変色した古い浴槽を塗装で再生 – プロ施工現場レポート
築25年の戸建住宅で浴槽が変色しお困りのお客様に対し、浴槽塗装によるリフォームを行いました。 長年の使用による黄ばみや傷みが目立つ古い浴槽を、交換せずに塗装で再生する施工事例です。私はプロの塗装業者として現場を担当し、単なる作業報告に留まらず、実際の施工現場で得た知見や工夫も交えて以下に手順をまとめました。高齢のご夫婦が住むお宅での施工で、安全かつ丁寧な作業を心がけています。
1. 現場調査と準備
まずは現場の浴槽の状態を詳しく調査しました。築25年ともなると浴槽の変色(黄ばみや黒ずみ)が顕著で、表面には細かな傷も多数見られました。幸い大きなひび割れはなく、塗装で十分対応できると判断しました。お客様と打ち合わせし、浴槽塗装に使用する塗料は高耐久性のエポキシ樹脂系塗料を選定しました。私自身、浴槽の塗装再生ではエポキシ塗料をよく使います。耐水性・耐久性に優れ、長期間の使用にも耐えるからです。
さらに今回の塗装では色の自由度も確保しました。標準的な白色はもちろん、お客様のご希望に応じてピンクや水色などお好みの色にも調色可能であることを説明しました(実際のところ、塗料に顔料を混ぜることで様々な色を作れます)。最終的に「やはり新品のような白が良い」とのことで白色を選択されました。塗装に必要な資機材として、スプレーガンやコンプレッサー、各種ローラー・刷毛、マスキングテープ、ビニールシートなどを準備しました。
また、塗料が強力なため換気用のファンとマスクも用意し、作業者の安全対策も万全に整えました。
2. 浴室の養生
次に浴室全体の養生を徹底しました。塗料の飛散やホコリの付着を防ぐため、浴室内の壁や床、天井までビニールシートでしっかり覆います。特に床面は塗料が垂れやすいので二重にシートを敷き、万一塗料が落ちても床を傷めないよう工夫しました。排水口やシャワー、水栓金具などもマスキングテープで丁寧に保護します。高齢のご夫婦のお宅ということもあり、後片付けの手間を増やさないよう細心の注意を払いました。
養生作業は地味ですが、塗装の仕上がりに直結する大事な工程です。私の経験上、初めにここで時間をかけておくことで、後々の清掃が格段に楽になります。
3. 浴槽表面の洗浄・下地処理
塗装前の下地処理として、まず専用の洗浄剤で浴槽表面を徹底的に洗浄しました。長年の使用で蓄積した油脂汚れや石鹸カス、水垢をここで完全に除去します。この洗浄を怠ると塗料がうまく密着せず、仕上がりにムラが出たり将来的に剥がれの原因となるため、時間をかけてしっかり行いました。洗浄後は表面をよく乾燥させ、さらにサンドペーパーで全体を軽く研磨します。
細かな傷を付けるイメージで足付けすることで、塗料の食いつき(密着性)を高める狙いです。研磨後には研磨粉やホコリもきれいに拭き取り、塗装面を清潔な状態にしました。このように下地処理を万全にすることが、美しい塗装仕上げの鍵となります。
4. キズ・凹みの補修作業
洗浄と下地処理が終わった段階で、浴槽表面の小さなキズや凹み、欠けをチェックしました。経年劣化でところどころ細かな欠損がありましたので、ここを見逃さず補修します。私はエポキシパテという充填剤を用い、気になる箇所を平滑にならすように埋めていきました。
エポキシパテは硬化後に非常に固くなり、防水性も高いので水まわりの補修に適しています。パテを盛ったあとは完全に硬化するまでしばらく乾燥時間を取り、その後パテ部分を中心にもう一度サンドペーパーで研磨しました。
そうすることで補修跡と周囲の面がなだらかに繋がり、仕上がりで段差が目立たなくなります。職人の腕の見せ所でもあり、私も指先で触って凹凸を感じなくなるまで丁寧に研磨しました。
5. 下塗り(プライマー)塗布
補修と下地処理が完了したら、いよいよ塗装の工程に入ります。まずは下塗りとしてプライマー(下塗り剤)を塗布しました。プライマーには塗料の密着性をさらに高める役割があります。透明なプライマーをムラなく均一に吹き付け、浴槽全体をコーティングするイメージで下地を作りました。
この下塗りをしっかり行うことで、後から吹き付けるエポキシ塗料が剥がれにくくなり、仕上がりも滑らかになります。私はスプレーガンで薄く均一に2回ほど重ね塗りし、乾燥時間を十分に取ったうえで次の本塗装へ移りました。
