東京都の庭でカメムシ対策施工事例:ピーマン・ナスの害虫被害に対応

東京都の庭でカメムシ対策施工事例:ピーマン・ナスの害虫被害に対応

一般住宅の庭でピーマンやナスといった夏野菜を育てているお客様から、害虫被害のご相談を受けました。場所は東京都内の住宅街にある約30㎡ほどの小さな菜園です。作物の葉や実にカメムシ(いわゆる悪臭を放つ害虫)の被害が広がり、収穫量が低下しているとのことで、早急な対策が必要な状況でした。また、お客様からは「できるだけ農薬の使用を抑え、効果的なカメムシ対策を行いたい」とのご要望をいただきました。私自身、環境に配慮した防除を心がけているため、この方針に沿って作業計画を立案しました。
 

1. 施工準備(事前調査と計画共有)

まず現地に伺い、庭の状況と作物の状態を丁寧に調査しました。ピーマンとナスの葉裏に多数の小さなカメムシ(幼虫や成虫)が付着しているのを確認し、被害の程度や広がりを把握します。被害箇所や害虫の種類を特定した上で、対策の方針を決定しました。今回の主な対象害虫はカメムシであり、特にピーマンの実に吸汁痕が見られました。放置すれば実が変形したり落果する恐れがあるため、早急な駆除が必要と判断しました。

 

準備段階では、以下の資材を用意しました。

 

殺虫剤:
「ベニカ水溶剤」 – 植物に浸透移行性があり、カメムシなど汁を吸う害虫に効果が持続する薬剤です。お客様の希望通り最低限の使用に留める計画です。
 

捕獲トラップ:
市販のカメムシ用誘引トラップを数個設置するために準備しました。これはカメムシを誘い込んで捕獲し、個体数を減らす狙いがあります。
 

防虫ネット:
庭全体を覆えるだけの防虫ネットを用意しました。物理的にカメムシの侵入を防ぐ目的で、目の細かいガーデンネットを選択しています。


以上の計画や使用資材については事前にお客様と共有し、「農薬は必要最低限に、その他の方法も組み合わせて対策する」方針をご理解いただきました。プロの視点から現場の状況を説明し、なぜこれらの手段を選ぶのかを丁寧にお伝えすることで、お客様にも安心していただけました。
 

2. 病害虫の調査(被害状況の詳査)

次に、庭全体の病害虫発生状況を詳細に調べました。ピーマンとナスの株ごとに葉の表裏や茎、実の様子を確認し、カメムシの発生箇所と数を記録します。特に被害が深刻だったのは日当たりの良い場所に植えられたピーマンで、多数のカメムシが集中的についていました。ナスの方も新芽や葉に被害が見られ、一部の葉は吸汁被害で変色し縮れていました。

 

現場の経験上、カメムシ類は葉裏に隠れる習性があり、見落としやすい害虫です。そのため、朝晩の涼しい時間帯を選んで入念に葉裏を点検しました(気温が下がると虫の動きが鈍くなるため、このタイミングだと捕捉しやすくなります)。また、被害症状としてピーマンの実表面に小さな斑点や凹凸が出始めているのを確認しました。これはカメムシが実の汁を吸った痕跡で、放っておくと実が変形したり、最悪の場合は落果して収穫できなくなることもあります。

 

庭の周辺環境も調査し、近くにカメムシの発生源となり得る草むらや隙間がないかも確認しました。幸い、大きな発生源は見当たりませんでしたが、ご近所の庭から飛来する可能性も考慮に入れて対策を検討します。これらの調査結果をもとに、被害が特にひどい箇所を優先しつつ、庭全体をカバーする対策計画を練りました。
 

3. 対策の実施(駆除と予防の施工)

調査結果に基づき、具体的なカメムシ対策を実行に移しました。まず、被害が集中しているピーマンの株を中心に、必要最小限の範囲で殺虫剤(ベニカ水溶剤の希釈液)を散布しました。今回はお客様の希望に沿い、農薬の使用量と散布エリアを絞っています。具体的には、カメムシが群がっていた葉裏や新芽付近を狙い、ピンポイントで噴霧しました。薬剤散布は風の穏やかな早朝に行い、周囲の環境や他の益虫への影響を抑えるよう配慮しました。

 

次に、防虫ネットの設置です。準備した目合いの細かい防虫ネットで、ピーマンとナスの区画全体を覆いました。実際の作業では、植物を傷めないよう支柱を立ててネットが直接葉に触れないように張るのがポイントです。ネットを設置することで、新たなカメムシの飛来を物理的に遮断し、既に内部にいる害虫の逃げ場もなくす効果があります。現場ではネットの隙間がないか念入りに確認し、地際もピンや重しでしっかり固定しました。これにより、後からカメムシが入り込むリスクを大きく減らしています。

 

