大手飲食チェーン店厨房で発生した水漏れ修理実績
飲食店の厨房で水漏れが発生し、大手チェーン店の営業に影響が出かねない緊急事態となりました。今回は厨房床下の給水管修理工事を、プロの施工者視点から深夜に実施した際の作業レポートとしてまとめます。厨房設備に詳しくない方にも分かりやすいよう、現場目線で工程ごとに解説し、なぜその手順を選んだのかといった判断理由も交えてお伝えします。
水漏れ発生と深夜緊急対応の概要
ある深夜、飲食チェーン店の店長から「厨房の床が水浸しになっている」との連絡が入りました。給水管が破損して水漏れを起こしており、このままでは営業に支障が出ます。私たち施工チームは、店舗の営業時間外となる0:30?3:30のわずか3時間に限定して工事を行うことになりました。深夜帯での作業は周囲への影響が少ない利点がありますが、時間制限が厳しくプレッシャーもあります。そのため、現場到着前から必要な資材と工具を全て準備し、迅速な対応体制で臨みました。 まず現場に着くと、床一面に広がった漏水を確認しました。すぐに店舗全体の水の元栓(メーター)を閉めて給水を止め、二次被害を防ぎます。応急的にモップや雑巾で床の水を除去し、お客様の厨房機器や備品が水で損傷しないよう対応しました。この初動対応により、水漏れの拡大を抑えつつ作業の下準備に取りかかります。
厨房床の養生と機器の取り外し
漏水箇所が床下にあるため、床を開口する必要があります。まずは厨房の床面を養生しました。具体的には、防水シートや厚手のビニールマットを床に敷き、作業による汚れや傷から厨房を守ります。飲食店の厨房は食材を扱う場所ですので、衛生面への配慮が欠かせません。粉塵や破片が調理台や食器に付着しないよう、周囲の調理機器にもビニールカバーをかけて保護しました。 次に、漏水箇所付近の厨房機器を慎重に取り外し・移動しました。今回のケースでは、シンク下の床下配管が原因でしたので、シンクと作業台を一時的に動かして作業スペースを確保します。重量のある業務用機器でしたが、二人がかりで静かに持ち上げ、壁から離しました。深夜の作業であるため、大きな音を立てないよう細心の注意を払いつつ進めます。機器を外す際には、配管や電源コードに無理な力が加わらないよう慎重に行い、現場を傷つけない工夫をしました。
劣化した鉄製配管と継手の撤去
養生と機器移動が完了し、漏水箇所へのアクセスが確保できたところで、本格的な給水管修理に取りかかります。まず、問題の鉄製の古い給水管と継手(金属製ジョイント部分)を撤去する作業です。床下で長年使われていた鉄製配管は、サビや腐食が進んで脆くなっていました。懐中電灯で確認すると、穴が開いて水が噴き出していた箇所がすぐに特定できました。 漏水箇所を中心に、まず周囲のコンクリートをハンマーとノミで慎重に斫り(はつり)ます。これはコンクリートを砕いて配管を露出させる作業ですが、振動と音が出るため深夜とはいえ必要最低限に留め、周囲に響かないよう迅速に行いました。コンクリート片が飛散しないよう養生シートで覆い、粉塵は業務用掃除機で随時吸引します。露出した劣化配管をレンチで挟み込み、継手ごとゆっくり取り外しました。サビで固着して外れにくい場合もありますが、今回は事前に潤滑油を差しておいたおかげで大きなトラブルなく撤去完了です。 配管を取り外した断面を見ると、中は赤茶色に錆びており、これでは水漏れも無理もないと実感しました。長年の使用で金属が薄くなり、水圧に耐えきれず破損したものと思われます。古い継手もパッキンが劣化し、水がじわじわ漏れていた形跡がありました。現場の判断として、この周辺の古い鉄管は再利用せず、新品交換する方針を即座に決めています。古い配管を残したままだと、別の箇所から再度水漏れが起きるリスクがあるためです。
新品部品(止水栓・フレキ管)の取り付け
古い配管類を撤去し終えたら、いよいよ新品の給水管部材で修理します。まず、既存の配管ラインに新しい止水栓(水を止める小さなバルブ)を取り付けました。これは工事後に万一トラブルが起きても、厨房全体ではなくその部分だけで給水を止められるようにするための措置です。止水栓の設置により、今後同様の修理や機器交換が発生した場合でも、営業への影響を最小限に抑えられます。現場では止水栓の位置と向きにも気を配り、後で操作しやすい向きでしっかり固定しました。 次に、腐食に強いステンレス製のフレキ管(フレキシブル配管)を加工して設置します。フレキ管とは自在に曲げられる金属製ホースのような給水管で、狭い厨房の床下でも取り回しがしやすい利点があります。あらかじめ必要な長さにカットし、両端にナットとパッキンをセットして準備完了です。新しいフレキ管を既存の配管ラインとシンク側の接続口にそれぞれ接続し、レンチで確実に締め込みます。このときパッキンの位置がずれていると再び水漏れの原因になるため、慎重に確認しながら作業を進めました。 新品部品への交換作業は深夜ということもありスピーディーに行いましたが、決して雑にはしません。一つ一つの接続部分で確実にシールテープを巻き、ナットの緩みがないかダブルチェックします。プロの施工者として、「急いでも手を抜かない」ことが信頼に繋がると心得ているためです。幸い工程は順調に進み、この段階で予定よりも少し早く作業を完了できました。
