千葉県築25年戸建て 外壁リフォーム工事の現場報告

千葉県築25年戸建て 外壁リフォーム工事の現場報告

千葉県内の築25年になる戸建住宅にて外壁リフォーム工事を行いました。外壁の経年劣化によるひび割れが各所で発生し、一部ではそこから雨水が浸入して内部にカビが生えるというトラブルも判明。今回は、プロの施工業者の視点から現場の状況や施工手順、採用した外壁材の選定理由などを実録レポートいたします。専門的な内容も含みますが、一般の戸建て住宅のオーナー様にも分かりやすいよう丁寧に説明していきます。
 

施工概要

物件:戸建住宅(木造2階建て)

所在地:千葉県(沿岸部エリア)

築年数:25年

外壁の現状:モルタル外壁(クラック多数・色あせ)

施工内容:外壁リフォーム(ひび補修・防水下地処理+金属サイディング重ね張り工法)

施工期間:約3週間(天候等により調整)

依頼理由:外壁のひび割れ・塗装劣化が目立ち、雨漏りの不安があったため。見た目の一新と耐久性向上を図りたいとのご要望。
 

外壁リフォームを決断した経緯

築25年を迎えたこの戸建住宅では、外壁の傷みが徐々に深刻化していました。塗装の色あせやコケ汚れが全体に広がり、美観を損ねていただけでなく、細かなひび割れ(ヘアクラック)も多数発生していたのです。お住まいの環境は海に近く塩害や強風の影響を受けやすい地域で、外壁リフォームの必要性が高まっていました。

 

施主であるお客様も「そろそろ外壁の寿命ではないか」と不安を感じており、新築時から一度も大規模な外装メンテナンスをしていなかったことから、リフォームを決断されました。建て替えも頭をよぎったそうですが、構造自体はまだしっかりしており内部は快適とのことで、外壁と屋根の改修で十分蘇らせる方針となりました。経年劣化による雨漏りリスクを抑え、これから先も安心して住み続けられるようにするため、外壁リフォーム工事に踏み切った経緯です。
 

現場調査で判明したひび割れと雨水浸入被害

窓枠下に発生したひび割れ(クラック):
施工前の現場調査にて、まず目に留まったのは窓枠下など各所に発生したひび割れです(写真1参照)。一見すると塗装の割れ程度にも見えますが、指で触ると隙間が確認できるほどのクラックもありました。特に南側外壁は日射や台風の影響で劣化が進み、細かなヒビが網目状に走っている状態でした。ひび割れを放置すると雨水がそこから外壁内部に浸入し、下地の木材を腐食させたり内部でカビが発生したりする危険があります。そのため、調査段階でクラックの分布や大きさを丹念にチェックしました。

 

外壁内部の木部に発生した黒カビ:
実際に外壁面を詳細に調べる中で、嫌な予感が的中しました。外壁内部に雨水が回っている形跡が見つかったのです。壁の一部に雨染みのようなシミ跡があり、念のため内側の下地合板を剥がして点検したところ、写真2のように構造用合板や木材に黒カビが発生していました。幸い構造の腐朽は初期段階で、大事には至っていませんでしたが、このまま放置していれば住宅の耐久性を損ねるところでした。現場では直ちにカビ部分の除去と乾燥処置が必要だと判断し、後述する補修作業で対応することになりました。このように現場調査によって潜在的な雨漏り被害を洗い出し、適切な補修計画を立てることが外壁リフォーム成功の鍵となります。

 

外壁リフォームで採用した外壁材と選定理由

ひび割れからの雨水浸入とカビの発生という予想外の事態も判明しましたが、適切な補修を施せば十分に回復可能と判断しました。その上で、肝心の仕上げとなる新しい外壁材の選定を行います。今回のリフォームでは、従来のモルタル外壁の上から 金属サイディング を重ね張りする工法を採用しました。その理由と、現場での判断ポイントは以下の通りです。
 

耐久性・防水性の向上:

