神奈川県エステサロンの床クリーニング・新規ワックス塗布【施工事例】
※クリーニング後のエントランス画像
冬季に神奈川県内のエステサロンにて、床のワックス剥離洗浄と新規ワックス塗布作業を行いました。施工範囲は受付、施術室2室、トイレ、スタッフ控室、待合室、通路と広範囲に及びました。作業後には床面の細かなキズが消え、特に待合室は高級感がぐっと増した印象となりました。以下では、その施工手順と作業後の変化について詳しくご紹介します。
現場調査
店長様より「前回の施工から1年ほど経ち、床のくすみが気になるので店舗全体をワックスがけしてほしい」とのご依頼をいただきました。
ご提供いただいた写真から「床材:フローリング」、「ワックスの蓄積具合:中程度」を確認できました。これら二つの情報が揃えば作業量は十分に算定できます。さらに、写真を解析したのはフローリングの剥離洗浄を数多く手がけてきた担当者で、剥離回数や作業時間を精度高く見積もれると判断しました。
そのため現地調査を省き、机上で見積もりを作成しています。
剥離作業にどれだけ時間がかかるかを見極めることが最大のポイントです。
剥離作業は
- 剥離剤を全面に塗布
- ポリッシャーで研磨洗浄
- 汚水をバキュームで回収
という上記工程を、ワックスの厚みに応じて1〜数回繰り返します。
フローリングは水分に弱いため、水量を最小限に抑えること、状況により別工法へ切り替える可能性があることを見積書に明記しました。
こうしてお見積もりをご提出したところ、ご予算面も含めご納得いただき、正式にご依頼を承りました。
※クリーニング後の施術室画像
施工準備
エステサロン特有の対応と事前確認
作業開始前には、まず養生シートや養生テープを使って壁際や家具を保護し、作業エリア外へ洗剤や汚水が流れ出ないようしっかり養生しました。受付や待合室にある備品類も必要に応じて移動またはカバーリングし、安全な作業スペースを確保します。そのうえで、施工範囲内にポリッシャー(床磨き機)やモップ、専用洗剤、吸水バキュームなど必要な機材・資材をすべて搬入・配置して準備完了です。事前の丁寧な準備が、安全かつ効率的な作業につながります。今回はご依頼いただいたエステサロン様は、女性の美を追求したラグジュアリーな空間づくりにこだわっており、男性客入店禁止というポリシーをお持ちでした。そのため、営業終了後30分ほど経ってから訪問し、店長様と施工箇所の最終確認を行いました。店長様は床のくすみを大変気にされていたため、「今回の作業では古いワックスをすべて剥離して床材本来の状態まできれいにします」と説明したところ、大いにご期待いただけたようです。その期待に応えられるよう、こちらも身の引き締まる思いでした。
高級空間での養生対策
剥離作業では大量の水を使用するため、洗剤液や汚水が店内の他の場所へ流出しないよう養生が欠かせません。また、高級家具が多く配置されたラグジュアリーな空間ですので、機械を使用する際の接触にも十分注意する必要があります。作業開始前には、まず作業範囲を明確に区切って養生を徹底しました。特に水分の侵入を防ぐため、範囲外との境界や床に設置されたコンセント・ドアストッパーに至るまで、養生シートとテープで完全にカバーしています。さらに、移動可能な家具はあらかじめ他の場所へ移動し、汚水が飛び散って汚損しないよう万全の対策を取りました。
機材・薬剤の搬入と段取り
準備段階では、必要な機械・道具・薬剤・ワックス類を車両から現場まで安全に搬入します。エレベーターの扉や壁面、ドアなどにぶつけないよう注意し、薬剤は絶対にこぼさないよう細心の注意を払って運び込みました。
搬入後は、必ず床に養生シートを敷き、その上に機材や薬剤を使用順にきちんと並べて配置します。道具を探す手間を省くことで作業効率が格段に上がるためです。「段取り八分」という言葉がある通り、現場仕事では作業前の段取りがとても重要になります。
使用機材と選定理由
- 洗剤塗布用: セイワ製モップ + クリンネスハンドル
- 洗浄用: アマノ製ポリッシャー(14インチ) + パッド各種(茶・緑)
- 汚水回収用: シリコン製の水切りワイパー(カッパぎ)※シリコン素材はゴム製より柔らかく、汚水回収率が高い
使用薬剤と希釈方法
剥離・コーティング作業では以下の薬剤を使用しました。
- 剥離剤: PB剥離剤(超強力タイプの剥離剤。同等品としてリンレイ社「ギガパワー」やミッケル化学社「ハイパーリムーバー」等があります)
- ワックス: リンレイ社「ハイテクフローリングコート」(木床用の樹脂ワックス。光沢感が高いため採用しました)
