介護施設でのトイレ床清掃作業報告

神奈川県介護施設でのトイレ床清掃作業報告

神奈川県内の介護付き有料老人ホームにて、1階の車椅子対応トイレの床清掃(機械洗浄およびワックス1層塗布)を実施しました。

本記事では、長年の使用で黒ずみが目立ってきた床をプロの清掃で美観を復元する施工手順や使用機材、洗浄剤の希釈方法などを現場目線で詳しく解説します。

清掃の現場で実際に得られた気づきやポイントにも触れていますので、介護施設や商業施設で床清掃の品質を高めたい方にとって参考になる施工事例です。

作業の背景

背景として、この有料老人ホームではトイレ床の黒ずみ汚れが気になる状態になっており、床材は淡い卵色の塩ビシートですが経年の汚れとワックスの劣化で全体的に暗く見えていました。

施設側から「きれいにリフレッシュしてほしい」との依頼があり、私たち清掃のプロが現地に赴き、短時間で効率的かつ確実に床を洗浄・ワックス掛けすることになりました。
作業は午前10時から午後1時までの3時間で完了する計画で、対象箇所は1階の車椅子対応トイレ1室です。

限られた時間内での作業となるため、事前準備から片付けまで段取りよく進めることが求められました。

清掃作業の手順

  1. 作業エリアの準備・養生
    清掃開始前に、トイレ内のごみ箱など移動できる備品を一時的に外に出し、周囲の壁や器具が洗浄水で汚れないよう養生シートで保護しました。
    狭いトイレ空間でも作業しやすいよう、事前に周辺の物を退避させ安全確保と作業スペースの確保を行います。

  2. 機材・薬剤の搬入と洗浄液の調整
    続いて、フロアポリッシャーなど必要な機材と洗剤を搬入しました。
    床用のアルカリ性洗浄剤を水15リットルに対し約300cc(希釈率2%程度)加え、ポリッシャー付属のタンクで洗浄液を調整します。
    この濃度は床の黒ずみ汚れを効果的に落としつつ、床材を傷めにくいバランスを考慮したものです。

  3. ポリッシャーを用いた床面洗浄
    準備したアルカリ洗浄液をポリッシャー(回転ブラシ式の床洗浄機)で床全体に行き渡らせながら丁寧に磨き洗いしました。
    ビニルシート床に適した中程度の硬さのパッド(例:赤パッド)を使用し、表面の黒ずみや古いワックス由来の汚れをしっかりと浮かせます。
    洗浄中、床面には白い泡が立ち、洗浄剤が汚れを分解していることが目視で確認できました。

  4. 汚水の回収と水拭き仕上げ
    ポリッシャーでの洗浄と並行して、発生した汚れた洗浄液(汚水)はその場で業務用のウェットバキュームで吸引・回収します。
    洗浄後にはモップを用いて床面を水拭きし、洗剤成分が残らないように丁寧に拭き上げました。
    この工程により床材表面に余分な洗浄剤や汚れが残らず、後工程のワックスがしっかり密着する状態になります。

  5. 乾燥
    洗浄と水拭きが終わった床は、強力な送風機(ブロアー)でしっかりと乾燥させました。
    特に車椅子トイレでは床が濡れたままだと滑りやすく危険なため、完全に乾くまで十分な時間と風力で乾燥させています。
    乾燥不足はワックスの密着不良やムラの原因になるため、ここは慎重に確認を行いました。

  6. 樹脂ワックスの塗布
    床面が完全に乾いたのを確認後、樹脂ワックスをムラなく均一に1層塗布しました。
    今回は施設の落ち着いた雰囲気に合わせて光沢を抑えた半艶タイプ(マットな仕上がり)のワックスを選定しています。
    ワックスは専用のモップで薄く均一に広げ、乾燥中にホコリが付着しないよう作業エリアを立ち入り禁止にして管理しました。

  7. 養生撤去・最終確認
    ワックス被膜が完全に乾燥・硬化したのを見計らい、保護していた養生シートを取り外し、移動させていた備品類を元の位置に戻しました。
    最後に床全体を目視で点検し、光の反射具合を変えながら塗り残しや拭き残しがないか細かくチェックしています。
    問題がないことを確認して清掃道具や機材をすべて撤収し、作業完了となりました。

使用した機材・資材

  • 床用ポリッシャー(床磨き機)
    直径約14インチの円盤ブラシを備えたシングルディスク式ポリッシャーを使用しました。
    タンク付きで洗浄液を床に噴霧しながらパッドで磨ける業務用機種で、狭いトイレ内でも操作可能なコンパクトサイズです。

  • フロア用パッド
    ビニル床シートの洗浄に適した中程度の研磨力を持つパッド(一般的に赤色パッド)を装着しました。
    黒ずみ汚れを除去するのに十分な洗浄力を発揮しつつ、床材を傷めにくい硬さのものです。

  • アルカリ性洗浄剤
    樹脂ワックス対応の業務用アルカリ洗浄剤を使用しました。
    水15リットルに対し約300ccの割合で希釈し、床面の皮脂汚れや古いワックス層を効果的に浮かせて落とします。
    発泡性があり目に見えて汚れが分解されていくため、作業中の洗浄状況も把握しやすい洗剤です。

  • ウェットバキューム(業務用水吸引機)
    洗浄後の汚水を速やかに回収するために用いました。
    床に残った洗浄液を強力な吸引で回収し、後から拭き取り作業をする際の負担も軽減します。

  • 送風機(ブロアー)
    床面を短時間で乾燥させる送風機を使用しました。
    特に冬場など湿度が高い環境でも強制的に乾燥を促すことで、ワックス塗布までの待ち時間を短縮できます。