6. 上塗り(本塗装)
続いてメインの塗装作業です。高耐久性のエポキシ樹脂塗料をスプレーガンで細かい霧状にして浴槽に吹き付けました。一度に厚塗りせず、複数回に分けて薄く塗り重ねるのがコツです。私の場合、常に塗膜の厚みを意識しながら3回に分けて塗装しました。1回目は下地が隠れる程度に薄く全体を塗り、2回目で色ムラを無くし、3回目で仕上げの光沢感を出すイメージです。
塗り重ねるごとに十分な乾燥時間を取り、焦らずじっくりと作業を進めました。この工程では浴室全体に塗料の匂いが充満するため、窓を開け換気扇を回すとともに、私も防毒マスクを着用して安全に作業しました。スプレー塗装は経験と技術を要しますが、職人として培ってきた腕の見せ所であり、均一でツヤのある塗膜に仕上がるよう細心の注意を払いました。
7. 乾燥養生と仕上げチェック
塗装工程が完了した後は、塗膜をじっくり乾燥(養生)させました。塗料が完全に硬化するまで最低でも丸一日は乾燥時間を確保しました。この間は浴室を使用できませんので、お客様には事前に「乾燥中はお風呂をご利用になれません」と説明し、ご理解いただきました。高齢のご夫婦宅ですので、予め近隣の銭湯など代わりの入浴手段も提案しておきました。十分に乾燥させた後、マスキングシートやテープをすべて丁寧に剥がし、周囲の養生材も撤去しました。
最後に塗装面の状態を入念にチェックしました。塗り残しやホコリの付着がないか、光沢のムラはないか細部まで確認します。必要に応じて表面を布で軽く拭き上げたり、微細なホコリ跡があれば極細目のコンパウンドで軽く磨いて整えました。
塗装面がガラスのように滑らかに輝いているのを確認し、仕上げ作業完了です。
8. お客様への引き渡しと説明
全ての作業が完了した段階で、お客様に仕上がりをご覧いただきました。一緒に浴槽の表面を触って確認し、「本当に新品みたいだ」と驚きと喜びの声をいただきました。職人冥利に尽きる瞬間です。私自身もピカピカになった浴槽を見て達成感を覚えました。
今回の施工では浴槽を交換することなく見違えるような美観を取り戻せています。工期も2日程度で済み、費用も交換に比べて大幅に抑えられました。
お客様は「新品のバスタブと入れ替えたのかと思うほどだ」と笑顔でおっしゃり、私も安堵しました。最後に、新しく生まれ変わった浴槽を長持ちさせるためのお手入れ方法や注意点をお伝えしました。
例えば、研磨剤入りのクレンザーで擦らないことや、定期的に中性洗剤で優しく洗うことなど、塗装面を傷めず美しさを保つコツをアドバイスいたしました。
また定期的なメンテナンスサービスもご提案し、何かあればすぐ相談いただけるようお伝えして現場を後にしました。
施工を終えて(まとめ)
以上が、古い浴槽の再生塗装工事の手順と現場での所感です。浴槽塗装というリフォーム手法により、築年数が経って変色した浴槽でも新品同様の輝きを取り戻せることがお分かりいただけたかと思います。
交換せずに再生することで、費用はもちろん工事時間も抑えられ、解体廃材が出ないため環境にも優しい施工です。高齢のご家庭では長期間お風呂が使えない大掛かりなリフォームは避けたいという声も多く、今回のような短工期で低コストの浴槽塗装はそうしたニーズにもマッチします。
加えて、塗料の色も自由に選べるため「自分好みの浴室にしたい」という要望にも柔軟に応えられる点がメリットです。実際、私の経験上ピンクや水色といった優しい色合いを選ばれるお客様もいらっしゃいました。
今回のお客様はオーソドックスな白をご希望されましたが、塗装によるリフォームはカラーバリエーションの面でもご満足いただける結果を出せると感じています。
最後になりますが、施工する側としては安全管理と丁寧な作業が何より重要です。
特に浴槽塗装は下地処理の良し悪しが仕上がりに直結するため、経験を活かしながら慎重に進めました。お陰さまで「頼んで良かった」とのお言葉をいただき、プロとして大変嬉しく思います。
このように、古い浴槽でお悩みの方でも交換せずに快適なお風呂場を甦らせることが可能です。
当社ではお客様のご要望に沿った最適なリフォームプランをご提案いたしますので、浴槽の変色や劣化でお困りの際はお気軽にご相談ください。