オフィス照明LED交換工事報告(東京都・築20年オフィスビル)
今回、テナントオフィスビルの老朽化した蛍光灯照明を省エネ型のLED照明に一斉交換する工事を行いました。ビル管理ご担当者様からの依頼で、「電気代削減と蛍光灯の維持管理負担を軽減したい」という要望が背景にあります。蛍光ランプは2027年末までに製造・輸出入が禁止されることが決定しており、今後蛍光管の入手が難しくなるため、オフィス照明のLED交換は急務となっています。私たちはプロの電気工事業者として、夜間に作業を行う計画を立て、オフィス業務に支障を出さず安全・確実に施工完了させることを目指しました。
現場の状況と課題
施工前の現場では、一般的な埋込型の蛍光灯ベースライト照明(40W蛍光管×2本)が多数設置され、20年の経年により点灯不良(チラつきや点灯遅れ)や安定器の劣化が見られました。蛍光灯照明は高い電気代の割に明るさが十分でなく、ランプ寿命も約1万時間程度と短いため交換頻度も高い状態でした。ビル管理者にとって、照明交換の度に工数とコストがかかることが課題となっていました。さらに昨今の省エネニーズの高まりと水銀使用製品規制(蛍光灯の2027年問題)への対応もあり、照明のLED化が強く求められる状況でした。こうした背景から、本工事ではオフィス照明をすべて最新のLED器具に更新することになりました。
施工計画と夜間作業の段取り
オフィスの稼働時間外である夜間22時以降に工事を実施しました。これはビル内テナントの業務を妨げないよう配慮するためで、ビル管理会社様とも協議の上、ビル閉館後に作業許可を得ての施工となりました。工事はフロアごとに区切り、複数日に分散して夜間に実施する計画としました。
作業開始前には当該フロアの分電盤にて照明回路のブレーカーを落とし、電源遮断を確実に行います。その上で養生シートをデスクや床に敷き、脚立や高所作業台を設置するなど、現場準備を入念に行いました。夜間作業では照明を消した状態での作業となるため、ヘッドライトや仮設照明器具を用いて手元・足元を照らし、安全を確保しながら段取り良く工事を進めました。
採用した照明器具と工法の選定理由
現場では、既存照明のLED化にあたり「ランプ(蛍光管)のみLEDランプに交換する方法」と「照明器具ごとLED新品に交換する方法」の2案を検討しました。今回は築20年経過した古い照明器具で安定器などの劣化も進んでいたため、照明器具本体を新品のLEDベースライトに交換する工法を採用しています。既存器具を改造して直管LEDランプを装着する方法は初期費用を抑えられますが、器具内部の配線改造によりメーカー保証が効かなくなるリスクがあります。
また、古い安定器を流用すると電気的ロスや不具合の原因にもなりかねません。以上の理由から、職人の現場判断として安全性・信頼性を優先し、器具ごとLED一体型照明に交換することを選択しました。新しいLED照明器具は高効率な専用設計のため、消費電力も従来蛍光灯の約60%程度で済み(約40%の省エネ)、明るさも十分に確保できます。現場の職人としても「新品器具ごと交換した方が今後のメンテナンスも格段に楽になり安心だ」という実感があります。結果的に今回のような大規模施工では、一括して器具交換することで工事効率も上がり、長期的な省エネ効果と保守性向上というメリットをお客様に提供できると判断しました。
施工手順と作業内容
LED交換工事の具体的な手順を、現場での作業順に沿ってご紹介します。専門の電気工事士が安全確認を徹底し、以下の手順で施工を進めました。
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事前準備・安全対策
作業箇所の周囲を養生し、作業用の脚立を設置します。対象フロアの照明回路ブレーカーをオフにし、テスターで通電がないことを確認しました。作業員へ安全周知を行い、ヘルメット・保護メガネ・絶縁手袋を着用して作業開始します。
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既存蛍光灯の取り外し
まず古い蛍光灯ランプ管を一本ずつ取り外します。年数が経って固着しているランプもありましたが、破損しないよう慎重に回転させて取り外しました。取り外した蛍光管は水銀を含む産業廃棄物のため、専用のケースにまとめて保管し破損防止と適切な廃棄手配を行います。
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既存照明器具本体の撤去
