千葉県の貸別荘でのエアコン分解洗浄報告
今回は千葉県内のとある貸別荘物件より、エアコンの分解洗浄作業のご依頼をいただきました。
プロのエアコンクリーニング業者として、現場で行った作業内容と手順を実際の作業員目線で詳しくお伝えします。
対象の貸別荘にはダイキン製の壁掛けエアコンが計3台設置されており、それぞれの型番はF403ATEP-W、F633ATCP-W、F253ATES-Wでした。
短期の宿泊施設(マンスリーレンタル)として多くの方が利用する物件のため、エアコン内部にホコリやカビが蓄積しやすくなっています。
次の利用者様にも快適に使っていただけるよう、表面だけでなく内部まで徹底的に洗浄しました。
作業にあたっては、これまで培った清掃のノウハウを活かし、最適な機材と薬剤を駆使して安全かつ確実に汚れを除去できるよう努めています。
作業前の準備と現場状況
事前にオーナー様から「浴室を作業時の水場として使用してよい」との許可をいただいていたため、エアコン洗浄で出る汚水の処理や部品洗浄を浴室で行うことができました。
床や壁が水濡れに強い浴室を使わせていただけたおかげで、取り外したカバー類を洗う作業もしやすく、安全に進められて助かりました。
また、鍵の保管場所や物件周辺の地図も事前に詳しくご案内いただいていたおかげで、当日はスムーズに入室して作業を開始できています。
万一鍵が開かないなどのトラブルが発生した場合は直接作業員から連絡して良いとのお心遣いもあり、安心して現場入りできました。
現場では指示いただいた駐車場所を厳守し、近隣にご迷惑をかけないよう配慮して車両を停めています。
こうした事前準備と周到な確認のおかげで、作業も滞りなくスタートすることができました。
エアコン洗浄に使用した機材
現場で使用した主な機材は以下の通りです。
- エアコン用高圧洗浄機
– 家庭用電源で動作するコンパクトな高圧洗浄機です。エアコン内部洗浄専用の細いノズルを取り付けており、室内でも取り回しよく高圧水洗浄を行えます。 - クリーンパッド
– 汚れを拭き取るための使い捨てクロスです。5~10枚程度を予備も含めて用意し、汚れたら新しいものにすぐ交換しながら使用しました。 - 壁掛け用ホッパー(洗浄カバー)
– エアコン本体を覆うビニール製の洗浄カバーです。洗浄時に噴射した汚水をしっかり受け止めてバケツへ導く役割があり、周囲に汚水が飛び散らないようにします。 - 糸付き養生シート
– 四隅に紐の付いたエアコン用の養生シートです。エアコン本体を包み込むように掛けて、壁や床が水や汚れで汚れないよう保護します。 - マスカー(養生用フィルム)
– 粘着テープ付きの養生ビニールシートです。幅約550mm×2100mmで、エアコン周辺の壁面や床を広範囲に覆う際に使用しました。テープ一体型なので簡単に貼り付けできます。 - テープなしマスカー
– 粘着テープの付いていない大型の養生フィルムです。必要に応じてテープ付きのマスカーと組み合わせ、動かせない家具などもまとめてカバーしました。 - マスキングテープ/養生テープ
– 養生シート類を固定するためのテープ類です。壁に跡が残りにくく剥がしやすい素材のものを選んで使用しました。 - 脚立
– 室内機が高い位置に設置されているため使用しました。室内では脚立の脚に専用カバー(脚立用靴下)を装着し、床を傷つけないよう配慮しています。 - ペール(バケツ)×2個以上
– 洗浄用の清水用と汚水回収用に、それぞれバケツを用意しました。いずれも十分な容量のものを使い、洗浄途中で汚水が溢れないようにしています。 - バキューム(掃除機)
– 作業前のホコリ除去や、洗浄中に飛散した汚水を回収するために使用しました。水も吸引できる乾湿両用タイプです。 - バスブーツ(長靴)
– 浴室で取り外した部品を洗浄する際に着用する防水シューズです。作業者の安全と衛生のために利用しました。 - 腰袋(工具一式)
– ドライバーやヘラなどエアコン分解に必要な工具類をまとめて携帯できる腰袋です。すぐ工具を取り出せるため作業効率が上がり、部品やネジの紛失予防にも役立ちます。 - ドレンホースクリーナー
– エアコンの排水ホース内の詰まりを解消するポンプ式の清掃器具です。内部に溜まった汚れを吸引し、水漏れトラブルを防止する目的で使用しました。
エアコン洗浄に使用した薬剤
汚れの種類に応じて、アルカリ性洗剤と中性洗剤を使い分けています。今回主に使用した洗浄用の薬剤は以下の通りです。
- 万能洗剤(弱アルカリ性)
– タバコのヤニ汚れや油汚れなど、頑固な汚れを落とすための洗剤です。汚れのひどい箇所にポイントで使用しました。 - カビ取り剤(アルカリ性)
