東京都内信用金庫支店でのシャッタークリーニング事例
作業背景とシャッターの状態
東京都内にある信用金庫の支店にて、店舗正面シャッターの清掃作業(シャッタークリーニング)を実施い
たしました。開店以来十数年使用されてきたこのシャッターは、外気に常に晒される環境下にあり、表面全
体に砂ぼこりや排気ガスによる黒ずみ汚れが目立っている状態でした。特に交通量の多い道路沿いの立地と
いうこともあり、シャッターの細長い横板(スラット)の隙間には知らぬ間に埃と排気ガスのススが蓄積
し、かなり頑固な汚れ層となっていました。「古いシャッターだから汚れは落ち切らないのではないか」と
いう不安の声もありましたが、店舗のイメージアップと設備の長寿命化のため、プロによる徹底したシャッ
ターの汚れ落としを行うことになりました。
準備と機材選定
作業に先立ち、現場の状況とシャッターの材質・塗装状態を確認しました。シャッター表面の塗装は年数相
応に劣化している箇所も見られたため、清掃に用いる洗剤や機材は塗装を傷めないものを慎重に選定してい
ます。特に排気ガス由来の汚れは油分を含んでベタつくため、水洗いだけでは十分に落とせません。そのた
め今回は素材に優しい中性洗剤を使用し、必要に応じて高圧洗浄機を併用する方針としました。ただし古い
シャッターへの高圧洗浄機使用は水圧で塗装を剥がすリスクもあるため、圧力を調整し距離をとって噴射す
るなど注意を払っています。また作業は支店営業時間外の早朝に設定し、周囲の歩行者や建物に影響が出な
いよう配慮しました。シャッター直下の床面や周囲の壁にはビニールシートで養生を行い、汚水が飛び散ら
ないよう万全の準備を整えています。
今回のシャッタークリーニングに使用した主な機材・資材
- ポータブル高圧洗浄機(騒音が少なく水圧可変のタイプを使用)
- 中性洗剤(塗装面に優しく、油汚れ分解に効果的な洗浄液)
- ソフトブラシ・スポンジ(シャッター表面の汚れを傷つけずに擦り落とすための道具)
- 脚立(シャッター上部まで安全に手が届くよう使用)
- 養生シート・テープ(壁面や地面への汚水の飛散を防止するカバー資材)
- ウエス・タオル(拭き取り乾燥用)
- シリコンスプレー(清掃後にシャッター可動部へ潤滑剤として塗布)
清掃工程(ステップ別)
今回の清掃作業は、以下の手順で段階的に進めました。
1.養生と事前清掃
まずシャッターを完全に下ろし、周囲の床や壁を養生シートで保護しました。また
シャッター表面の乾いたホコリや蜘蛛の巣を先にほうきやハンディモップで払い落とし、汚れ落とし
作業の下準備を行っています。鍵穴や電動シャッターのモーター部(ある場合)はビニールで覆い、
水が浸入しないよう対策しました。
2.洗剤の塗布と浸透
バケツに張った水に中性洗剤を希釈し、スポンジや噴霧器を使ってシャッター全
体に満遍なく塗布しました。特に黒ずみ汚れがひどいシャッター下部は洗剤液をたっぷり染み込ま
せ、汚れを浮かせるため数分間そのまま浸透させています。洗剤は塗装面への影響が少ないものを使
用しており、汚れにじっくり行き渡らせることでこの後のブラッシング効果を高めました。
3.ブラッシングによる汚れ落とし
洗剤が汚れに行き渡ったのを確認後、柔らかいブラシでシャッター
のスラット一枚一枚を上から下へ丁寧に擦っていきました。長年積もった黒ずみは簡単には落ちませ
んが、力任せではなくシャッターの汚れ落としのコツである「洗剤の化学反応+ブラシの物理的こす
り」を繰り返し活用します。ブラシを動かすたび、黒く濁った汚水がポタポタと垂れ落ちてきて、蓄
積した汚れの多さに改めて驚かされました。特に下部の頑固な汚れにはスポンジで押さえ洗いを追加
し、汚れを徐々に分解・除去していきます。
4.高圧洗浄によるすすぎ
ブラッシングで汚れが概ね浮き上がったところで、高圧洗浄機によるすすぎ
