東京都内食品工場での廃油回収作業報告(廃油回収業者の現場レポート)

東京都内食品工場での廃油回収作業報告(廃油回収業者の現場レポート)

施工準備(事前計画と機材手配)

まずご依頼いただいたのは、東京都内にある大型の食品工場様です。廃油回収の日程は工場稼働に支障が出ないよう、平日の早朝に調整しました。早朝を選択したのは、夜間に稼働を停止したフライヤー等から廃食用油が十分冷めており、安全に作業できるためです。

事前打ち合わせでは、排出される廃油の量や容器の種類(200Lドラム缶を使用中とのこと)を確認し、それに合わせた機材と人員を準備しました。
 

準備した主な機材と対策

専用回収車両(密閉タンク車):
産業廃棄物収集運搬の許可を受けた専用の密閉式タンク車両で現場に向かいました。許可業者以外による収集運搬は禁止されており、万一無許可業者へ委託すると排出者(工場)も罰則を受ける可能性があります。そのため信頼できる業者による回収が重要です。
 

吸引ポンプ:
ガソリンエンジン駆動の廃油吸引ポンプを用意しました。手作業で容器を持ち運ぶより安全かつ迅速に大量の油を汲み出せるためです。
ホースや継手類も事前点検し、接続部からの漏れが起きないようにしました。
 

防臭・防漏対策用品: 
作業エリアには防油シートを敷き、万一の漏洩に備えて吸油マットやウエスを準備しました。廃油特有の臭気対策として、フタ付き容器を活用し油を大気にさらす時間を極力減らす計画です。また換気の確保や消臭剤の持ち込みも検討し、工場内に臭いが残らないよう配慮しました。
 

安全装備:
作業員は長袖つなぎ・ゴム手袋・保護メガネを着用し、安全面と衛生面に万全を期しました。食品工場内での作業となるため、必要に応じヘアキャップやマスクも着用し、異物混入防止のルールを遵守しています。

こうした準備段階の綿密な計画立案と機材手配により、現場ではスムーズかつ安全な廃油回収作業を開始できる体制を整えました。
 

回収作業(現場での対応と工夫)

当日はスタッフ2名で現場に伺い、担当者様と最終打ち合わせを行いました。廃油置き場は工場敷地内の屋外スペースにあり、大型のドラム缶に使用済み油が保管されています。まず周囲に養生シートを敷いて作業エリアを保護し、ドラム缶の周りに吸油マットを配置して漏れ対策を講じました。幸い油は前日までに十分冷却されており、火傷や引火の心配がない状態でした。

 

次に、吸引ポンプのホースをドラム缶に挿入し、専用車両のタンクと接続しました。エンジンポンプを始動して廃油の吸引を開始します。ポンプによる吸引は非常にスムーズで、約200リットルの廃油も短時間で回収タンクへ移送できました。作業中はポンプ圧力とホースの状態を2名で分担監視し、詰まりやオーバーフローが起きないよう細心の注意を払っています。

 

現場で工夫したポイント

  • ポンプ吸引にあたり、ドラム缶内の揚げカス(食品カス)がホース先端に詰まらないよう予め簡易フィルターで漉し取りました。実際、多少の天かすが溜まっていましたが除去済みのためスムーズに吸えました。こうした夾雑物の除去により、回収後の油は再資源化工程に回しやすくなります。
     
  • 廃油の量を確認する際、汚れ防止のため直接目視ではなく専用の計量ゲージを使用しました。タンク内蔵のメーターで正確な回収量を把握し、工場ご担当者様にも回収した廃油の量を報告しています。
     
  • 作業中、工場の生産ラインには影響が出ないよう静粛かつ迅速に対応しました。エンジン音は屋外ではありますが最小限に抑え、工場スタッフの方からも「思ったより静かですね」とのお声を頂いたほどです。
     
  • 我々業者側で廃油容器からの汲み出し作業を全て行うため、工場のスタッフ様に重い油缶を運搬いただく必要はありません。現場では「任せてよかった」とのお言葉をいただき、プロならではの手際に安心して頂けました。
     

約1時間程度の作業で予定していた廃油の全量回収が完了しました。ポンプを停止しホースを外した後、ドラム缶のフタ周りや作業エリアの床面を点検します。少量の油滴がホース先端から落ちましたが、すぐに吸油マットで拭き取り、跡を残さないよう清掃しました。最終的に廃油置き場周辺は作業前よりも綺麗な状態となるよう心掛けています。
 

処理・リサイクル(廃油の行方と提案)

回収した廃油は専用車両のタンクに密閉されたまま、自社処理施設へ安全に運搬しました。弊社では収集運搬後すぐに産業廃棄物管理票(マニフェスト)を発行し、お客様(排出事業者)に交付しています。これにより廃油の処理工程を追跡管理でき、法令順守と安心に繋がります。

 

処理施設では、今回回収した植物性油を一時貯蔵タンクに移し、微細な不純物や水分を取り除く前処理を行います。
その後、廃油はリサイクル可能な資源として再資源化工程へと送られます。具体的には、精製して燃料や原料に再生利用する方法が一般的です。