また、剥離剤は作業前に所定の濃度に希釈して用意しておきます。18Lサイズのペール缶に水を約15L入れ、そこに剥離剤原液を加えて希釈しました。経験上、剥離剤の洗浄力が最も強く発揮されるのは「アルカリ電解水15Lに対し剥離剤4L」で希釈した場合です。アルカリ電解水で希釈すると、水道水で希釈するより格段に剥離力がアップします。今回は床のビルドアップ状況から判断し、水15Lに対し2Lの剥離剤を加える希釈でスタートしました。作業途中で剥離力が不十分と感じた場合は剥離剤をもう1L追加し、水15Lに対し計3L(希釈率約5倍)に調整して進める方針としています。
※クリーニング後の施術室画像
ワックス剥離洗浄
ワックス剥離洗浄の流れ
まず希釈した剥離剤を床全面に均一に行き渡らせ、十分に反応させた後、ポリッシャーで古いワックス皮膜と蓄積した汚れを研磨除去しました。機械が届かない隅や壁際はハンドスクレーパーを使って丁寧にワックスを剥がし、発生した汚水は随時吸水バキュームですばやく回収しました。これにより床は素材本来の状態を取り戻し、新しいワックス塗布のための良好な下地が整いました。
まず、希釈した剥離剤(水15Lに対し剥離剤2Lを混合)をモップで施工箇所の床全面に丁寧に塗布していきます。この際、「塗りムラ」や「塗り残し」があると仕上がりに大きく影響するため、隅々まで均一に行き渡らせることが重要です。剥離剤を塗布する際は、やや力を入れてモップを押し付けながら塗りました。剥離剤でワックス皮膜を溶かして密着力を弱め、その後の研磨洗浄でワックスを除去する流れですが、塗布時にある程度力を加えて擦り付けることで、剥離剤の塗布と軽い研磨を同時に行う効果があります。これにより作業時間の短縮や薬剤の節約(必要以上に剥離剤を追加しない)にもつながるため、剥離剤塗布時の大事なポイントです。また、剥離剤を塗り広げながら、今回希釈した濃度で十分にワックスが溶解するかもチェックしました。実際に床を手で触れてみて、ワックス成分がドロッと溶け出している感触があればOKのサインです。
剥離剤の効果確認と使用判断
今回の現場では2L希釈で問題なくワックスが溶けたため、剥離剤の追加投入は行わないことに決定しました。
ポリッシャーによる1回目の洗浄作業
剥離剤が全体に行き渡ったら、次にポリッシャーを使った機械洗浄を開始します。今回は最低2回の洗浄を実施する計画です。ワックスの蓄積が少ない場合でも、洗浄は2回以上行わないと剥離剤成分が床に残留しやすく、仕上がりがベタついて再清掃が必要になるためです。まず1回目の洗浄では、茶色の剥離用パッドを装着したポリッシャーで床全面を磨きました。ポリッシャーの水タンクからは常に清水を流しながら洗浄し、同時に別のスタッフが先述のシリコンワイパーで汚水を速やかに回収しつつ作業を進めます。フローリング上に汚水が長時間溜まると変形のリスクがあるため、できるだけ即時に回収するよう努めました。その甲斐もあって、1回目の洗浄で既存ワックスの大半を取り除くことができました。
ポリッシャーによる2回目の仕上げ洗浄
完全にワックスを除去するため、続いて2回目の洗浄に移りました。最後の洗浄段階では、使用する剥離剤とパッドの強さを落として仕上げに備えます。具体的には、残っていた剥離剤溶液(15Lの水+剥離剤2Lを混ぜたもの)のペール缶に水をさらに半量追加し、希釈率を倍に薄めました。また、ポリッシャーのパッドも茶色のものから目の細かい緑色のパッドに交換しています。
ワックスがほぼ除去された段階では、強力な剥離剤や研磨力の高いパッドを使い続けると床材そのものにキズを付ける恐れがあるためです。希釈した剥離剤を再度全体に塗布し、緑パッドで優しく機械洗浄した後、汚水をしっかり回収しました。これで古いワックス皮膜は完全に除去できています。
ワックス剥離洗浄が無事完了したので、次は仕上げ洗浄の工程に進みます。
※クリーニング後のトイレ画像
仕上げ洗浄
仕上げ洗浄の重要性
剥離洗浄後は、洗剤成分や古いワックスのカスが床面に残らないよう、仕上げとして清水での水拭きを徹底しました。ポリッシャーのタンクに水だけを入れ、床全体を丁寧に水洗いし隅々まで剥離剤分を洗い流しました。洗浄後は再度バキュームで水分をしっかり回収し、床を完全に乾燥させました。洗剤分を残さず洗い上げたことで、その後に塗布するワックスの密着度と仕上がりの美しさが向上しました。
床面に成分を残さないための対応
