高級マンション和室の白木コーティング施工報告
はじめに:施工概要と目的
築10年の高級マンションにある和室(客間)の白木部分に、保護と資産価値維持を目的としたコーティング工事を行いました。今回は、白木の美しい風合いを損なわず耐久性を向上させる特殊な無色透明コーティング剤を使用しています。
私自身、現場に入った際に白木の柱や鴨居の上質な木目を見て、「この雰囲気を絶対に守りたい」と感じました。
本報告書では、施工プロセスと現場での工夫について、プロの視点から詳しくお伝えいたします。
1. 現場調査と準備:白木部分の状態確認と材料選定
まず初めに現場調査を実施し、和室の白木部分(柱、敷居、鴨居など)の状態を詳細に確認しました。変色箇所や小さな傷も見逃さないよう慎重にチェックします。高級マンションの客間ということで、建具や造作の白木は綺麗に管理されていましたが、日焼けによるわずかな色ムラが見られました。
そこで、白木コーティングには紫外線対策効果のある特殊コーティング剤を選定。
木肌の質感を残しつつ耐久性が高い製品で、当社が他社との差別化ポイントとしている高い耐久性を備えたものです。
また、お住まい中でも安心して施工できるよう無臭タイプの剤を使用しました。必要な工具類(極細サンドペーパー、刷毛、スプレーガン、養生テープ、クリーナーなど)もこの段階で準備完了です。
2. 室内養生:畳や障子への影響をゼロに
次に施工箇所以外を保護する養生作業です。畳や襖、障子など白木部分以外の箇所は、専用シートやテープで丁寧に覆いました。特に障子紙は液剤が少しでも染みたら大変なので、二重にビニールを貼ってしっかりガードしています。
現場の職人として「汚してはいけない場所を完全に守る」のは基本中の基本です。
他社では養生が甘く畳に薬剤が染みた、という失敗例も耳にするため、弊社ではここに時間を惜しまずかけています。
今回も和室全体をくまなくマスキングし、客間のコーティング作業による汚れ防止に万全を期しました。
3. 白木表面の清掃:木目を生かした下拵え
養生完了後、白木表面の清掃に入ります。まず専用のウッドクリーナーを使い、柱や鴨居表面にたまった埃や軽微な汚れをやさしく拭き取りました。
この際、木目に沿って柔らかいクロスで磨くように掃除します。私も職人仲間から教わった方法ですが、木目を傷めないためには固い布でゴシゴシ擦らないことが鉄則です。
軽い汚れであれば水拭きも可能なコーティング剤ですが、下地が汚れたままだと塗膜の密着不良につながるため、ここで丁寧に汚れを除去しておくことが重要になります。白木ならではの明るい色味が一層映えるよう、この段階で既に「木が綺麗になった」とお客様にも感じていただける状態にしました。
4. 下地処理:研磨で塗膜の付きを向上
清掃後、コーティング剤の密着性を高めるため下地処理を行います。極細目(非常に目の細かい)サンドペーパーで白木表面を軽く研磨しました。ここでは力を入れすぎず、あくまで表面を整える程度に留めるのがポイントです。研磨によって生じた細かな木粉は、刷毛や集塵機を使って丁寧に除去しました。
プロの現場では、この粉塵の除去が仕上がりを左右します。もし粉が残っていると、後で塗ったコーティングが浮いたりザラついたりしてしまうからです。
職人の勘所として、手のひらで撫でて粉っぽさがないか確認し、白木がすべすべの状態になったことを確かめました。
5. コーティング剤の塗布:ムラなく丁寧に
いよいよコーティング剤の塗布です。刷毛とスプレーガンを併用し、白木の木目に沿って均一にコーティング剤を塗り広げました。柱の角や細かな部分は刷毛で念入りに塗り、広い面はスプレーでムラなく仕上げます。ムラや垂れが生じないよう、噴霧量と刷毛のタッチに細心の注意を払いながら作業しました。
私自身、「塗装は生き物」と考えており、その日の湿度や温度で液の伸びが変わるため現場での微調整を欠かしません。
今回使用したコーティング剤は速乾性がありますが、一気に厚塗りせず二度に分けて薄く重ねるようにし、美しい透明な保護膜を形成しています。
この透明皮膜が白木を包み込むことで、見た目は施工前とほとんど変わらずに耐久性だけがアップするのです。
6. 乾燥と養生期間:24時間じっくり硬化
コーティング塗布後は、塗膜をしっかり乾燥・硬化させるため24時間の養生期間を設けました。この間、施工箇所に触れたり埃が付いたりしないよう室内を閉め切ります。
