メディカルビル エントランス床清掃 作業報告書

メディカルビル エントランス床清掃 作業報告書

 

メディカルビルのエントランス床清掃を夜間に実施しました。本清掃は、黒色の艶あり大理石床とグレーの高級石材タイル床、および同素材で覆われた柱面を対象としています。施工面積は約20畳(約33㎡)で、長年の利用により光沢の低下や汚れの蓄積が見られました。

夜間の作業とした理由は、医療テナントの営業時間外に行うことで利用者への影響を避け、床面の乾燥・定着時間を十分確保するためです。清掃には専門業者用の洗剤・コーティング剤(市販の水色ポリ容器入り、銘柄不明)を使用し、酸洗浄 → 研磨 → コーティング → 翌日の仕上げ清掃という4段階の手順で床面本来の輝きを復元しました。作業後、エントランスの床は新築同様の光沢を取り戻し、高級感ある空間を再現できました。

 

清掃対象および現場状況

清掃対象はメディカルビル1階エントランスホールの床および柱です。床材は黒色の天然大理石とグレー系の高級石材タイルが組み合わされ、柱も同系統の大理石で意匠仕上げされています。施工前の現場状況として、黒大理石床は靴の摩耗や土砂の持ち込みによる細かな擦り傷や曇りが生じ、照明の映り込みが乏しい状態でした。グレー石材タイルも表面に汚れが蓄積し、本来の上品な風合いが失われつつありました。柱の大理石面には手垢や埃によるくすみが見受けられ、全体的にエントランスの高級感が損なわれている状況でした。

また、建物特性上、日中は人の往来があるため十分な清掃時間が取れず、夜間にまとまった時間を確保して本格的な清掃を行う必要がありました。作業にあたっては、周囲の壁や備品を養生し、機材搬入経路の確保と騒音・振動対策(夜間のため可能な限り静粛な作業進行)を講じています。さらに、酸性洗剤や研磨スラリー(水混じりの研磨汚泥)が周囲に飛散しないよう注意し、安全確保と汚染防止に努めました。
 

使用資機材・洗剤

床洗浄機・研磨機材:
シングルディスク式ポリッシャー(高速度回転タイプ)に追加ウェイト(約30kg)を装着して使用。研磨用のダイヤモンドパッド一式(粗目~細目)、および柱面用の小型ポリッシャー(ハンドポリッシャー)を使用。
 

吸水・バキューム機材:
業務用ウェットバキューム(水吸引機)およびワイパー、モップ、スクイージー等を使用し、洗浄液や研磨汚水の回収を徹底。
 

洗剤類:
大理石用特殊洗浄剤(酸性)を使用。天然大理石は成分が炭酸カルシウムで酸に弱いため、石材専用に調整された洗剤を用いる必要があります。今回使用した酸性洗剤は水色ポリ容器入りの業務用製品で、成分は非公開ながら石材のシミ・水垢除去に適したものです。洗剤選定を誤ると大理石が変質(表面が溶け曇る等)する恐れがあるため、現場の汚れに対し効果がありつつ石材を傷めにくい専用品を採用しました。
 

コーティング剤:
石材床用保護コーティング剤を使用(こちらも水色ポリ容器入りの業務用製品で銘柄不明)。大理石・石材の質感を損ねず透明な被膜を形成するタイプで、石材の「呼吸」を阻害しない高品質コート剤です。施工後の石材表面の光沢を保護し、長期間にわたり汚れにくくする効果がありますperfectwash.co.jp。コーティング剤塗布により、日常清掃で落としきれない汚れの再付着を防ぎ、光沢維持とメンテナンス性向上が期待できます。
 

その他備品等:
マイクロファイバークロス、養生シート・テープ、保護具(耐酸手袋・長靴・ゴーグル等)、送風機(乾燥促進用)など。

 

清掃作業手順

  1. 酸洗浄(ステップ1):
    最初に石材表面の酸洗浄を行いました。専用の酸性洗剤(業務用石材クリーナー)を床面および柱の大理石に塗布し、ブラシで軽く擦りながら汚れを浮かせます。洗剤が石材表面で反応し、特に大理石では炭酸カルシウムと酸が反応して発泡する様子が見られました。