金属サイディングはガルバリウム鋼板製で耐候性が高く、表面の特殊コーティングにより錆びにくく長持ちします。重ね張り工法により既存壁ごと覆う形になるため、雨水の侵入経路を断ち、防水性能が飛躍的に向上します。職人の実感としても「新築同様の防水層が再構築できる」という安心感がありました。
 

軽量で建物への負担が少ない:

金属サイディングは非常に軽量で、厚み約14mm程度のパネルでもモルタル外壁の約1/10ほどの重さしかありません。重ね張りしても建物に加わる負荷がわずかなため、築年数の経った木造住宅にも安心して使用できます。実際、今回の施工でも既存外壁を解体せずに済んだことで廃材処分の手間や近隣への粉塵被害を減らせただけでなく、工期短縮にもつながりました。
 

断熱性・快適性の向上:

採用した金属サイディング材は裏側に硬質ウレタンフォーム断熱材が一体成型されています。そのため、外壁全体に新たな断熱層が加わる形となり、施工後は室内の断熱性・防音性が大幅にアップします。職人の主観になりますが、施工後に室内環境が「夏は涼しく冬は暖かくなった」とお客様から喜ばれるケースが多く、この点もこの外壁材を選んだ大きな理由です。
 

意匠性とメンテナンス性:

お客様のご希望で「印象を一新したい」とのことから、デザイン性にも配慮しました。金属サイディングはカラーバリエーションやテクスチャ(木目調・石目調など)も豊富で、今回は落ち着いたグレー系の石目調デザインを採用しています。高級感がありつつ汚れも目立ちにくい色合いで、今後10~15年程度は再塗装不要の高耐久仕上げです。職人としても「長持ちして管理が楽」という点で自信を持って勧められる外壁材でした。

 

以上のような理由から、現場では金属サイディングによるカバー工法で進める判断をいたしました。
もちろん他にも選択肢はあり、例えば安価に抑えるなら従来通りモルタル壁のひび割れを補修して塗装し直す方法も検討しました。しかし、将来的なメンテナンス周期や今回確認された雨水被害の再発防止を考慮すると、多少費用はかさんでも抜本的に外壁材自体を刷新するこの工法がベストだと判断しました。
現場の職人たちも「これでこの家はあと20年以上安心だね」と話し合い、お客様にも同意いただいて採用が決定しました。

 

外壁リフォームの施工手順

実際の施工は以下の手順で進めました。安全第一で作業を行いながら、天候にも配慮して工程を管理しています。
 

  1. 足場設置・飛散防止養生

    まず建物周囲に足場を組み、メッシュシートで覆って近隣への塗料や粉塵の飛散を防止しました。25年ぶりの本格工事ということで、お客様宅の周囲もしっかり養生してスタートです。
     

  2. 高圧洗浄と下地調査

    外壁全体を高圧洗浄機で洗浄し、長年の汚れ・コケ・カビを洗い落としました。洗浄後、改めて外壁の状態を細部まで確認します。ひび割れ箇所は洗浄水が染み込むことで場所が特定しやすくなり、新たに細かなクラックも発見できました。下地が脆弱な部分や浮いている塗膜もこの段階でチェックします。
     

  3. ひび割れ補修・内部のカビ除去

    洗浄後に乾燥期間を設け、完全に乾いたのを確認してからひび割れ補修に取りかかりました。幅のあるクラックにはグラインダーでV字に溝を切る「Vカット」処理を施し、奥深くまでシーリング材(コーキング)を充填します。細かなヒビには弾性フィラーという充填剤を刷り込んで平滑にならしました。同時に、前述の雨水浸入でカビが発生していた部分の外壁内部にアクセスし、カビた下地木材の除去・交換を実施。削り取れるカビはワイヤーブラシで除去し、木部の一部腐食していた箇所は新しい材に取り替えています。防腐剤・防カビ剤も念入りに塗布し、再発防止策を講じました。
     