蛍光管とカバーを外した後、天井に固定されている照明器具本体(器具ベース)を取り外します。ビス留めタイプの器具はドライバーでネジを外し、器具を支持金具から慎重に降ろしました。天井裏からの配線(電源ケーブル)と器具を接続している差込コネクタを外し、古い器具を完全に撤去します(この段階でフロア照明は一時全て撤去され真っ暗になります)。
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新規LED照明器具の取り付け
撤去した箇所に新しいLED照明器具(ベースライト)を取り付けます。まず天井内の電源ケーブルと新LED器具の配線をコネクタで接続します。接続後、器具本体を天井の既存開口部に収め、ビスでしっかり固定しました。器具ごと交換の場合、器具サイズや取付ピッチが既存と合うか注意が必要ですが、今回採用した機種は既存開口に適合するタイプのためスムーズに設置できました。
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LEDランプの設置
器具本体の固定後、LED光源となるランプ(直管型LEDランプ)を器具に装着します(※器具一体型LEDの場合はこの工程は不要で、LEDモジュール内蔵済み)。ランプを所定のソケットに差し込み、確実にロックします。全ての新設LED照明器具にランプを取り付け終えたら、点灯試験の準備が整います。
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点灯試験・最終確認
ブレーカーを再投入し、新しいLED照明が正常に点灯するか一斉に確認しました。全箇所が問題なく点灯し、明るさも均一であることを現場で確認します。加えて、漏電や絶縁不良がないかを確認するため、施工後には絶縁抵抗測定や電流値の計測を実施しました。測定結果は良好で、全ての回路で安全基準を満たしていることを確認しています。最後に取り外した器具やランプの破片が現場に残っていないか清掃し、工具類を撤収して作業完了です。
現場での工夫と安全管理
本工事では、プロの電気工事士ならではの工夫と判断を随所に取り入れています。例えば、夜間作業時の静音対策として、工具の取り扱いや会話音量に配慮し、近隣フロアに騒音が響かないよう注意しました。また、脚立作業では2名一組で作業し、一人が脚立を支えて安全を確保する体制を徹底しています。高所での器具交換作業中は、万一に備えて落下防止コードを工具と作業員に装着し、部材の落下事故を防止しました。
さらに、撤去した蛍光管は先述の通り専用ケースで安全に回収し、水銀を含む産業廃棄物として許可業者による適正処分を手配済みです。現場責任者が最終確認としてフロア全体を巡回し、照明の点灯状況と清掃状況をお客様立会いのもと確認いたしました。こうしたきめ細かな安全管理と現場対応により、トラブルなく工事を完遂しています。
施工後の効果とお客様の反応
LED照明への更新後、オフィスフロアの明るさは格段に向上しました。新しいLED照明は瞬時に点灯し、チラつきもなく安定した光を供給します。照明の色温度も5000Kの昼白色とし、オフィス作業に適した明るく自然な光環境を実現しました。ビル管理ご担当者様にも確認いただいたところ、「以前より部屋全体が明るくなり、社員からも好評です」との嬉しいお言葉をいただいています。
エネルギー消費の面でも効果は大きく、従来の蛍光灯に比べ照明の消費電力を約40%削減できるため、ビル全体では年間で大幅な電気代削減が期待できます。試算では、交換した照明器具の初期投資費用も電気代削減分で約5年ほどで回収可能と見込まれています。加えて、LEDは寿命が約40,000時間と長寿命のため、今後しばらくランプ切れによる交換作業が不要になる点も管理業務の負担軽減につながります。施工後には念のため数日間の試運転期間を設け、タイマー制御や非常灯回路との連動など動作確認を徹底しましたが、不具合は一切発生せず順調に稼働しています。
まとめ・所感
以上、オフィス照明LED交換工事の現場報告をさせていただきました。今回のように蛍光灯からLED照明へのリニューアル工事は、省エネによるコスト削減効果や照明環境の改善など、ビル管理者様にとって多くのメリットがあります。実際の施工においては、夜間作業の徹底した安全管理や、現場状況に応じた的確な工法選定が成功の鍵となりました。
古い蛍光灯器具を単にLEDランプに置き換えるだけでなく、プロの視点で最適な方法を判断することで、長期的に見て安心できる高品質な仕上がりを実現できると改めて感じております。ビルや店舗の照明リニューアルを検討中の管理担当者の方は、ぜひ専門業者にご相談いただき、安全かつ効果的なLED化工事を検討されてはいかがでしょうか。私たち施工者一同、培った現場経験を活かし、お客様のニーズに応じた最適な照明工事をご提供いたします。