剥離後の仕上げ洗浄で最も重要なのは、床面に剥離剤の成分を一切残さないようにすることです。ここを怠ると、新しくワックスを塗って乾燥させた後に床がベタついたり、歩行時に靴底の跡が付きやすくなったりして、せっかくの仕上がりが台無しになってしまいます。実際、仕上げ洗浄を不十分に終えた場合、こうした現象が起きてしまい、結局もう一度洗浄し直す羽目になります。
清水による丁寧な水洗い工程
仕上げ洗浄では洗剤を使わずポリッシャーのタンクに清水だけを入れ、緑パッドを装着して全体を水洗いしました。出てきた汚水は先述のワイパーで素早く回収し、さらにモップ拭きで仕上げます。
モップ2本体制によるリンス作業
モップは2本用意します。まず1本目は水に浸してから軽く手で絞り、床に十分な水分が行き渡る「ひたひた」の状態で床全体を拭き上げました。この工程はリンス(水すすぎ)の意味合いがあり、ここでも洗剤成分の残留リスクを下げることが目的です。剥離剤や洗剤が残っているとワックスの密着力や光沢を低下させてしまうため、たっぷりの水拭きは重要なポイントとなります。
巾木(はばき)の汚れにも対応
モップ掛けと同時に巾木(壁の下部)も忘れず水拭きしました。洗浄中に巾木にも汚水が飛び散っていることが多いため、ここを拭き上げないと部屋全体が綺麗に見えないからです。
乾拭きモップで最終仕上げ
続いて2本目のモップは、水に浸してからぎゅっと固く絞った状態で使用します。1本目で濡れた床面を今度はしっかり拭き取り、残った水分や汚れを完全に回収しました。モップ掛けは汚れ残りの最終チェックも兼ねていますので、床面を隅々まで注視しながら作業しました。もし汚れを見つけた場合には、その部分を再度洗浄し、最後に床全体が完璧にクリーンな状態になっていることを確認しました。
※クリーニング後の施術室画像
ワックス仕上げ
ワックス仕上げの工程
床面を完全に乾燥させた後、高耐久の樹脂ワックスを隅々まで均一に塗布しました。ワックスは薄くムラなく塗り、重ね塗りによって光沢と耐久性をさらに高めました。塗布後は業務用の送風機を使用し、乾燥時間を大幅に短縮しました。新しいワックスにより、床全体に美しい光沢が蘇り、表面もしっかり保護されました。
乾燥準備と送風機の使い方
ワックス塗布に入る前に、フロアファン(業務用送風機)を使って床面を完全に乾燥させました。送風時には什器(備え付けの家具)の下などに溜まっていたホコリが舞い上がる場合があるため、最初は弱風で運転し、徐々に風量を上げていきます。フロアファンが使用できない現場ではエアコンの送風で乾燥させますが、フロアファンとエアコンを併用するのが最も効果的です。なお、経験上、床面に少しでも水分が残っているとワックスの光沢感が確実に落ちてしまうため、入念に乾燥させることが重要です。
1回目のワックス塗布(下地)
床が乾いたら、いよいよワックスを塗布します。まず1回目は、塗りムラ・塗り残し・かすれがないよう注意しながら薄めにワックスを塗りました(床がかすれない程度の適量を塗布)。この1層目は下地を作るイメージです。乾燥を待ってから2回目を塗布します。
2回目のワックス塗布(仕上げ)
2回目も基本要領は同じですが、1回目よりもワックスの量をおよそ1.5倍に増やし、膜厚をつけて光沢感を引き出すことを意識しました。ワックス塗布中は送風機の使用を一時停止しました。風が当たる部分だけ乾燥が早まると、仕上がりにムラが生じてしまうためです。
最終確認と重ね塗りの判断
2回目のワックスが完全に乾燥し、床面にしっかりとした光沢が現れたことを確認できれば作業完了です。もし光沢が物足りない場合はもう1層重ね塗りしますが、今回は通常通り2層で十分な光沢が得られました。
作業後の変化と印象
今回の施工で床は見違えるほど綺麗になりました。古いワックスで覆われて目立っていた細かなキズや汚れも消え、床本来の光沢が蘇りました。特に待合室の床は新品のような輝きを放ち、空間の高級感がぐっと増しました。サロン全体の印象も明るく一新され、スタッフの皆様にも大変喜んでいただけました。この作業を通して、改めて定期的な床メンテナンスの大切さを実感した次第です。
豆知識: ワックス剥離とコーティングの活用
ワックスの剥離清掃は、通常、ワックス塗布を繰り返し10回程度行ったタイミング(目安として1年〜数年に一度)で実施すると、美観を維持しやすくなります。また、定期清掃の仕上げを通常のワックス掛けではなくフロアコーティングに変更することで、光沢の維持期間が延び、日頃の清掃負担を軽減する効果も期待できます。床材の状態やお客様のご要望に応じて、最適なワックスやコーティング剤を選ぶことが肝心です。床清掃やワックスに関するお悩みがありましたら、ぜひ私たちお掃除のプロにご相談ください。