私は念のため換気扇とサーキュレーターを適度に回し、空気を循環させて均一に乾燥するよう工夫しました。
ただし乾燥中に急激な湿度変化があると塗膜に悪影響が出るため、梅雨時でもあったのでエアコンで湿度管理も行っています。
夜間も湿度計と温度計をチェックし、コーティング剤が最も硬く強固な皮膜になるよう万全を期しました。無臭の剤とはいえ、念のため窓も少し開けて換気し、室内環境にも配慮しています。
7. 効果の確認:撥水性・耐摩耗性テスト
翌日、コーティングが完全に乾燥したことを確認したら、施工効果のチェックです。
まず撥水性のテストとして、白木の一部に霧吹きで軽く水を吹きかけました。水滴は玉になって転がり、白木に染み込まないことを確認しました。施工前と比べても明らかに撥水効果が向上しています。
実際にその様子を見て、私も「よし、完璧だ」と手応えを感じました。また耐摩耗性のテストとして布で軽く擦ったり、爪で引っ掻いて塗膜の強度もチェックしています。
お客様にも立ち会っていただき、一緒に汚れ防止性能や耐久性を体感してもらいました。高耐久コーティングだけあって、簡単には傷つかない頑丈な皮膜ができていることを実感していただけたと思います。
8. 清掃と仕上げ:養生撤去と最終確認
効果確認まで問題がなければ、最後の仕上げとして清掃を行います。まず畳や壁に貼った養生シート類を丁寧に撤去しました。この際、養生テープの粘着で床や柱を傷めないようゆっくり剥がします。無事にすべての養生を外した後、室内全体を掃き掃除・拭き掃除しました。
微細な塗料の粉や埃も残さず取り除き、施工前よりも美しい状態を目指します。私は常に「施工前より綺麗に」をモットーにしており、今回も隅々まで点検しました。白木部分は透明なコーティングで一見施工したかわからないぐらいですが、光にかざすとほんのり艶が増しているのがわかります。
畳や障子にも一切影響が出ていないことを確認して、作業完了です。
9. お客様への説明とお引き渡し:アフターケアのご案内
最後に、お客様への仕上がり確認と説明を行いました。和室全体をお客様と一緒に見て回り、白木部分が施工前と比べて美観を損ねていないこと、汚れが付きにくくなっていることを実際に触れて確かめていただきました。お客様は柱表面を撫でて「サラサラしていますね!」と驚かれています。
今回使ったコーティング剤は水拭き掃除も可能な皮膜のため、今後のお手入れ方法としては乾拭きや水拭きで十分であること、逆に強い洗剤や研磨布は使わないようにといった注意点もお伝えしました。
施工後の白木は紫外線や湿気にも強くなっており、長期的な日焼け・変色防止に効果があることも強調しています。高級マンションの大切な和室ですから、このコーティングが資産価値の維持に直結する点も合わせて説明しました。
最後に保証内容や定期メンテナンスの提案なども行い、お客様に安心してお引き渡し完了です。
施工結果と効果:白木コーティングのメリットを現場で実感
今回の白木コーティング施工により、和室の白木部分は紫外線や湿気からしっかり保護され、長期にわたる日焼け(変色)や劣化を防ぐことが可能になりました。特に冬場の結露によるカビ発生リスクが大幅に低減され、衛生面でも改善が見られます。
実際、施工後に白木に付いた水滴を拭き取ってもシミにならず、コーティング皮膜が汚れを弾いているのを確認しました。さらに、コーティングによって表面が滑らかになったことで日常のお手入れも簡単になり、柔らかい布でサッと拭くだけで客間を清潔に保てるようになったと感じます。
美しい白木の見た目を損なわずに汚れ防止と耐久性向上を両立できた点で、お客様の大切な和室の価値を守る有効な手段になったといえるでしょう。
お客様からも嬉しいお言葉をいただきました。「和室本来の雰囲気を損なわずに保護できて安心しました。これで長く綺麗な状態が保てますね」とのことです。また「プロの職人さんが丁寧に作業してくれたおかげで、資産価値の維持につながると感じます」と評価していただきました。
施工者冥利に尽きるコメントであり、私自身も現場で手応えを感じた仕事でした。
和室の白木コーティングは、日本家屋ならではの伝統美を守りつつ現代の生活様式に適応させる、とても有効なメンテナンス方法です。
今後も高品質な施工で、お客様の大切なお住まいの価値を守っていきたいと思います。