大規模マンション配管工事(給水管更生)施工報告

東京都内大規模マンション配管工事(給水管更生)施工報告

築25年、100戸以上が入居する東京都内の大規模マンションにおいて、老朽化した給水管の更生工事(マンション配管工事)を実施しました。経年劣化により赤水(赤錆混じりの水)が発生し、水圧も低下しているという問題を解決するための施工です。今回はマンション配管工事のプロの視点から、工事の流れと工夫したポイントを現場目線で報告いたします。居住者の生活への影響を最小限に抑えつつ、給水設備の機能回復と寿命延長を図った施工事例です。
 

1. 事前調査と計画

工事に先立ち、建物全体の給水配管系統を徹底的に調査しました。配管の図面を確認し、各階・各戸への給水経路やバルブ位置を洗い出します。25年使用された配管にはどの程度の錆や劣化があるか慎重に点検し、更生が必要な箇所を正確に特定しました。私たち施工チームは「現場百回」という言葉を胸に、見落としがないよう隅々まで確認。この事前調査の段階で入念に計画を立てたことで、後の工程をスムーズに進める土台を作りました。

 

調査結果をもとに、詳細な工程表と施工計画を作成します。居住者の皆様への断水時間を最小限に抑えるため、作業は各日程で短時間で区切り、影響の出る範囲を限定しました。例えば高層階ではポンプの停止時間を調整し、生活への支障を減らす工夫も盛り込みました。こうした計画立案段階の工夫が、現場でのスムーズな施工につながることを実感しています。

 

2. 居住者への説明と協力依頼

管理組合を通じて、全居住者に工事内容とスケジュールを事前に丁寧に説明しました。マンション管理組合の担当者様と密に連携し、掲示板へのお知らせ配布や回覧板での周知徹底も実施。特に断水が発生する日時や、水の使用を控えていただきたい時間帯については強調して周知しました。

 

説明会では私自身が直接居住者の方々にお話しし、工事の目的や必要性を現場のプロの立場から噛み砕いて説明。質疑応答では「なぜ今さら配管工事が必要なのか」「工事中に水は全く使えないのか」といった質問が出ましたが、一つひとつ丁寧に回答しました。居住者の方にご納得とご協力をいただくことが、マンション配管工事成功の鍵であると痛感した場面です。

 

3. 作業準備(資機材搬入・養生)

工事当日までに各階のパイプシャフトや共用廊下の作業スペースを確保し、資機材の搬入経路を決めておきました。当日は朝一番に高圧洗浄機や塗布機材など専用機器を搬入し、エレベーターや共用部を傷つけないようしっかりと養生を行います。私も現場監督として先頭に立ち、部材一つ運ぶにも壁や床を保護するシートを敷くなど細心の注意を払いました。

 

また、各戸への連絡として再度インターホン等で作業開始のご挨拶を行い、「本日○時から○時まで断水いたします」と直接お知らせしました。現場では予期せぬトラブルを避けるため、コミュニケーションと段取りを徹底することが重要です。準備段階を万全にすることで、この先の工程も安心して進められます。

 

4. 給水管内のクリーニング

まずは既設の給水管内部をクリーニングします。高圧水と専用のワイヤーブラシを使用し、管内に付着した錆やスケール(水垢)を丁寧に除去しました。25年間蓄積した赤錆は想像以上に頑固で、一筋縄ではいきません。作業員が声を掛け合いながら順番に各系統の管を洗浄。赤茶けた水が勢いよく排出されていくのを見て、「これでは居住者の蛇口から赤水が出ていたはずだ」と改めて実感しました。

 

クリーニングは配管更生工事の中でも特に重要なプロセスです。ここで手を抜くと後に塗布する更生材がしっかり付着せず、剥離の原因になります。そのため我々は何度も洗浄と内視鏡検査を繰り返し、管内が金属光沢を取り戻すまで徹底的に行いました。地道な作業ですが、マンション配管工事の品質を左右する大切な下地処理だという思いで取り組みました。
 

5. 更生材(エポキシ樹脂)の塗布

洗浄後の給水管内部に、特殊な更生材であるエポキシ樹脂系のライニング材を塗布しました。最新式の専用塗布機を用いて、配管内壁に均一な厚みで樹脂をコーティングしていきます。私はモニター越しに管内の様子を確認しながら、オペレーターに指示を出しました。狭い管の中でムラなく塗るのは熟練の技が必要ですが、当社スタッフの長年の経験がものを言う場面です。

 

特にエルボ(曲がり角)部分や分岐部では樹脂が薄くなりがちなので、送気圧や塗布スピードを微調整して対応しました。施工中は「絶対に均一に、更生材を行き渡らせる」という強い気持ちで取り組みました。管更生工事では目に見えない内部の施工品質が命です。1本1本の配管に心を込めて塗布することで、新品同様の内面被膜を形成できました。
 

