工場屋根の太陽光パネル清掃実績

工場屋根での太陽光パネル清掃レポート – 高所作業の注意点と発電効率の改善

太陽光パネル 清掃は発電効率の維持に欠かせないメンテナンスです。今回、工場の屋根に設置された太陽光パネルの清掃依頼を受け、実際に作業を行いました。パネル表面には砂埃や水垢、鳥のフンなどの頑固な汚れが付着し、発電効率の低下が懸念される状態でした。太陽光パネルは定期的な清掃で性能低下を防げますが、屋根上での高所作業には専門的な技術と十分な安全対策が求められます。以下、実務的な視点と現場での経験を交え、清掃の手順とポイント、発電量への効果、高所作業の注意点について報告します。
 

太陽光パネル 清掃の必要性と現場状況

工場屋根には数十枚規模の太陽光パネルが並んでおり、その多くが薄く灰色がかった汚れで覆われていました。中には鳥のフンがこびり付いて黒く斑点状になったパネルもあり、一部のパネルでは明らかに光の透過が妨げられている状態でした。

こうした汚れの放置は発電量の低下を招くだけでなく、パネル全体のシステム効率にも悪影響を及ぼします。特に鳥のフンなどでパネルの一部が長期間覆われると「ホットスポット現象」が発生し、その部分が異常高温となって故障や火災の原因にもなりかねません。幸い今回の現場では重大な不具合は起きていませんでしたが、汚れによる効率低下と将来的なリスクを考慮し、早急な清掃が必要な状況でした。
 

依頼者であるパネルオーナー様も、モニター上で発電量の緩やかな低下に気付きご相談くださいました。太陽光パネルは雨で自然に汚れが落ちると誤解されがちですが、鳥のフンや花粉、黄砂などは雨だけでは簡単に落ちません。

特に工場屋根のように傾斜が緩い設置箇所では、急勾配の屋根より汚れがたまりやすい傾向があります。このため定期的な清掃によるメンテナンスが不可欠であり、専門業者による作業をご依頼いただいた形です。

 

高所作業の施工準備と安全対策

清掃作業に先立ち、まずは安全最優先で準備を行いました。工場屋根での高所作業となるため、作業員はフルハーネス型の安全帯(命綱)を着用し、ヘルメットや滑り止め付きの安全靴を装備しました。日本の労働安全衛生規則では高さ2m以上の高所作業時には、足場の設置や安全帯の使用が義務付けられており、2019年の法改正以降はフルハーネスの使用が完全施行されています。

今回の現場でも安全基準を順守し、墜落防止措置を徹底しました。また、屋根の勾配や材質(折板屋根か防水シートか等)を事前に確認し、必要に応じて仮設足場や高所作業車の手配も検討しました。
 

 準備した主な資機材

  • 安全帯(フルハーネス型)と安全ブラインド(命綱アンカー)
     
  • 保護ヘルメット・滑り止め付き作業靴
     
  • 高所用の仮設足場材一式(必要に応じ設置)
     
  • 専用の太陽光パネル清掃用洗浄剤(中性タイプの洗剤)
     
  • 柔らかいブラシ(パネルを傷付けない軟毛ブラシ、伸縮ポール付き)
     
  • マイクロファイバークロスやウエス(洗浄後の拭き取り用)
     

準備段階では天候も考慮し、風が強い日や雨天は避けて作業日程を調整しました。高所での水を使う作業は風に煽られると危険なため、幸い作業当日は穏やかな晴天で条件は良好でした。チームで入念に打ち合わせを行い、作業範囲や動線、緊急時の連絡手順を確認した上で清掃に取り掛かりました。

 

パネル汚れの事前調査

作業開始後、まずはパネルの汚れ具合を一枚一枚詳しく調査しました。表面のガラス越しに内部のセルがくすんで見えるパネル、明らかに汚れで曇っているパネルなど様々でした。主な汚れの種類としては鳥のフン、砂埃(砂ぼこり)、水垢が確認されました。特に鳥のフンは日光で固着しており簡単には落ちない頑固な汚れです。これらは強引に擦るとパネル表面の強化ガラスを傷つける恐れがあるため注意が必要です。

また、水垢は雨水中のミネラル分が蒸発残留してできるもので、放置すると白い曇りの膜となり発電を妨げます。砂埃や黄砂も広範囲に薄く付着し、光の透過率を下げる要因となっていました。

