東京工場解体現場でのアスベスト回収・特別管理産業廃棄物処理作業報告
東京で行われた工場の解体工事現場において、アスベストを含む建材やPCB使用機器といった特別管理産業廃棄物が発見されました。環境への影響を防ぐため、これらの危険物は通常の産業廃棄物以上に厳格な取り扱いが必要です。
私は現場責任者として、法律を遵守しつつ安全第一で作業を進めました。本報告では、そのアスベスト回収および特別管理産業廃棄物の処理方法について、現場の視点から具体的な手順と所感をまとめます。
1. 施工前の準備:万全の計画と安全対策
解体作業に先立ち、まずは入念な事前調査を行いました。危険物の有無を確認するため、建物の素材や機器を調べたところ、アスベスト含有材と旧型のPCB使用電気機器が存在することが判明しました。産業廃棄物の処理方法に関する法令を改めて確認し、必要な許可書類(特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可証など)を準備します。
また、現場で働く作業員には防護服・防塵マスクなど十分な防護具を支給し、安全教育を徹底しました。私自身、「備えあれば憂いなし」の精神で、防護具の正しい装着方法から緊急時の対応まで細かく指導しています。
さらに近隣の住民や工場周辺の関係者へも事前に説明を行い、アスベスト飛散のリスクや作業時間帯を周知しました。現場の安全と周囲への配慮を念入りに計画したことで、不測の事態にも慌てず対処できるという自信をもって作業開始日を迎えることができました。
2. 廃棄物の収集と搬出:慎重なアスベスト回収作業
解体中のアスベスト回収作業は、特に慎重に進めました。アスベスト含有建材を撤去する際は、繊維が飛散しないよう事前に十分な散水(湿式処理)を行います。実際の撤去作業では私も防護服に身を包み、ホースで水を撒きながらボルトや釘を一本ずつ外していきました。
長年の経験から、わずかな粉じんでも健康被害につながると知っているため、決して焦らず着実に作業することを心がけています。除去したアスベスト材は厚手のビニール袋に二重に密閉し、法令に基づく警告ラベルを貼付しました。
PCB使用機器(古い変圧器や安定器など)は、専用の耐漏出性容器に収めて厳重に封印しました。見た目にはただの古い装置でも、中に有害なPCBが含まれているため油断は禁物です。私は撤去品を扱う作業員に「絶対に破損させないよう慎重に運んでください」と声をかけ、チーム全体で注意を共有しました。
梱包したPCB機器は専用の運搬箱に入れ、蓋をしっかり固定します。すべての廃棄物は種類ごとに仕分けした上で、飛散防止シートで覆った専用運搬車両に積み込みました。搬出時にはトラックの荷台周辺も念入りに清掃し、アスベスト片や埃が残っていないか私自身が最終確認を実施します。
こうした慎重な対応により、廃棄物の飛散や漏洩事故もなく現場から安全に搬出することができました。
3. 廃棄物の適正処理:法令遵守の産業廃棄物処理方法
収集・搬出された特別管理産業廃棄物は、東京近郊の許可を受けた専門処理施設へ直行しました。ここから先は処理業者との連携作業です。私は事前に処理施設の担当者へ廃棄物の内容や量を伝え、無害化処理の方法とスケジュールを打ち合わせておきました。施設ではアスベスト廃材は適切に固化処理され、PCB汚染物は高温焼却などにより安全な形に処理されます。処理の完了まで現場責任者として気が抜けません。
私は処理中の写真や経過報告を受け取りつつ、依頼主である工場オーナー様にも逐一進捗を報告しました。
また、法律上必要となる書類の整備も怠りません。今回のようなケースでは産業廃棄物管理票(マニフェスト)を交付し、廃棄物が適正に処理されたことを証明する必要があります。
私は回収から処分までの一連の流れを「廃棄物処理計画書」としてまとめ、処理の証拠写真を添えて依頼主に提出しました。こうした書面報告によって、産業廃棄物の処理が法令に則って適正に行われたことを客観的に示すことができます。現場での対応だけでなく、書類管理まで含めて完遂することがプロとしての責務だと痛感しています。
4. 作業完了と現場引き渡し:徹底した清掃と次工程への準備
特別管理産業廃棄物の搬出・処理が無事完了した後は、現場の最終チェックと清掃を行いました。アスベストやその他の破片が残っていないかを隅々まで確認し、高性能な業務用掃除機や集じん機で床面や壁際に潜む粉じんも徹底的に吸引しています。
自分の目で見ただけでなく、必要に応じて簡易なアスベスト濃度の空気測定も実施し、安全が確保されたことを確認しました。清掃後、防護シートやテープなど仮設の養生資材もすべて撤去し、廃材を一箇所に集積します。
最終的に、解体工事の次の工程(本格的な構造物の解体作業)にバトンタッチできる状態を整え、依頼主である工場オーナー様立ち会いのもと現場を一緒に確認しました。オーナー様からは「危険な廃棄物をきちんと処理してくれて安心した」とのお言葉をいただき、現場担当者として大きな達成感を得ています。
経験上、危険物対応では迅速さと慎重さのバランスが重要ですが、今回はその両方を追求し、結果として事故なくスムーズに作業を終えることができました。
まとめ
以上が、東京の解体工事現場における特別管理産業廃棄物(アスベスト含有建材・PCB機器等)の回収および処理の手順と現場報告です。専門業者が適切な手順を踏むことで、想定外の有害廃棄物が見つかった場合でも、安全かつ確実に対処できます。
工場オーナーの皆様におかれましても、自社の解体・改修の際には信頼できる業者に依頼し、法令遵守と安全管理を徹底することが何より重要です。
私たちも現場で培った知見を活かし、今後も環境と安全を最優先に作業に取り組んでまいります。