    この発泡により水垢や鉱物汚れが溶解・除去され、研磨前にできる限り汚れを取り除く狙いがあります。大理石は酸に弱く長時間の接触は禁物のため、状況を見極めつつ洗剤を反応させ、汚れが浮いた時点ですぐに中和処理と汚水回収を実施しました。具体的には、洗剤の作用後すぐに清水でリンスし、ウェットバキュームで汚水を吸引除去しています。これにより酸性成分を石材表面に残さず、安全な状態で次工程の研磨に移行しました。
     
  2. 研磨(ステップ2):
    酸洗浄後、十分に乾燥させてから研磨作業に入りました。床面の黒大理石とグレー石材タイルはシングルディスクポリッシャーにダイヤモンド研磨パッドを装着し、粗磨きから仕上げ磨きまで段階的に計4種の番手で研磨しています。最初に粗目パッドで表面の劣化層や微細な凹凸を削り、その後順次細かなパッドへ交換しながら光沢を高めていきました。

    各研磨工程では均一な研磨を心掛け、ひとつひとつの番手で十分に時間をかけて磨き上げています。仮に研磨工程を焦って一部でも飛ばしてしまうと、後工程でムラが目立ち結局手戻りになるため、最初から丁寧にじっくりと研磨を行いました。ポリッシャーには約30kgの重りを搭載し、パッドを石材にしっかり圧着させて最大限の研磨効果を発揮できるようにしています。重量増加した機械を前傾姿勢でゆっくり操作する研磨作業は外見以上に重労働ですが、その分パッドが石材表面に密着し短時間で均一な研磨が可能となりました。

    研磨は常に水を撒きながらのウエット研磨方式で行い、発生する研磨粉は泥状の汚水として都度バキュームで回収しています。これにより粉塵の飛散を防止しつつ、研磨面の状態を逐一確認しながら作業を進めることができました。

    なお、柱面の大理石研磨については大型機械が使えないため、ディスクグラインダーに小径のダイヤモンドパッドを取り付け、手作業で平滑化と光沢復元を行っています。柱は高さ方向にムラが出ないよう上下に均等にポリッシングし、最後はクロスで研磨粉を拭き取って完了です。
     
  3. コーティング(ステップ3):
    研磨作業で石材本来の素地が露出し光沢が出た後、コーティング剤塗布を行いました。使用したのは石材用の透明コーティング剤で、研磨により復元した美しい光沢を保護し長持ちさせる目的があります。まず床面を中性洗剤で洗浄し研磨スラリーや粉分を完全に除去・乾燥させた後、コーティング剤をムラなく塗布しました。広い床面に対してはモップに専用アプリケーターを装着し、薄く均一に伸ばしています。

    柱の大理石面には刷毛とウエスを用いて丁寧に塗り込み、液だれしないよう注意しました。塗布後は乾燥硬化時間を確保するため、その夜は立ち入り禁止措置を継続します。コーティング剤は数時間で指触乾燥しますが、光沢被膜を安定させるため一晩養生しました。今回使用した石材コーティング剤は通気性(ブリージング)タイプで、石材内部の湿気を通すため大理石の風合いを維持できる高性能なものです。施工後の床はテカリすぎない上品な艶感が得られ、濡れ色や変色も防止されるため今後の維持管理が容易になります。
     

  4. 仕上げ清掃(ステップ4・翌日):
    コーティング膜の乾燥硬化を確認するため、翌早朝に再訪し仕上げ清掃を実施しました。床全面を確認し、コーティング剤の塗り残しやムラがないか点検します。幸い均一に膜厚が形成されており、白化(ムラ)などの不具合は見られませんでした。仕上げ作業として、表面に残った微細な粉塵をマイクロファイバー乾拭きで除去し、光沢をさらに引き立てるため低速ポリッシャーに柔らかいバフパッドを装着して軽く空艶出し(バフ掛け)を行いました。これによりコーティング表面の艶がより安定し、深みのある光沢となりました。

    最後にエントランス全体の清掃(周辺のほこり払い、ガラス清拭など簡易清掃)も合わせて行い、養生を撤去して作業完了となります。翌日の始業時間まで十分に時間がありましたので、清掃箇所の完全乾燥と最終チェックまで余裕をもって対応できました。
     