– エアコンの外装カバーに付着した黒カビを除去・除菌するための洗剤です。取り外したカバー類を浴室で洗浄する際に使用しました。
- 仕上げ用クリーナー(中性)
– エアコンの外装カバーやリモコンを仕上げ拭きするためのクリーナーです。拭きムラなく表面に光沢を出すことができます。 - エコ洗剤(中性)
– エアコン本体内部の洗浄に使用する環境配慮型の中性洗剤です。内部のホコリ汚れやカビを効果的に洗い落とすメインの洗浄剤として使用しました。 - 防カビ抗菌コート剤
– エアコン内部の洗浄後に吹き付けるコーティング剤です。内部に抗菌コート膜を形成し、カビの再発生を抑制する効果があります。
エアコン洗浄の作業手順
続いて、エアコン分解洗浄の具体的な作業手順を順を追ってご紹介します。以下のような段取りで作業を進めました。
- エアコン作業承諾書の説明: 作業開始前に、エアコンクリーニングの作業内容について記載された承諾書をオーナー様(または管理会社様)にご説明し、署名・ご了承をいただきました。エアコン内部の分解洗浄では水を使用するため、内部の電装部品に水がかかってしまう可能性を完全に排除することはできません。そのため、事前に書面で作業内容や万一のリスクについて丁寧に説明し、同意を得た上で作業に入っています。このように事前に取り決めを行っておくことで、後々のトラブル防止につながり、双方安心して作業に臨むことができました。
- サービス前確認事項: 承諾書の確認後、サービス開始前の細かな確認項目についてチェックを行いました。具体的には、エアコンが現在どの運転モード・設定温度になっているか、室外機の設置場所や異常音の有無、ブレーカー(分電盤)の位置などを事前に把握しています。また、水道や電源をお借りする際の使用場所(浴室やコンセント位置)の再確認も行いました。用意していたチェックリストに沿って一つひとつ入念に確認し、作業環境を万全に整えた上で清掃作業に取りかかりました。
- 事前確認(機能動作・破損箇所): エアコンの現状を把握するため、分解に入る前に各機能が正常に動作するかテスト運転を行いました。リモコンで送風運転・冷房運転を実行し、風がしっかり出て冷えること、異音がしないことなどを確認しました。同時に、本体外観やリモコンに破損や経年劣化がないか目視点検しています。例えば、フィルター枠にひび割れが生じていないか、風向調整用のルーバーに破損がないか、といった点を細心の注意でチェックしました。事前に不具合を把握しておくことで、万一作業後に不調が発生しても「清掃前からの症状かどうか」を判断しやすくなり、責任の所在を明確にすることができます。
- モノの移動(作業スペース確保): エアコン周辺の作業スペースを十分に確保するため、本体付近の家具や家電、装飾品などを一時移動しました。特にエアコン直下にテーブルや棚がある場合には、あらかじめ安全な場所へ退避させています。オーナー様の大切な家具に洗浄中の水滴やホコリがかからないよう、必要に応じて毛布やビニールシートで覆い保護しました。現場では限られたスペースの中、安全かつ効率的に作業できる環境づくりを常に心掛けています。家具の移動後には床にキズ防止用のシートを敷くなど、細かな点まで配慮して作業開始前の準備を完了させました。
- 周辺養生: エアコン本体の下部や周囲の壁・床を養生シートやマスカーでしっかりと保護しました。洗浄剤や汚水が壁や床に飛び散らないよう、エアコン直下から床まで広範囲にビニールシートを貼り付けています。特に壁紙やフローリングなど水分に弱い素材があるため、マスキングテープでシートの端を隙間なく固定し、隙間のない防水仕様の「作業エリア」を構築しました。プロの清掃現場では、清掃そのものと同様に養生に時間をかけて汚れゼロ・事故ゼロを追求します。事前に丁寧な養生を行っておけば、後片付けや万一のトラブル対応に追われる心配もなく、結果的に作業をスムーズに進められます。
- 分解: エアコン本体の外装カバー、前面パネル、フィルター、ルーバーなど、取り外し可能な部品はすべて慎重に取り外していきました。ダイキン製エアコンは機種ごとにネジの配置や内部の留め具(ツメ)の構造が微妙に異なるため、サービスマニュアルの知識とこれまでの経験を踏まえて、割れや破損が起きないよう注意深く分解しています。なお、送風ファン周辺は特にホコリが溜まりやすいため、アクセス可能な部品はこの段階で全て外しておくのがコツです。分解した部品やネジ類はその都度トレイに分類して保管し、紛失や取り付け位置の取り違えがないよう管理しました。取り外した部品の管理はクリーニングの仕上がりに直結するため、ここでも細心の注意を払っています。
