デイサービス施設浴室のシャワーヘッド交換作業報告
老人ホーム浴室のシャワーヘッド修理の背景と目的
老人ホームの浴室修理や設備メンテナンスは、利用者の安全と快適さに直結する重要な作業です。今回、デイサービス施設の浴室においてシャワーヘッドの交換修理作業を実施しました。既存のシャワーヘッドとホースには長年の使用による経年劣化が見られ、水漏れや操作不良といった問題が生じていたため、安全性と衛生面の向上を目的に交換に踏み切りました。
高齢者施設では入浴設備のトラブルは大きな事故につながりかねないため、早めの対策が求められます。
そこで今回はプロの業者として、適切な交換部品の選定と確実な施工を行いました。
使用部材と製品選定の理由
今回のシャワーヘッド交換では、TOTO製の交換用シャワーヘッド(品番: THC46)とシャワーホース(品番: TH5C0949)、さらに専用の調圧弁(品番: THJ6R)を使用しました。それぞれ現場の状況と既存設備との適合性を考慮して選定したものです。元々浴室の水栓金具がTOTO製であったため、信頼性と互換性の観点から純正部品を採用しています。
また、THC46は手元で吐水を一時停止できる「クリック」機構付きのシャワーヘッドで、入浴介助中にシャワーを一時止水したい場合に便利です。TH5C0949のシャワーホース(長さ1.6m)は柔軟性と耐久性に優れ、既存の混合水栓側ネジ規格(W24山20)に適合するため漏水リスクを低減できます。
さらに、THJ6Rの調圧弁は旧型(品番:THJ6)の後継品で、クリックシャワーヘッドと組み合わせて使用することで手元で止水した際のホース内圧力を適切に調整します。メーカーの指針にもあるように、クリック機構付きシャワーヘッドは必ず専用調圧弁とセットで使う必要があり、これによりホース内圧の上昇を抑えて長時間使用時のホース破損や水漏れを防ぐことができます。
※各製品の補足: THC46シャワーヘッドは旧モデル(生産終了品)の後継デザインで、従来のアイボリー調から清潔感のあるホワイトへ変更され、形状もスマートになっています。手元止水ボタンの操作性と止水性能も向上しており、長年の使用で生じていた止水不良もこれで解消が期待できます。
TH5C0949ホースは標準的な長さで浴室内で取り回ししやすく、交換によってホース表面のひび割れや硬化も解消されました。
調圧弁THJ6Rは真鍮製で耐久性が高く、取付時は工具で確実に締め付けることで安全に使用できます。
作業日時と現場での配慮
作業は施設の営業時間内でも浴室が使用されていない時間帯を選んで実施しました。デイサービスでは主に午前中から昼過ぎにかけて利用者の入浴介助が行われるため、その合間となる午後の休憩時間帯に施工を計画しています。
事前に施設スタッフとも調整を行い、利用者様に影響が出ないよう配慮しました。
また、作業中は浴室の床が濡れて滑りやすくならないよう、防水シートやタオルで養生し、安全確保に努めています。万一に備え、浴室内の他の備品にも保護カバーを掛け、施工による汚損や破損がないよう注意を払いました。
施工手順とプロの工夫
実際のシャワーヘッド交換作業は以下の手順で進めました。
- 事前準備
交換用の新部品(シャワーヘッドTHC46、ホースTH5C0949、調圧弁THJ6R)をあらかじめ現場に用意し、必要な工具類(モンキーレンチ、プライヤー、シールテープなど)も揃えました。作業開始前に浴室の混合水栓に設置されている止水栓を閉め、水が出ない状態にしてから開始します。
念のため、施設側の了承を得て浴室エリア全体の給水も一時停止し、安全第一で臨みました。
- 既存シャワーヘッド・ホースの取り外し
まず古いシャワーヘッドとホースを慎重に取り外しました。長年使用されたホースは硬化しており、接続部に固着が見られたため、プライヤーでホースナット部をしっかり保持しながらモンキーレンチでゆっくりと緩めています。
取り外す際に残留水が多少漏れるため、浴槽内でホースを外すことで水が飛び散らないよう配慮しました。
外した古いホースを確認すると内部のゴムパッキンが劣化しひび割れていたほか、手元止水機構付きの旧シャワーヘッドもボタン周辺に水垢と樹脂劣化が見受けられ、交換時期として適切であることを再認識しています。
- 調圧弁の交換
続いて、混合水栓本体側に組み込まれている調圧弁を交換しました。既存の調圧弁(旧型THJ6)が装着されていたため、レンチで慎重に取り外します。新しい調圧弁THJ6Rのネジ部にはシールテープを適量巻き、混合水栓の所定の位置に確実にねじ込みました。
ここでは締め付けすぎによるネジ山の破損に注意しつつ、十分な気密が取れる力加減で固定しています。調圧弁はクリックシャワーヘッドの性能を左右する重要部品であり、適切に交換・設置することで手元止水時の水圧調整が正常に機能するようになります。
- 新しいホースとシャワーヘッドの取り付け
調圧弁交換後、新しいシャワーホース(TH5C0949)を混合水栓側の吐水口に取り付けます。ホース接続部には新品ホース付属のゴムパッキンを使用し、手締めで仮固定した後に工具で軽く増し締めして水漏れのないよう確実に接続しました。
同様に、ホース先端に新しいシャワーヘッド(THC46)を取り付けます。こちらはG1/2ネジでホースと接続されますが、手締めでほぼ密着する構造のため、最後にスパナで軽く締め付け確認を行う程度で十分です。樹脂製のシャワーヘッド本体を傷つけないよう、当て布をして工具を使うなど細かな配慮も怠りません。
- 動作確認と仕上げ
全ての部品取付が完了した後、止水栓を開放して通水し、動作確認を実施しました。新しいシャワーヘッドから水を出し、各接続部から漏れがないことを目視と手触りで丁寧にチェックします。次にシャワーヘッドの手元ボタンを操作して一時止水を試験しました。
クリック操作で確実に吐水が止まり、旧部品で問題となっていた「手元で完全に水が止まらない」という現象も無事に解消されています。止水中もホースが膨張したり異音がしないことを確認し、調圧弁が正しく機能していることを確かめました。
最後にお湯側も含めて温度調節機能を試し、適切な温度で安定して出湯できることを確認しています。作業後、取り外した古い部品類を回収し、浴室内を清掃して施工完了となりました。
施工結果と今後の効果
今回のシャワーヘッド交換修理により、デイサービス施設の浴室設備は安全性・快適性が向上しました。新しいシャワーヘッドTHC46は操作性が良く、手元での確実な止水が可能になったため、介助中の細かな水量調整が容易になっています。利用者様や介護スタッフにとって、必要なときにすぐ水を止められる安心感は大きなメリットです。水漏れしていたホースも新品交換されたことで、見た目にも清潔になり、床が濡れて滑るリスクも軽減しました。
加えて、専用調圧弁を併用したことで、今後は長期間にわたり安定した使用が期待できます。これらの部品交換は単発の対応ではありますが、定期的な設備点検と適切な時期での交換を継続することで、施設の浴室環境を良好に保つことができるでしょう。
おわりに
本施工報告は、老人ホーム・デイサービス施設における浴室シャワーヘッド交換修理の一例です。
現場の担当者として、利用者の安全と快適さを第一に考え、最適な部品選定と施工上の工夫を凝らして作業に当たりました。
浴室設備の不具合は放置すれば利用者の生活に支障をきたすため、今後もプロの視点で早期発見・早期対処に努めてまいります。施設のシャワーヘッド交換や浴室修理をご検討の際、本事例が参考になれば幸いです。