都内和風居酒屋の天井リフォーム事例:黒塗装で魅せる店舗天井仕上げ
都内のある和風居酒屋にて、店舗天井のリフォーム工事(天井仕上げ)を行いました。居酒屋の落ち着いた雰囲気に調和する仕上がりを目指し、和の素材とデザインを活かした天井リフォームとなっています。
特に、伝統的な和風の空気感を保ちながらも黒系塗装で天井を仕上げる大胆な試みに挑戦し、木材が持つ温かみを感じられる独特の空間を演出しました。
施工準備
まずは現場調査を徹底し、既存天井の下地状況を確認しました。古い天井板を慎重に撤去したところ、一部の下地木材に緩みや傷みが見られたため、適切な補強を実施しています。私は職人として「下地処理が仕上がりを左右する」と考えているため、この段階に特に注力しました。
見えない部分ですが、ここを疎かにすると後々天井のたわみや仕上げ不良の原因となりかねません。
新たに木製の天井板を取り付けるため、必要な材料と工具も万全に揃えました。施工当日は以下のような資材・道具を現場に搬入しています。
- 木材(下地補強用の角材、新しく張る天井板など)
- ビス(各種長さの木ねじ)とインパクトドライバー
- 木工用の強力接着剤
- 木目調の化粧シート(仕上げ用)
- 黒系塗装用の塗料(オイルステイン)と刷毛・ウエス
- 脚立、墨出し器(レーザーレベル)、養生シート 等一式
十分な準備を整えたうえで、工事に取りかかりました。材料の搬入から段取りまで抜かりなく行うことで、店舗の休業期間を最小限にとどめる工夫もしています。
下地処理と天井材の取り付け
天井の下地構造には木材の角材を用い、既存の梁や壁にしっかりと固定しました。垂木(天井下地材)を適切な間隔で配置し、全体が平行・水平になるよう細心の注意を払っています。ここでもレーザーレベルで高さを確認しつつ、一つ一つの木材をビス留めしました。古い建物では寸法が歪んでいることも多いため、微調整を重ねながら骨組みを組み立てています。
下地が整ったところで、新しい木製天井板を順に取り付けていきました。天井板は木目の美しさが特徴のパネル材で、ビスと木工用接着剤を併用してがっちり固定しています。上向きの作業は腕にこたえますが、職人仲間と声を掛け合いながら慎重に張り進めました。
板と板の継ぎ目には隙間ができないよう注意しましたが、微細なすき間にはパテ埋めを行い、乾燥後に表面を平滑に研磨しています。このひと手間で、仕上げ後に継ぎ目が目立たなくなり、美しい一体感が生まれます。
また、天井板の表面には必要に応じて木目調の化粧シートを貼り付けました。こうすることで、板ごとの色ムラをなくし、全体に統一感のある木目模様を演出できます。後述する塗装仕上げを施した後も、木目の風合いが均一に感じられるよう、下地段階から工夫を凝らしました。
仕上げ作業
天井板の取り付けが完了した後、いよいよ仕上げの工程に移ります。実は仕上げ方法については、事前に店舗オーナー様とも念入りに打ち合わせを行っていました。当初は木材本来の色合いを活かす案もありましたが、最終的には和の雰囲気を保ちつつ空間を引き締めるために黒系塗装で天井を仕上げる方針を採用しています。黒い天井にすることで照明や木部の質感が際立ち、落ち着きと高級感のある和モダンな空間になることを狙いました。
伝統的な和風建築でも、囲炉裏の煤(すす)や柿渋で梁を黒くして趣を出すことがありますが、今回は現代的な塗料で短期間に似た風合いを実現しています。
仕上げ塗装には木材保護も兼ねたオイルフィニッシュを採用しました。黒色のオイルステイン塗料を刷毛で丁寧に塗り込み、ウエスで拭き取りながらムラなく染み込ませていきます。一度に真っ黒に塗りつぶすのではなく、塗っては拭き取る工程を何度も繰り返し、少しずつ狙い通りの色味に近づけました。
この方法だと木目が隠れず、木の持つ表情が黒い色調の中に浮かび上がります。私自身、この“木目を生かした黒仕上げ”には強いこだわりがあり、仕上げ前に同じ木材で試し塗りをして濃さを確認しながら作業を進めました。
塗装後は十分に乾燥時間を取り、仕上がりを最終チェックします。黒く落ち着いた天井は、照明の光を受けて木目がほのかに映え、和風居酒屋ならではの温かみとモダンさが融合した雰囲気になりました。施工後に空間を見上げたとき、オーナー様から「和の趣を残しつつ、新しさも感じられる理想の仕上がりです」と嬉しいお言葉をいただいたのが印象的です。私たち施工チームにとっても、現場の知恵と工夫を凝らした甲斐があり、期待以上の天井リフォーム(店舗天井仕上げ)を実現できました。
全体的に温かみがありつつも落ち着いた空間となり、居心地の良い和風店内づくりのお手伝いができたと感じています。