- 本体養生: 内部洗浄の準備として、壁に残ったエアコン本体(熱交換器フィンやファンが露出した状態)に専用のビニール製洗浄カバー(壁掛け用ホッパー)をしっかりと取り付けました。ホッパーの底部はバケツに汚水を導ける仕組みになっており、高圧洗浄時に出る汚水をきちんと受け止めることができます。さらに、本体の周囲にもビニールシートを追加で覆い、万が一水が飛び散っても大丈夫なよう二重・三重の対策を施しました。この養生工程を疎かにすると水漏れなどの事故につながる恐れがあるため、プロの経験から特に念入りに実施する工程の一つです。準備が完了した段階で周囲を見渡し、養生に不備がないか最終チェックを行いました。
- 本体に洗剤つけ置き: 洗浄作業に入る前に、エアコン本体内部(熱交換器のフィンや送風ファン、ドレンパン周辺)に洗剤を噴霧して浸透させました。今回メインで使用したのは環境に優しい中性のエコ洗剤で、内部のホコリ汚れやカビに行き渡るよう全体にたっぷりと吹き付けています。汚れの程度に応じて、タバコのヤニ汚れが付着している箇所には弱アルカリ性の万能洗剤を局所的に使用し、黒カビが見られる部分にはカビ取り剤も追加で吹き付けて対処しました。洗剤をしばらく付け置くことで汚れが浮き上がり、その後の高圧洗浄で効率よく洗い流すことができます。焦らず洗剤が浸透する時間を十分に取り、数分間じっくり反応させました。このひと手間が最終的な仕上がりの差につながります。
- エアコン用高圧洗浄機準備: エアコン洗浄専用の高圧洗浄機を浴室に設置し、給水ホースを蛇口につないで使用準備を整えました。水圧はエアコン内部を傷めない適切な強さに調整し、ノズルも噴霧範囲の狭い専用ガンを装着しています。この高圧洗浄機はコンパクトながらプロ仕様で十分な水圧を出せるため、狭い室内でもホースの取り回し位置に気を配りました。また、作業中に水漏れなどのトラブルが起きないよう、ホース接続部の緩みがないか事前にチェックし、スイッチを入れる前に最終確認も行っています。こうした準備段階での入念な確認により、作業中のアクシデント発生率を下げ、安心して洗浄工程へ移行することができました。
- カバー/フィルター/部品洗浄: 取り外した外装カバー、フィルター、ルーバーなどの部品類は浴室に持ち込み、洗剤とブラシを使って一つひとつ洗浄しました。まずシャワーでホコリや汚れを大まかに洗い流します。次に、弱アルカリ性の万能洗剤を薄めた浴槽に部品類を入れてしばらく漬け置きし、その後スポンジやブラシで細部まで汚れをこすり落としました。タバコのヤニ汚れが付着していた箇所は特に念入りに洗浄し、カビが見られた部品にはカビ取り剤を使用してしっかり除菌しています。部品を洗浄する際には浴室用の長靴(バスブーツ)を着用し、安全かつ衛生的に作業しました。洗浄後の部品は浴室内で水切りを行い、最後にクロスで拭き上げて乾燥させています。プラスチック製の部品は水分が残っていると組み立て後に水滴が本体内部に落ちる可能性があるため、組付け前に完全に乾くまで十分に時間を置きました。
- 本体洗浄: エアコン本体内部の洗浄工程です。あらかじめ洗剤を行き渡らせておいた熱交換器フィンやファンに対し、高圧洗浄機で水を噴射して汚れを洗い流しました。取り付けた洗浄カバー(ホッパー)のおかげで、噴射された汚水はすべて壁面のシートを伝ってバケツに回収されます。最初は黒ずんだ汚水が勢いよく出てきて、フィンに蓄積していたホコリやカビ汚れが見る見る洗い流されていきました。水が透明になるまで何度も丁寧にすすぎ洗いを行い、内部の隅々まで清潔になったことを確認しました。この際、ドレンホースクリーナーも使用してエアコンの排水ホース内部に溜まった汚れや詰まりも吸引・洗浄しています。エアコンからの排水がスムーズに流れることを最終チェックし、内部に洗剤や汚水が一切残らないよう最後まで徹底的に洗浄しました。
- 本体の養生剥がし: 洗浄作業完了後、エアコン本体や周囲に施していた養生を慎重に取り外しました。まずホッパー内に溜まった汚水をバケツに移してから、洗浄カバーをゆっくりと取り外します。壁や床に貼っていた養生シートも、水滴が垂れないよう注意しながら巻き取るように剥がし、テープの糊が壁に残らないよう配慮しつつ撤去しました。養生を外す際は、もし見落としていた水滴が床に落ちてもすぐに拭き取れるよう、クロスを手元に用意して対応しています。最後に壁面や床面を確認し、水濡れや汚れが全く残っていないことを確認しました。養生の撤去と清掃確認まで終えて、内部洗浄の工程がようやく完了となります。