施工結果と考察

清掃・研磨・コーティング後のエントランス床は、黒大理石部分では照明器具や周囲の景色がはっきりと映り込む鏡面光沢が得られました。グレーの石材タイル部分も本来の色味が鮮明になり、均一な艶が出ています。施工前に見られた曇りや黒ずみ汚れは一掃され、石材本来の模様や質感が際立つ仕上がりです。柱の大理石もくすみが取れ、来館者が手を触れる位置でも滑らかな光沢が感じられるようになりました。

遠目にも床全体が均一に光を反射しており、エントランス空間が以前より明るく清潔に見えます。ビル管理ご担当者様にも仕上がりを確認いただき、「床が新品のように蘇り驚いた。黒大理石に人影が映り込むほどで高級ホテルのようだ」と大変ご満足いただけました。

 

今回の施工では、専門業者によるプロの技術と判断が功を奏しました。例えば、研磨前に敢えて酸性洗剤による洗浄工程を入れたのは、蓄積した水垢・汚れを予め化学的に分解し除去することで研磨作業を効率化し、石材への物理的ダメージを最小限に抑えるためです。酸による大理石へのリスクも伴うため慎重な判断でしたが、適切な濃度と処理時間を守り中和処理まで徹底することで問題なく汚れを除去できました。研磨工程でも、現場の大理石の状態に応じて最適な研磨パッドの組み合わせや荷重を選定し、職人の経験に基づく勘どころでムラなく均一なポリッシングを行っています。

その結果、短時間ながらも高品質な光沢復元が可能となりました。また、仕上げに高機能なコーティング剤を施した判断も、今後の維持管理を楽にし光沢を持続させるためのプロならではの提案です。実際、コーティング施工により汚れが付きにくくなっており、日常清掃(モップ掛けや乾拭き)だけでも光沢を維持しやすくなる見込みです。

 

さらに、本事例から大理石床メンテナンスの重要性も再認識されました。大理石はエントランスのような人目に付く場所では「高級」「上質」なイメージを演出しますが、ひとたび曇って汚れてしまえば途端にみすぼらしい印象を与えてしまいます。実際、定期的な手入れを怠れば大理石の光沢は失われ「死んだ」状態になってしまうとも言われます。それを取り戻すには今回のような専門的研磨が必要となりますが、最悪の場合は石材自体の張替え工事を検討せねばならず、工事費用は定期メンテナンス費の10~50倍にも達するケースがあります。

加えて張替え工事中はエントランスを閉鎖する必要があり、ビル運営にも大きな支障をきたします。以上のことから、定期的なエントランス床清掃・研磨による維持管理が、長期的には最も経済的かつ合理的であると言えます。
 

まとめ

本作業の結果、メディカルビルのエントランス床は本来の美観と光沢を取り戻し、来訪者にとって快適かつ高級感のある空間へと蘇りました。夜間施工と専門的な4段階の手順(酸洗浄・研磨・コーティング・仕上げ清掃)により、ビル利用者への影響を最小限にしつつ高品質なクリーニングを実現できました。施工後の床面は見違えるほど明るく清潔であり、ビルの「顔」とも言えるエントランスの印象向上に大きく寄与しています。

今回のようなプロによるエントランス床清掃施工では、単に汚れを落とすだけでなく、素材に合わせた適切な処置と保護コートまで施すことで、効果が長持ちする点が大きな利点です。実務を通じて、大理石床の美観維持には専門知識に基づく定期メンテナンスが不可欠であることを改めて実感しました。

当社としても、引き続き適切な時期に定期清掃・研磨を提案し、美観と衛生の両立したエントランス環境を維持してまいります。今後も本施工事例で得た知見を活かし、より質の高いサービス提供に努めていく所存です。
 

ビフォーアフター

施工後のエントランス床(黒色大理石部分)の様子。研磨とコーティングにより、照明や周囲の景色が映り込むほど光沢が復元している。施工前は艶が失われ暗い印象でしたが、本作業によって床面全体が明るく高級感のある状態に蘇りました。

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