洗浄を行えば建物の価値を維持し、将来の資産価値低下も防ぐことができます。
さらに清掃のプロが作業中に外壁の不具合を早期発見できるため、結果的に大規模修繕のリスクやコストを下げる効果も期待できます。
今回ご依頼いただいた大田区のビルオーナー様には、今後の提案として半年から一年ごとの定期清掃プランをご検討いただくようお伝えしました。
高圧洗浄や中性洗剤を用いた軽度な洗浄でも十分効果がありますし、数年に一度は今回のような薬品洗浄を取り入れることで、常にきれいな外壁を保てるでしょう。
建物の印象アップや資産価値維持のためにも、定期的なメンテナンスを強くおすすめいたします。