  4. 防水下地処理

    クラック補修と内部処置が完了したら、外壁全体に防水シート(透湿防水シート)を新たに張り巡らしました。これは建物を雨水から守る最後の砦となるシートで、万一サイディングの継ぎ目から水が入っても下地で止める役割があります。特に今回はカバー工法で既存壁の上に新規外壁を重ねるため、下地の防水処理と通気層の確保が重要ポイントです。透湿防水シートを隙間なく貼り終えた後、縦方向に通気胴縁(間隔をあけて設置する木材)を打ち付けて通気層を確保しました。こうすることで内部に溜まった湿気を逃がし、結露やカビを防ぐ構造になります。
     

  5. 金属サイディング本体の取り付け

    下地準備が整ったところで、新しい金属サイディングボードを張っていきます。今回は軽量な断熱一体型パネル(長さ3m程度)を使用し、2階の軒下から順に横方向に張りました。サイディング同士の継ぎ目は専用金具でしっかり固定し、目地部分にはシーリング材を充填して雨水の侵入経路を遮断します。窓まわりや出隅・入隅といった細かな部分は、現場で板金役物を加工して納めました。職人2名が息を合わせて作業し、約1週間ほどで建物全周のサイディング取付けが完了です。
     

  6. 仕上げ作業と最終点検

    外壁材の取り付け後、仕上げとして開口部まわりのシーリング打ち替えや付帯部塗装を行いました。具体的には、窓枠周囲のコーキングを新調し、破風板・雨樋なども劣化していたため耐久性の高い塗料で再塗装しています。足場を外す前に外壁全体を隅々まで最終点検し、シーリングの打ち漏れがないか、サイディングの浮きやビスの緩みがないか確認しました。お客様立会いのもと仕上がりを確認いただき、不備がないことを共有して足場解体へと進みました。
     

  7. 足場解体と清掃・引き渡し

    工事完了後、足場と養生シートを丁寧に解体撤去しました。最後に建物周囲の清掃を行い、工事期間中に出たゴミ・廃材もすべて持ち帰って処分します。工事後のお宅周りは施工前よりもきれいにすることを心掛けています。全ての作業を終えて、お客様へ無事引き渡しとなりました。
     

以上が外壁リフォーム工事のおおまかな流れです。天候の影響で多少日程調整はありましたが、おおむね順調に進めることができました。
 

現場での工夫と職人のこだわり

現場作業では、単に手順通り施工するだけでなく、随所に職人ならではの工夫やこだわりを発揮しています。今回の現場で特に留意したポイントをいくつかご紹介します。
 

雨水再侵入の徹底防止:

ひび割れ補修や防水シート施工の際は「とにかく雨水を入れない」ことを最優先に作業しました。シーリング処理一つ取っても、プライマー(接着促進剤)を塗ってから充填し、奥までしっかりシール材が行き渡るよう施工しています。見えない箇所の細部ほど念入りに、を合言葉にチーム全員でチェックを重ね、将来的な雨漏り再発を防ぐ万全の措置を講じました。
 

通気層の確保と結露対策:

カバー工法では既存壁を残す分、壁内の通気確保が重要です。そこで胴縁の配置や本数にも工夫を凝らし、通気層が滞りなく機能するよう計画しました。狭い壁面でも最低限の換気経路を設け、結露による内部カビの再発を防止しています。職人の経験上、「家は呼吸させてあげることが大事」だと痛感しており、その信条を形にした施工と言えます。
 

仕上がりの美しさへの配慮:

機能面だけでなく、美観にもこだわりました。サイディングの柄合わせやジョイントのラインをできるだけ揃えるよう心掛け、遠目に見ても継ぎ目が目立たないよう施工しています。特に正面から見える壁は一枚一枚の継ぎ位置を計算し、意匠上バランスよく配置しました。また、最終的にビス頭(留め具)が露出しないタイプの金具工法を採用したため、外観がフラットで洗練された印象に仕上がっています。お客様にも「細部まで丁寧にやってくれて安心した」とお褒めの言葉をいただけました。
 

近隣への配慮と安全管理:

住宅街での工事でしたので、ご近所への配慮も怠りません。作業前後のあいさつはもちろん、騒音が出る工程(Vカット作業や足場解体など)では時間帯に気をつけました。また、強風の日には無理に高所作業を行わず、安全最優先で工程を柔軟に調整しています。職人たちも「安全第一」は常に心に留め、お客様の大切なお住まいをお預かりしているという責任感を持って臨みました。