  • 樹脂ワックス
    ビニル床用の業務用ワックス剤を1層塗布しました。
    輝きすぎず自然なツヤ感を出す半艶タイプで、安全性と美観のバランスに優れています。

  • モップ・清掃用クロス
    洗浄液の拭き取りや仕上げの拭き上げに使用しました。
    繊維くずが残りにくいマイクロファイバー製クロスを選び、清掃後も床面にゴミや糸くずが付着しないよう配慮しています。

作業時に注意したポイント

  • 時間厳守と段取り
    今回の清掃は施設から時間厳守の要望があり、3時間という限られた時間内で完了させる必要がありました。
    そのため作業計画を事前に綿密に立て、各工程をスムーズに進行できるよう準備段階から徹底しました。
    機材の設置場所や動線の確保、乾燥時間の見極めなど、すべて段取り良く進めることでタイムロスを防いでいます。

  • 水はね防止と安全対策
    車椅子対応トイレという環境上、水や洗剤が周囲に飛び散らないよう最大限の注意を払いました。
    養生シートで壁や器具を保護しつつ作業し、汚水は即座にウェットバキュームで吸引して床に水が溜まらないようにしています。
    また、床が濡れた状態で人が立ち入らないよう作業中は入口を閉鎖し、注意喚起の表示を出すことで利用者の安全を確保しました。

  • 臭気対策と環境配慮
    清掃に使用する薬剤は低臭タイプを選んでいますが、それでも多少の薬剤臭は発生します。
    高齢者施設という環境を考慮し、作業中は換気扇を回し窓を開けるなど十分な換気を行いました。
    作業後も薬剤の匂いがこもらないよう、退出前にトイレ内の空気を入れ替えています。

  • 仕上がり品質の確認
    清掃とワックス塗布の後、床全体が均一にきれいになっているかを入念にチェックしました。
    特に光沢のムラやワックスの塗り残しがないか、複数の角度から照明の映り込みを見て確認しています。
    車椅子のキャスター痕などしつこい汚れが完全に除去できたかも重点的に点検し、プロの目で厳しく仕上がり品質を担保しました。

清掃後の状態と今後の提案

清掃作業の結果、グリストラップ内部は油脂汚れのない清潔な状態になりました。

詰まりかけていた配管も洗浄によって正常に流れるようになり、臭気も大幅に軽減されています。

害虫の発生源であった汚泥も除去したため、チョウバエが飛び回ることもなくなりました。

しかし、根本的な課題として残るのが本体の歪みです。
今回の清掃でも実感したように、歪んだ槽は内部部品の脱着を難しくし、清掃効率を落とすだけでなく設備の寿命にも影響します。
施設の設備管理者としては、近い将来グリストラップ本体の補修工事や交換を検討されることを強くお勧めします。
特に土圧に耐えられる強度のある材質や設置方法への改善が望ましいでしょう。

また、油脂の堆積を防ぎ衛生環境を維持するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。
一般的な目安として、厨房の規模や利用頻度にもよりますが、1~2ヶ月に一度は専門業者によるグリストラップ清掃を実施することが理想です。
定期清掃により、今回のように油脂が固着してしまう前に除去でき、悪臭や害虫の発生も予防できます。
なにより、日々の厨房業務を安心して行える環境を整えることが、介護施設利用者の安全・快適につながります。

さらに、施設スタッフによる簡易点検・清掃も併せて行うと良いでしょう。
例えば毎日の終業時にカゴ内のゴミを捨てる、週に一度表面の油をすくい取るなどの対応でも、汚れの蓄積スピードを抑える効果があります。
ただし、今回のケースのように槽が深かったり大型の場合、無理にスタッフだけで清掃しようとすると転落や有毒ガス曝露といった危険も伴います。
安全面を考慮し、手に負えない部分は無理をせず我々のようなプロに任せていただくことが肝心です。

清掃後の結果と効果

一連の工程を経て、トイレの床は施工前に比べて格段に明るく清潔な印象に生まれ変わりました。

長年蓄積した黒ずみ汚れが一掃され、淡い卵色の床材本来の色がよみがえっています。

ワックスを1層施工したことで薄い保護被膜が形成され、適度なツヤとともに床表面の凹凸が滑らかになりました。

ピカピカに光る派手な仕上げではありませんが、マットで自然な光沢のおかげで清潔さが際立ちつつ、施設の落ち着いた雰囲気にもマッチしています。
担当したスタッフの実感としても、清掃後にはトイレ全体が以前より明るく感じられ、利用者の方々にとっても清潔で気持ちの良い空間になったと感じました。

今回の作業を通じて、定期的な床清掃とワックスメンテナンスの重要性を改めて認識しています。

汚れが蓄積してから対処するのではなく、計画的なクリーニングを継続することで、施設内の衛生環境と美観を長期間維持できると実感できる結果となりました。

まとめ

本記事では、神奈川県の介護付き有料老人ホームにおけるトイレ床清掃(機械洗浄およびワックス塗布)の工程とポイントを現場目線で詳細に解説しました。

長期間使用され汚れが蓄積した床でも、適切な手順とプロ仕様の機材・薬剤を用いれば、安全かつ短時間で美観と衛生を取り戻せることがお分かりいただけたかと思います。

介護施設のように多くの人が利用し衛生管理が求められる場所では、今回のようなプロによる定期的な床清掃とワックスがけが欠かせません。

実際の施工を通じて、効率的な段取りの大切さや仕上がり品質のチェックポイントなど、多くの学びも得られました。

施設管理に携わる方々にとって、本記事の内容が日々の清掃計画や品質向上のヒントになれば幸いです。

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