6. 乾燥・硬化工程

エポキシ樹脂の塗布後は、一定時間しっかり乾燥・硬化させます。硬化に必要な温度と時間を守ることが、仕上がり品質に直結します。今回の現場では外気温や湿度も考慮し、24時間以上の養生期間を確保しました。必要に応じて送風機やヒーターを使い、管内を均一な環境に保つよう細心の注意を払っています。

 

この待ち時間中も気は抜けません。私は夜間も交替で現場に詰め、温湿度計をチェックしながら適切な硬化が進んでいるか管理しました。焦って通水してしまうと十分に硬化せずに剥がれの原因となるため、この工程は我慢比べのようなものです。しかし「良い仕事は乾燥にあり」という先輩の教えを守り、じっくり待つことで理想的な被膜が完成しました。
 

7. 内部検査と通水再開

更生材が硬化した翌日、内視鏡カメラを用いて配管内部の状態を全て検査しました。カメラ映像で確認すると、エポキシ樹脂が配管の隅々までしっかり行き渡り、継ぎ目も滑らかに覆われているのが見て取れます。長い準備と丁寧な施工の甲斐あって、不良箇所は一切見当たりませんでした。この瞬間は私にとっても毎回緊張する場面ですが、問題がないことを確認できてほっとしました。

 

検査終了後、各バルブを開放して慎重に通水を開始しました。ゆっくりと水を流し、各所で漏水や圧力異常がないかを確認します。新しい樹脂被膜にいきなり高圧をかけないよう配慮し、段階的に通常の水圧へ戻しました。水が勢いよく配管内を流れ、各戸の蛇口でスムーズに出るのを確認したときは、思わず現場スタッフ同士で安堵の笑みを交わしました。

 

8. 水質検査と各戸の水圧調整

通水後は、水質検査を実施して安全性を確認しました。更生材の一部が溶出して水に混ざっていないか、濁りや異臭がないかなどをチェックします。検査の結果、水質は問題なくクリアであることを確認しました。長く滞留していた錆水もすっかり流れ、新しい内面被膜のおかげで水も澄んでいます。

 

併せて、各戸の蛇口で水圧を調査しました。高層階でもしっかり適正圧が出ているかを確認し、もし弱い箇所があればエア抜きやバルブ調整を行います。今回はポンプ設備も正常に作動しており、全戸で良好な水圧が得られました。現場担当者として、実際に蛇口から勢いよく水が出るのを見て「よし、完璧だ」という達成感を味わいました。
 

9. 清掃・最終確認と引き渡し

全ての施工工程が完了した後、使用した機材を撤去し、共用部分や廊下を丁寧に清掃しました。工事期間中、どうしても粉塵や汚れが発生しますが、最後にそれを残らず綺麗にするのもプロの仕事です。私は床や壁の保護シートを外しながら、異常がないか建物全体を巡回。工事前よりも綺麗になったと感じていただけるくらい、念入りに掃除を行いました。

 

最後に管理組合の担当者様立ち会いのもと、工事結果のご報告と最終確認を実施。内視鏡で撮影した管内ビデオや、水質検査の結果書類をお見せし、給水管が蘇った状況を共有しました。また、今後の定期メンテナンス方法についてもご説明し、マンション配管工事の全工程を無事完了です。鍵をお返しして現場を後にする際、「これで安心して生活できます」と担当者様から感謝の言葉をいただき、チーム一同大きなやりがいを感じました。
 

工事の結果と居住者の声

今回の給水管更生工事により、マンション全体の給水設備は見違えるほど改善しました。長年の悩みであった赤水は完全に解消され、水質が格段に向上。各戸の水圧も安定し、高層階でも快適に水を利用できるようになりました。施工後に居住者の方々から「水の出が良くなり、水も綺麗で安心して使えます」という嬉しいお声を直接いただき、現場担当者冥利に尽きます。

 

さらに、既存配管を更生することで配管自体の寿命が延び、将来的な大規模修繕の費用削減にもつながります。新品配管への取り替え工事と比べ費用・工期の面でメリットが大きいのも、今回の工事のポイントでした。私は実際の現場でこの工法の有効性を再認識し、マンション管理組合の担当者様にも「やって良かった」とご満足いただけたことを誇りに思います。

 

以上、東京都内大規模マンションでの配管工事(給水管更生)の施工報告でした。現場のプロとして培った経験を活かし、今後も居住者の皆様に安心・安全な水環境を提供できるよう努めてまいります。今回の事例が、他のマンションの管理組合様にとっても配管工事を検討する際の参考になれば幸いです。
 

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