- 組み立て: エアコン本体内部が十分乾いたことを確認してから、取り外していた部品を元通りに組み立てました。フィルターやルーバー、外装パネルなどを一つずつ取り付け、ネジの締め忘れがないようチェックリストに沿って確認しました。特にフィルターの収まり具合やルーバーの可動部分など、正しく組み付けられているか細心の注意を払いながら作業しています。経験上、組み立ての際に小さなクリップやツメのはめ込みが不十分だと、運転時に振動による異音(いわゆるビビり音)の原因になることがあります。そのため、最後にパネル類を手で軽く揺すってガタつきがないか確かめ、確実に組み付けを完了させました。また、組み立て後に部品やネジが余っていないか念入りに点検し、すべてのパーツが正しく戻されたことを確認しています。それが済んだところで、次の動作確認工程に進みました。
- 動作確認: 組立後、電源を入れて冷房運転を行い、エアコンが正常に動作するか確認しました。ファンが正常に回転し、十分に冷風が出ることを確認しています。リモコンの各種ボタン操作も試し、風量調整や風向ルーバーの動作に問題がないかチェックしました。清掃前と比べて明らかに風量が向上し、吹き出し口から感じられていたイヤな臭いも消えたのを実感しました。オーナー様にも立ち会っていただき、この段階で一緒に風の出方や冷え具合を確認しています。実際に体感していただくことで、清掃の効果を共有でき、安心感にもつながったように思います。
- 内部乾燥: 動作確認後は、送風運転や内部クリーン機能を活用してエアコン内部をしっかり乾燥させました。洗浄直後は内部に水分が残っているため、この乾燥工程を行うことでカビの再発生を抑制できます。特に梅雨時や湿度の高い日には、乾燥運転を十分に行うことが重要です。今回は冷房運転後に送風のみで約10~15分間運転し、熱交換器やファン周辺に付着した水滴を飛ばしています。なお、プロのエアコンクリーニングでは、洗浄後に内部乾燥まで実施してこそ作業完了と捉えています。機械内部を最後までケアすることで、清掃効果を長持ちさせる狙いがあります。
- 仕上げ/片付け: エアコン本体の外観やリモコンをクロスで拭き上げ、細かな汚れも残さず仕上げました。取り外し作業時に手垢や洗剤が付着した可能性がある外装カバー類も、中性の仕上げ用クリーナーで磨き直し、ピカピカの状態に仕上げています。最後に、防カビ・抗菌コート剤をエアコン内部の熱交換器や吹き出し口付近に隅々まで噴霧し、目に見えない部分もしっかりコーティングしました。これにより、清掃後もしばらくはカビの繁殖を抑えることができ、オーナー様や利用者様にも安心してお使いいただける状態を保てます。使用した道具類はすべて回収し、養生シートやテープの剥がし残りが室内に残らないよう、床に落ちた小さなテープ片ひとつまで見逃さず撤去・清掃しました。荷物をすべて持ち出した後、道具の置き忘れがないか最終確認も行い、一連の片付け工程を完了しています。
- 作業エリア床清掃: 作業に使用したエリアの床や通路を最終チェックし、掃除機とモップで清掃しました。養生をしていても作業中に微細なホコリや水滴が床に落ちている場合があるため、隅々まで念入りに確認しました。特に浴室から部品を運搬した経路で、通路に水滴が落ちていないかを見逃さず拭き取っています。作業開始前よりも綺麗な状態になるよう心掛けて清掃を行い、移動させていただいた家具類もすべて元の位置に戻して室内を作業前のレイアウトに復元しました。プロの清掃業者として、現場を汚したままにせず、できる限り美しい状態でお引き渡しすることを常に意識しています。
- 作業後説明: 最後に、施工内容についてオーナー様(またはご担当者様)へ作業後のご報告をしました。清掃前にはエアコン内部にホコリの塊やカビ汚れが付着していたこと、清掃後にはそれらがすべて除去され風量や冷房効率が向上したことをお伝えしています。可能な範囲で清掃中に撮影したビフォーアフターの写真もご確認いただき、普段は見ることのできない内部の変化を実際にご覧いただきました。また、エアコンを清潔に保つために、定期的にフィルター掃除を行うことや、冷房運転後に送風モードで数分間内部乾燥させるなど、いくつかのポイントもアドバイスさせていただいています。オーナー様からは「これで次に来られる方を安心して迎えられます」とご満足の言葉をいただき、私自身もプロとしてお役に立てたことに大きな喜びを感じました。本当にこの仕事をしていて良かったと感じる瞬間でした。