モルタルによる床面の復旧
給水管の修理と部品交換が完了したら、開口した床を元どおりに復旧します。厨房床の仕上げ材(タイル)が剥がれていた場合は後日張り替えが必要ですが、今回の現場では下地のコンクリートのみの損傷だったため、モルタルで床を補修することにしました。モルタルとはセメントと砂を水で練ったもので、コンクリートの簡易補修に用います。 バケツであらかじめ用意していたモルタルを現場で手早く練り、剥がした部分に流し込みます。床下に新しく収めたフレキ管を傷つけないよう、その周囲にも丁寧に充填しました。コテを使って表面を平らにならし、元の床面と段差ができないよう注意します。深夜で時間との勝負でしたが、焦らず確実に施工することを心がけました。 モルタルは乾燥までに時間がかかりますが、翌朝までにある程度固まるよう速乾性の混和剤を混ぜて対応しています。モルタル充填後は、念のため立ち入り禁止のテープとカラーコーンを周囲に置き、関係者が誤って踏まないようにしました。飲食店の厨房では床に凹凸があると安全面で問題が生じますので、最終的な仕上げにも気を抜きません。こうして床面は応急的ながらもしっかりと復旧できました。
通水テストと水漏れ再発防止の確認
床を復旧した後は、忘れてはならない通水確認(実際に水を流すテスト)を行います。新しく取り付けた配管や継手類に漏れがないかチェックするため、まず閉めていた水道の元栓をゆっくりと開けました。深夜の静かな厨房で、水が配管内を通る音が聞こえて少し緊張が走ります。慎重にシンクの蛇口をひねって水を出してみると、先ほどまでの激しい漏水が嘘のように収まり、適切な水圧で蛇口から水が出ました。
配管接続部や新設した止水栓の周辺を懐中電灯で照らし、目視と手触りで漏れがないか確認します。新品のパッキンやシールテープのおかげで、一滴の水漏れも見られませんでした。万一漏れが発見された場合は再度ナットを締め直すなどの調整が必要ですが、幸い給水管修理は成功したようです。
通水テストが問題なく完了したことで、厨房の水道設備は元通り正常に復旧しました。念のため、店長様にも立ち会っていただき、蛇口から十分な水が出ること、床下から水が漏れ出してこないことを確認していただきます。お客様から「これで安心して営業できます」とお言葉を頂戴し、私たちもほっと胸を撫で下ろしました。修理後の状況を写真に収め、今後の参考のため社内記録として残しています。
清掃・撤収作業と最終確認
最後に、施工現場の清掃と片付けを行います。工事で発生したコンクリート破片や粉塵、使った養生シートなどを残らず回収し、業務用掃除機できれいに清掃しました。飲食店の厨房ですから、作業前よりも清潔にするくらいの気持ちで徹底的に掃除します。作業で一時移動したシンクや作業台などの厨房機器も元の位置に戻し、ネジ留めが必要なものは確実に固定しました。設備が正しく復旧しているか、排水が詰まっていないかなどもついでに確認し、全て問題ないことを最終チェックしています。 工具や残材をトラックに積み込み、忘れ物がないように確認したら撤収完了です。時計を見ると午前3時20分。制限時間の3時30分より少し早く、余裕をもって工事を終えることができました。深夜の短時間にも関わらず無事に厨房の水漏れトラブルを解消でき、施工者として大きな達成感を得ました。
施工者からのひとことコメント
深夜の限られた時間での給水管修理工事でしたが、事前準備と的確な手順のおかげでスムーズに完了できました。厨房設備の水漏れ修理はスピードと確実さが命です。お店の方にも「迅速な対応で助かったよ」と笑顔で言っていただけて、私もホッとしました。今後もプロとして、安全第一で確実な施工を心がけていきたいと思います。
まとめ
大手飲食チェーン店の厨房で発生した水漏れトラブルに対し、深夜帯に給水管の修理工事を実施した事例をご紹介しました。限られた時間の中で、漏水原因の特定から配管交換、そして床の復旧までを一通り行い、無事に厨房設備を元通り稼働させることができました。現場の視点から工程ごとに解説したように、厨房 水漏れへの対処では迅速かつ丁寧な作業と的確な判断が重要です。 今回の施工では、新しい止水栓やフレキ管の導入により、再発防止と今後のメンテナンス性向上も図っています。同様の給水管修理が必要になった際は、ぜひプロの施工業者に相談し、安全で確実な修理を行ってもらうことをお勧めします。水回りトラブルは放置すると営業に大きな支障をきたしますので、早めの対処で安心を取り戻しましょう。