大手塾教室LED化・蛍光灯交換工事実績
作業目的
大手学習塾の教室内照明を蛍光灯からLED照明へ交換する本工事の目的は、教室の照明環境を改善しつつ、教
室の省エネと電気代削減を図ることにあります。従来の蛍光灯照明は経年劣化により明るさの低下やチラつ
きが見られ、省エネ性能も十分とは言えませんでした。また蛍光灯には水銀が含まれており、管球交換の手
間や廃棄処理の課題もありました。そのため、最新のLED照明への更新によって以下の効果を期待しました。
- 省エネ効果の向上:LED化によって消費電力を削減し、電気料金を削減(教室の省エネ推進)。
- 照明環境の改善:LED照明により教室全体の明るさを均一にし、ちらつきのない安定した光で生徒の集中力向上を図る。
- 維持管理コストの削減:LED照明は寿命が長く(蛍光灯の約3?4倍)、ランプ交換の頻度と廃棄物(蛍光管)の削減につながる。
事前調査と判断
作業開始前に現場となる教室の事前調査を行い、現状と要件を把握しました。調査では教室内に設置された
既存蛍光灯器具の数や配置、高さ、配線状況を確認し、照度(明るさ)測定も実施しています。既存照明は
40W直管蛍光灯が多数設置されており、一部に経年による管の黒ずみや点灯不良(チラつき)のある箇所も
確認されました。これらを踏まえ、以下の点を考慮してLEDへの交換方法を検討しました。
交換手法の選定:既存器具を活かして直管型LEDランプ(いわゆる蛍光灯形状のLED)に交換する方
式と、照明器具ごと新しいLED一体型器具に更新する方式を比較検討しました。コストや施工期間を
考慮し、今回は安定器を撤去して直管型LEDランプを装着する方法を採用しました(既存器具を再利
用しつつ省エネ化を実現)。
製品選定:明るさ(ルーメン値)と色温度は既存の蛍光灯に近い昼白色(5000K前後)とし、生徒が
違和感なく移行できるよう配慮しました。選定したLEDランプは一本あたり約18Wで、既存蛍光灯
(約40W相当)よりも消費電力を半減できるモデルです。またグレア(眩しさ)対策の拡散カバー付
き製品を採用し、教室内で均質な光が得られるようにしました。
工事スケジュールの計画:学習塾という施設の特性上、平日夕方から夜間および週末に授業が行われ
るため、工事は授業に支障がない時間帯に実施する必要がありました。塾側と調整し、幸い長期休暇
期間中の教室が空いている日中を利用して作業を行う計画としました。これにより生徒や職員への影
響を最小限に抑えています。
安全対策の確認:高所作業となるため、脚立や昇降作業台の使用方法、感電防止措置(ブレーカーで
の回路遮断確認)、および作業員間の声かけ手順を事前に共有しました。また、蛍光管の破損に備え
て防護メガネと手袋を着用し、周囲への飛散防止養生も準備しました。
以上の事前調査と打ち合わせ結果に基づき、現場での具体的な交換作業手順を確定しました。
交換作業の内容
実際の蛍光灯交換作業は、以下の手順で安全かつ効率的に進めました。
停電措置と安全確認:作業開始前に当該教室の照明回路ブレーカーを落とし、電気が流れていないこ
とをテスターで確認しました。教室入口には「工事中・照明交換作業中」の掲示を行い、関係者以外
立ち入り禁止としました。
器具カバーの取り外しと蛍光管の撤去:天井照明のカバーや拡散板を一基ずつ取り外し、古い蛍光灯
管を慎重に取り外しました。長年使用された蛍光管はソケット付近が劣化して外れにくいものもあり
ましたが、破損しないよう丁寧に扱っています。取り外した蛍光管はその場で専用の回収箱に入れ、
安全に保管しました(後述の通り適切に廃棄)。
安定器の処理:既存照明器具内の安定器(バラスト)を取り外し、直結配線に変更しました。電気工
事士の資格を持つ作業員が配線図に従い、安定器をバイパスする形で配線を接続しています。取り外
した安定器類は金属回収資源として分別保管しました。
LEDランプの取り付け:直管型LEDランプを既存のソケットに装着しました。今回採用したLEDは片
側給電タイプのため、極性を確認して正しい向きで取り付けています。一基ずつランプを差し込み、
ぐらつきや接触不良がないか確認しました。
照明カバーの復旧:全てのLEDランプ設置後、取り外していた器具のカバーや拡散板を元通り取り付
けました。カバーの汚れもこの機会に拭き清掃し、照明の透明度を向上させています。
点灯試験:ブレーカーを復旧し、教室内すべての照明を点灯して正常に動作するか確認しました。
LEDランプへの交換により即時に明るい光が得られ、全箇所で無事点灯することを確認しました。点
灯不良の箇所はありませんでしたが、念のため全灯のソケット接続状態と発光状態を目視で最終