さらに、捕獲トラップの設置も行いました。ネット内に閉じ込められたカメムシや、ネットの外周に集まるカメムシを減らすため、誘引型の捕獲器を数カ所にセットしました。実際に作業してみると、ネットを張った直後から外側にカメムシが張り付いているのが見られ、トラップを設置することでそれらも徐々に捕獲できました。トラップにはフェロモンで誘引するタイプを使用し、強い農薬を使わずに成虫を効率よく減らす工夫です。

 

私自身、このように薬剤・ネット・トラップを組み合わせる**総合的な害虫管理(IPM:総合的病害虫管理)**を心がけています。一つの方法に頼るのではなく、複数の対策を並行して行うことでそれぞれの弱点を補い、より確実にカメムシ被害を抑えることができました。

 

4. 環境への配慮(農薬低減と生物的防除)

お客様の希望通り、環境への配慮を重視し農薬の使用量を最小限に抑えました。その代わりに、他の手法も取り入れて持続的な防除効果を狙っています。具体的には土壌改良と天敵の活用です。

 

まず土壌改良については、植物が健全に育つよう堆肥やボカシ肥料を使って土の状態を良くしました。土壌の栄養状態や微生物環境が向上すると、作物自体の抵抗力が高まり害虫被害に強くなる効果が期待できます。実際、現場でも追肥と土の耕し込みを行い、根張りを促進する処置を施しました。これは即効性の対策ではありませんが、長期的にはカメムシを含む害虫に「負けない」丈夫な作物づくりにつながります。

 

次に天敵の活用ですが、カメムシに対して有効な天敵昆虫(※例えば卵に寄生する小さなハチ類など)が自然に増えるよう、庭の生態系を整える提案をしました。具体的には、ハーブやミントなどの香りの強い植物を畑の周囲に植えることも助言しました。ミント類はカメムシが嫌う匂いを発し、防虫効果が期待できますし、花が咲けば益虫(カメムシの卵を狙う寄生バチ等)の活動も促します。また、庭の隅に雑草や落ち葉をあえて少し残し、カメムシの天敵となるクモやカマキリなどが棲み処を得られる環境作りも提案しました。

 

これらの環境配慮型の対策は即座に効果が現れるものではありませんが、農薬だけに頼らない持続可能なカメムシ対策として重要です。私自身、長年の経験から、生態系を味方につけることで結果的に害虫発生を抑えられる場面を多く見てきました。そのため、お客様にも「時間はかかりますが、自然の力を活用することで薬剤に頼りすぎない菜園管理ができます」と説明し、理解と協力をお願いしました。

 

5. メンテナンスと今後のケア(作業後の説明)

施工完了後には、今後のメンテナンス方法についてお客様に丁寧に説明しました。まず、防虫ネットは常に効果を発揮する反面、日々の点検と管理が必要です。ネットに破れ目や隙間がないか定期的にチェックし、見つけた場合はすぐに補修または交換するようお願いしました。ネットの裾がめくれて隙間ができると、せっかくのカメムシ対策も台無しになってしまうためです。

 

また、捕獲トラップについても定期的に様子を見ていただくようにしました。誘引剤の有効期間が過ぎたら交換する必要があるため、その目安となる期間(商品にもよりますが通常数週間程度)をお伝えし、カレンダーに印を付けて管理していただく提案をしています。実際に設置したトラップにも、施工日の日時をマジックで書き込んでおき、交換時期がひと目で分かる工夫を現場で行いました。

 

さらに、追加の農薬散布の判断についてもアドバイスしました。今回最初の散布では被害はかなり抑えられましたが、カメムシは活動時期が長く成長も早い害虫です。一度の散布だけでは再発する可能性も高いため、今後もし再び数が増えてきたら、今回使用したベニカ水溶剤を適切な時期に繰り返し散布するようお願いしました。その際も、害虫の数や植物の様子を見ながら必要最低限に留めること、および収穫直前には薬剤を使わないよう注意点も伝えています。

 

最後に、お客様には今回の作業を通じて得られた知見も共有しました。例えば、「朝夕の涼しい時間帯に見回りをすると害虫を見つけやすいこと」や「ミントなどを植えておくとカメムシ避けに役立つ可能性があること」など、現場で私が実感したポイントです。お客様は「プロならではの具体的なアドバイスで勉強になりました」と大変喜んでおり、私も自分の経験がお役に立てて嬉しく思いました。


以上が、東京都内の庭におけるピーマン・ナスのカメムシ対策施工事例の報告となります。現場の視点とプロの経験を踏まえ、単なる作業報告にとどまらず、なぜその方法を選んだのかという背景や私自身の感じたことも交えて記載しました。

害虫対策は状況に応じて柔軟な対応が求められますが、本事例が同様の悩みを持つ方々の参考になれば幸いです。

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