実際、廃食用油はメタノールと触媒を反応させてバイオディーゼル燃料(BDF)の原料にすることが可能であり、軽油代替のエコ燃料として生まれ変わります。北九州市ではBDF化した燃料で市営バスを走らせる取り組みも行われており、廃油リサイクルが地球温暖化防止や資源節約に役立っています。

 

また、動物性の油脂分が含まれる廃油については、別途回収後に石鹸や飼料の原料として再利用することもできます。例えば豚脂や牛脂などは専用ルートで引き取り、飼料やハンドソープにリサイクルすることで企業の環境貢献につなげる試みがあります。今回の食品工場から出た油は主に植物油でしたが、こうした再資源化の提案についても工場様にご説明し、自社の廃油がどのように役立てられるか情報共有いたしました。

 

なお、どうしてもリサイクルが難しい沈殿物などは適切に処分されますが、その割合はごくわずかです。環境省のデータによれば、廃油の約45%は再生利用され、残りも大半が燃料化などで減量化されており、最終的に埋立処分されるのは1%程度に過ぎません。こうした背景も踏まえ、お客様には「貴社の廃油は可能な限り有効活用されます」とお伝えし、環境対策への安心感を持っていただくよう努めました。
 

効率化や再発防止策(提案事項と改善策)

今回の回収作業を通じて、より安全で効率的な廃油管理のためにいくつか改善提案を行いました。
 

保管容器の大型化:
現状、18Lの一斗缶を複数並べて廃油を保管されていましたが、これでは場所を取る上、持ち運びの手間もかかります。そこで容量120Lの専用ドラム缶を新たに設置してはどうかご提案しました。足踏み式で開閉できる密閉ドラムであれば、廃油をまとめて保管できるため回収頻度の削減にもつながり、容器交換の回数も減らせます。
 

定期回収スケジュールの導入:
廃油排出量と保管容量を鑑み、これまで随時依頼いただいていた回収を定期ルート回収に切り替えるプランをご案内しました。例えば毎月1回から隔週1回のペースに変更することで、常に容器に余裕がある状態を保ち、オーバーフローや保管中の悪臭発生を防止できます。決まった曜日・時間に伺う形にすることで、お客様の管理負担も軽減できる見込みです。
 

廃油置き場の整備:
既存の廃油置き場には簡易的な屋根しかなく、強い雨の際に雨水が容器に入るリスクがありました。雨水混入は油の劣化や処理困難の原因となるため、蓋付き容器の徹底と保管場所の改善を提案しました。具体的には、保管容器に確実にフタをすること、屋外保管の場合は防雨シートで覆うこと、直射日光を避け涼しい場所に置くことなどを助言しています。あわせて床面に耐油性のトレーを敷くことで万一漏れても地面に広がらないようにする措置も提案しました。
 

作業マニュアルの共有:
工場内で廃油を扱う従業員の方々にも、安全な取り扱いと緊急時対応について簡単な資料をお渡ししました。例えば「廃油は十分冷ましてから容器に移す」「水や他の油種を混ぜない」「万一こぼしたら速やかにウエスで拭き取る」といった基本事項です。また、動物性油脂が固まった場合の対処法など、過去の現場知見から得られたコツもお伝えしています。「こうした注意点を守っていただければ、より安全に廃油をお取り扱いいただけます」と説明し、お客様にも真剣に頷いていただけました。

以上のような改善策について、工場ご担当者様も「ぜひ実践してみます」と前向きに受け止めてくださいました。廃油回収業者として、単に油を引き取るだけでなく、お客様の現場が今後トラブルなく運用できるよう提案・フォローすることも大切だと改めて感じた次第です。
 

撤収・完了報告(作業完了とお客様の声)

全ての廃油を回収し終えた後、機材を撤収して最終確認を行いました。回収車両のバルブを閉じ、ホースを巻き取って車に収納します。作業員同士で油の漏れがないか周囲をダブルチェックし、使用済みの吸油マットやウエスは持ち帰って適切に処分しました。
現場には一切ゴミや油滴を残さず、初めて訪れたときよりも清潔な状態で退出することを心掛けています。

 

最後に工場のご担当者様に立ち会っていただき、完了報告を実施しました。回収量や作業時間、特記事項(今回は異常なし)を口頭で報告し、マニフェスト控えをお渡しします。「これで心置きなく新しい油を使えます、助かりました」とのお言葉をいただき、こちらも安堵いたしました。担当者様からは「廃油の置き場がこんなに綺麗になるとは思わなかった」「定期回収の提案も検討したい」と嬉しいお声を頂戴し、我々としても達成感のある現場となりました。

 

以上、東京都内食品工場での廃油回収作業についての施工報告でした。現場の知見を活かした丁寧な対応により、お客様には大変ご満足いただけました。
廃油は適切に回収・リサイクルすれば貴重な資源となり得ます。

食品工場などで廃油管理にお悩みの際は、ぜひ実績豊富なプロの廃油回収業者へご相談ください。
私たちも引き続き、安全第一で迅速・確実なサービス提供に努めてまいります。

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