チェックしています。
後片付けと廃棄処理:作業エリアの清掃を行い、脚立や工具を撤収しました。取り外した蛍光灯管は
水銀を含む産業廃棄物として適切に処理するため、所定の産廃業者に引き渡す準備をしました。教室
内にガラス片などの異物が残っていないことも入念に確認し、安全を確保しています。
作業はベテラン電気工事スタッフ2名を中心に行い、教室1室(蛍光灯20本相当)のLED化工事を約半日で完
了しました。想定していた工程どおりに進み、大きなトラブルもなく交換作業を終えることができました。
完了確認
工事完了後、塾担当者立ち会いのもと完了検査と確認作業を実施しました。以下のポイントについて確認・
報告しています。
照度確認:LED照明点灯後の教室内の明るさをルクスメーターで測定し、各机上で所定の照度基準を
満たしていることを確認しました。結果、LED化によって平均照度が向上し、教室内の明るさが均一
になっていることを塾担当者と共有しました。
動作確認:全ての照明が正常に点灯・消灯することを教室のスイッチ操作により確認しました。人感
センサーや非常灯との連動がある場合は、その動作もテストしています。
外観と仕上がり:照明器具の外観に損傷や取付不良がないこと、カバー類が確実に閉まっていること
を目視でチェックしました。教室内の天井も清掃され、見栄え良く仕上がっていることを確認いただ
きました。
片付け状況:取り外した蛍光灯や安定器などの廃材が現場に残っていないことを確認しました。床や
机の上にも作業残渣が無いことを確認し、清掃が行き届いている旨を報告しました。
塾の担当者様にはLED照明器具への交換完了を正式に報告し、今後の運用上の注意点(万一の不点灯時の対
応や保証期間など)について説明しました。担当者様からは教室が以前より明るくなったうえ、これで電気
代削減にもつながると期待いただき、良好な評価をいただきました。
効果と所感
今回の教室LED化工事により、以下の効果が得られる見込みです。
電力使用量の削減:照明の消費電力が約50%削減される計算となり、年間の電気代大幅削減が期待で
きます。例えば教室内の照明20本で比較すると、蛍光灯時約800Wだった消費がLED化後は約360W程
度となりました。これにより教室の省エネに大きく寄与します。
ランプ交換頻度の低減:LED照明の定格寿命は約40,000時間とされ、従来の蛍光灯(約10,000時間)
に比べて寿命が飛躍的に長くなります。これによりランプ切れによる交換作業の頻度が減り、維持管
理の手間とコストの削減につながります。
照明環境の向上:LED照明特有のパッと点灯する即時性と安定した光により、教室内の環境が改善さ
れました。ちらつきが解消され黒板や教材の色味もより自然に見えるため、生徒にとっても快適な学
習空間となります。教職員の方からも「教室が明るくなり授業がしやすい」「照明のムラがなくなっ
た」といった好評の声をいただいております。
環境負荷の軽減:蛍光灯特有の水銀を含む廃棄物が削減できるため、環境負荷低減にもつながりま
す。本塾においてもSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みの一環として今回の照明LED化を位置付
けており、社会的にも意義のある施工となりました。
所感:本工事を担当した作業者として、現場での綿密な事前準備と安全管理の重要性を再認識しました。事
前の照度測定や機器選定をしっかり行ったことで、施工後に想定通りの明るさと効果が得られ、塾様にもご
満足いただける結果となりました。また、教室のLED化による省エネ効果は数字として表れますが、それ以上
に現場で感じたのは照明環境の質的向上です。交換後の教室を自分の目で見て、均一で明るい光が学習に適
した空間を作り出していることを実感しました。
さらに今回は、塾のスケジュールに合わせた短期間での施工となりましたが、チーム内で役割分担と段取り
を徹底することでスムーズに完了できました。現場ではちょっとした工夫も行っています。例えば、脚立の位
置を効率よく移動するために予め照明器具の配置ごとに担当エリアを決めておき、無駄のない動線で作業す
るよう心がけました。また、取り外したネジや部品は紛失防止のため工具箱内の決まったトレイに一時保管
するなど、細かな点ですが安全・効率につながる工夫です。
最後に、教育施設における蛍光灯交換・LED化工事は生徒や教職員の皆様が日々過ごす環境を直接良くする重
要な作業だと感じます。今後も本現場での経験を活かし、他の教室や施設でも最適な省エネ提案と安全施工
を心がけてまいります。