このような現場での工夫の積み重ねが、最終的な仕上がり品質に直結します。職人一同、細部まで手を抜かずベストを尽くすことで、お客様に満足いただける施工を目指しています。
 

リフォームを終えて感じたこと(個人的な所感)

今回の外壁リフォーム工事を通じて、施工担当者である私自身も様々な学びや気づきを得ました。現場を終えた正直な感想を少し綴らせていただきます。

 

まず強く感じたのは、住宅の定期点検とメンテナンスの大切さです。築25年というと家全体に少しずつ不具合が出てくる時期ですが、外壁のひび割れを「まだ大丈夫だろう」と放置していたら、数年以内に深刻な雨漏りや構造腐食に発展していたかもしれません。実際、今回下地のカビを目にして、予防的なリフォームの意義を改めて実感しました。お客様も「早めに対応して良かった」と胸を撫で下ろしておられ、その言葉に私も安堵しました。

 

また、職人の勘や現場判断の重要さも再認識しました。事前調査では外から見えるクラックしか把握できませんでしたが、作業中の些細な異変(壁裏のわずかな湿気臭など)に気づき、すぐ壁を開口して確認したことで、隠れた被害を見逃さずに済みました。長年の現場経験から培った「もしかしたら怪しい」という勘を信じて動いた結果、的確な補修につながったと思います。技術や知識だけでなく、こうした現場力も大事にしていきたいと感じました。

 

さらに、お客様の喜ぶ姿が何よりの励みになりました。工事完了後にお客様と一緒に仕上がった外観を見たとき、「まるで新築みたいにきれいになった!お願いして本当に良かったです」と笑顔で仰っていただけたのが印象的です。実は施工中は予期せぬ雨天が続いたりと苦労もありましたが、最後にお客様の満足そうな表情を見ると、頑張って良かったと心から思えます。職人冥利に尽きる瞬間でした。

 

今回の現場を通じ、自分自身も「家を守る」という仕事の責任とやりがいを改めて感じています。これからも一棟一棟丁寧に向き合い、経験を次の現場に活かしていこうと決意を新たにしました。
 

まとめ:外壁リフォームの効果と今後のメンテナンス

以上、千葉県の築25年戸建住宅における外壁リフォーム工事の一部始終をお伝えしました。今回の施工により、お住まいは見違えるように美しく生まれ変わり、雨水侵入の不安も解消されています。外壁リフォームの効果として、建物の防水性・断熱性が飛躍的に向上し、見た目の印象も一新されました。お客様からも「リフォームして本当に良かった」と高い評価をいただき、施工者冥利に尽きる結果となりました。

 

最後に、これから外壁リフォームを検討されている方や同じように築年数の経った住宅にお住まいの方へ、今回の経験を踏まえたアドバイスを少しだけ。まず、ひび割れや雨染みなど外壁の異変を見つけたら早めに専門業者に相談することを強くお勧めします。小さな不具合も放置せず対処することで、大掛かりな修繕を防ぎ、結果的にコストを抑えることにもつながります。外壁材の寿命は一般に約30年と言われますが、適切なメンテナンスを施せば家はそれ以上に長持ちします。実際こちらの住宅も、今回のリフォームで今後20年は安心できる外壁を手に入れました。これからは5年おき程度の定期点検を提案させていただき、お住まいの健康状態を末永く見守っていく予定です。

 

外壁リフォームは決して安い買い物ではありませんが、住まいの寿命を延ばし安心・安全を得られる価値ある投資です。家族の大切な暮らしを守るためにも、「うちもそろそろかな?」と思ったらぜひ専門家にご相談ください。私たちプロの施工業者は、現場の実体験に基づいた最適なプランをご提案し、心を込めて施工いたします。あなたのお宅も、この現場報告のように素敵に生まれ変わる日が来るかもしれません。ぜひ外壁リフォームで住まいの未来に安心と快適をプラスしてみてください。

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