パネルごとの汚れ方を把握したうえで、汚れの程度に応じて適切な清掃方法を選択します。例えば鳥のフンが厚く付着している箇所は、いきなり擦らずまず洗浄剤を染み込ませて汚れを軟化させました。一方、砂埃程度の汚れであれば広い面積を一度に洗浄できますが、鳥のフンのような局所汚れは周囲へ汚れを広げない工夫も必要です。

事前調査によって汚れの種類・箇所を特定したことで、後述する清掃手順を効率的かつ確実に進める計画を立てることができました。
 

清掃手順と作業上の工夫

清掃作業はパネルと架台を傷つけないよう細心の注意を払いながら進めました。まず、専用洗浄剤を希釈した水溶液をパネル表面に散布し、汚れを浮かせます。洗浄剤は太陽光パネル用に開発された中性クリーナーで、ガラス面にダメージを与えず汚れを分解するものです。しばらく浸透させた後、毛先の柔らかいブラシで優しくこすって汚れを落としました。この際、高圧洗浄機で水を直接吹き付ける方法は使用しませんでした。

高圧の水流は一見きれいになるようでも、実はパネル内部のセルを微細に損傷させたり(マイクロクラック)、フレームとガラスの隙間から水が浸入するリスクがあるためです。実務上もメーカーから高圧洗浄の直噴は避けるべきとされており、今回はすべて手作業で丁寧に清掃対応しました。
 

洗浄時には決してパネルの上に乗らないよう作業しました。太陽光パネルは見た目には丈夫そうですが、人間が上に乗るだけで割れたり細かな傷が付いたりする繊細なものです。そのため、清掃スタッフは屋根の梁(桁)や設置架台を踏み場にして姿勢を確保し、長尺の伸縮ポールに取り付けたブラシで遠くのパネルにも手を届かせました。こうした工夫によりパネル面に直接荷重をかけずに汚れを落とすことができます。

また、使用する水についても留意しました。基本的には水道水を使用しましたが、可能な範囲で最終すすぎには純水(イオン交換水)を使い、水道水に含まれる塩素やミネラル分による水垢が残らないよう配慮しました。洗浄後は柔らかいマイクロファイバークロスでパネル表面を拭き上げ、水滴や洗剤分を残さず仕上げます。拭き取りによってガラス面の透明度が一段と回復し、パネルが新品同様に光を反射するのが確認できました。

 

実際の太陽光パネル清掃作業の様子です。工場の屋根上で、作業員が長い伸縮ポールの先に取り付けた軟毛ブラシを使い、パネルに直接乗らず安全な姿勢で表面の汚れを丁寧に洗浄しています。この方法ならパネルへの物理的負荷を避けつつ、離れた位置からでも確実に清掃が可能です。ブラシで汚れを浮かせた後は、雑巾やモップで水分を拭き取って仕上げており、洗浄前後でパネル表面の輝きが大きく違うことが現場でもはっきりと分かりました。

 

清掃後の発電効率改善効果の確認

清掃作業完了後、早速太陽光パネルの発電状況を確認しました。簡易的な直射日光下での電圧・電流チェックや発電モニターの数値をもとに、清掃前と比較した発電効率の変化を測定します。その結果、いくつかのパネルでは清掃前と比べて発電量が明らかに向上していることが確認できました。特に鳥のフンが付着していたパネルでは部分的な影が解消されたため、出力が顕著に回復しています。依頼者様にもモニター画面をお見せしながら説明したところ、「数値がはっきり改善していて驚きました」と大変喜ばれました。
 

具体的な改善幅は汚れの程度によりますが、専門業者による洗浄で平均7%程度発電量が回復した事例も報告されています。今回の現場でも体感的に5~10%前後の効率アップが見込まれます(清掃前後で日照条件が完全に同一ではないものの、短期間で比較し大きな向上が見られました)。一見数%の効率低下はわずかに思えますが、これが長期間続くと積もり積もって大きな発電ロス(売電収入の損失)につながります。

実際、パネル枚数の多い大規模施設では数%の低下でも年間では相当な発電量の差となるため、オーナーにとって見過ごせない問題です。清掃後にパネルが本来の性能を取り戻したことは、発電効率の面でも大きな成果と言えるでしょう。なお、別の実績では約10%低下していた発電効率が洗浄によって運用開始時の数値まで回復したケースも報告されており、定期清掃の有効性が裏付けられています。

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