作業に移りました。ノズルをシャッター表面から適度な距離に保ち、上部から下部へ順序良く高圧水
を当てていきます。こうすることで、浮いた汚れと洗剤成分が一緒に下方へ洗い流されていきまし
た。噴射圧は塗装を傷めない最低限の強さに留め、特に古いシャッターゆえの塗膜剥離に注意を払っ
ています。洗浄水が透明になるまで数回にわたり全体を洗い流し、隅々の汚れも見落としがないよう
確認しました。
5.拭き上げと仕上げ
洗浄後はシャッター表面の水分をマイクロファイバークロスや乾いたウエスで拭
き上げました。水滴を残さず拭くことで、水垢やシミを防ぎ、美観を高めるためのひと手間です。ま
たシャッター側面のガイドレール部分に溜まった砂や汚れもブラシでかき出し、レール内部も清掃し
ました。最後にシャッターの可動部とガイドレールに薄くシリコンスプレーを塗布しています。これ
により開閉動作が滑らかになり、今後ホコリが付きにくくなる効果も期待できます。全体の清掃と後
片付けを終えた後、養生シートを撤去し、現場を清潔な状態に復元しました。支店ご担当者様と最終
確認を行い、作業完了となりました。
作業後の状態と効果
清掃作業後、シャッターは見違えるほど明るい本来の外観を取り戻しました。作業前はグレーがかった黒ず
みで覆われていた表面が、本来の塗装色がはっきりとわかるまでに綺麗になっています。特に下半分にこびり
ついていた頑固な汚れもしっかり除去され、スラットの継ぎ目や溝に詰まっていた砂埃も一掃できました。
遠目から見てもシャッター全体の印象が大きく向上し、店舗正面が明るく清潔な雰囲気になりました。実際
に確認いただいた支店ご担当者様からも「まるで新品のシャッターのようだ」とのお言葉をいただき、仕上
がりに大変ご満足いただけました。
機能面でも効果が表れています。清掃によって余分な埃や汚れが取り除かれたことで、シャッターの開閉動作
がスムーズになりました(巻き上げ時の異音や引っ掛かりも軽減しています)。また、表面の汚れがなく
なったことで塗装の状態も直接目視できるようになり、小さな塗装剥がれやサビの初期兆候も発見しやすく
なりました。今回汚れを除去したことで、塗装面に付着していた大気中の汚染物や水分がもたらす微細な腐
食要因も洗い流せています。シャッタークリーニングの結果、見た目の美観回復だけでなく、シャッター自
体の寿命延長や故障予防にも寄与する有益なメンテナンス効果が得られました。
現場からの所感
清掃を担当した現場スタッフの所感として、正直ここまで綺麗になるとは思っていなかったというのが本音
です。年数が経って汚れ切ったシャッターでも、適切な手順を踏めばここまで蘇るものかと、自分たちも作業
しながら感心しました。ブラッシング中に黒い汚れがみるみる落ちていく様子は爽快で、プロの立場ながら
「汚れが落ちる瞬間」の気持ち良さを改めて実感した次第です。また、作業中に通りかかった近隣の方から
「こんなにピカピカになるんですね!」と声をかけられ、改めて地域の美観維持にも貢献できていると感じ
ました。
最後に、店舗や支店、ビル管理者の方々へのアドバイスとして、シャッターの定期清掃の重要性をお伝えし
たいと思います。シャッターの汚れは一見すると単なる見映えの問題に思えますが、長期間放置すればサビ
や故障の原因にもなり得ます。特に砂ぼこりや排気ガスによる黒ずみ汚れは放置すると固着してしまい、
自力では落としにくくなるものです。理想的には年に1回程度、プロによるシャッター清掃を検討されること
をおすすめします。定期的なシャッターの汚れ落としを行うことで、常に綺麗な外観を保つだけでなく、結
果的に設備の劣化防止やメンテナンスコスト削減にもつながるでしょう。日常的なお手入れとしては、乾
いたホコリをこまめに払う、水拭きをするなどの簡単な清掃だけでも効果があります。それでも落としきれ
ない蓄積汚れや、高所の作業が難しい場合には無理をせず専門業者に依頼するのが安心です。