高齢者施設の壁補修工事レポート:壁穴・キズ修復の実践事例
高齢者施設の廊下で、車椅子が壁にぶつかったことにより壁に穴とキズが生じました。施設の管理者様からご依頼を受け、迅速かつ丁寧に補修工事を行いました。作業中は施設利用者の安全と日常業務への影響を最小限に抑えることを最優先に考えています。
壁補修は施設の美観維持だけでなく、利用者の安心感にもつながる重要な作業です。
私たちは3センチ程度の軽微な壁の穴から、石膏ボードや断熱材の交換が必要な大きな損傷まで、幅広く対応可能です。
今回のケースでは比較的小規模な損傷でしたが、現場の状況に合わせた最適な方法で補修作業を進めました。以下、実際の作業工程と現場での工夫について詳しく報告いたします。
1. 現場調査と準備
まずは現場の損傷箇所を詳細に調査しました。穴の大きさはこぶし大で、周囲にヒビ割れがないか慎重に確認します。
また、壁材が石膏ボードであることを確認し、適切な補修材(パテやメッシュテープなど)を選定しました。
高齢者施設という環境上、できるだけ早く補修を完了させる必要がありますが、やみくもに急ぐのではなく、下準備を丁寧に行うことで仕上がりの品質を確保します。経験上、事前の調査と材料選びの段階で手を抜かないことが、後のスムーズな作業と美しい仕上がりにつながります。
2. 作業エリアの確保と安全対策
補修作業に取り掛かる前に、施設利用者やスタッフの安全を確保するための対策を徹底しました。
廊下は利用者が行き来する場所ですので、作業エリアを明確に区切り、注意喚起することが重要です。具体的には以下の措置を講じました。
- 作業箇所の周囲を養生テープとパイロンで囲み、「立ち入り禁止」の掲示を設置しました。
これにより利用者の方が誤って近づかないよう配慮しました。
- 補修作業中に出る粉塵が周囲に飛散しないよう、簡易的なビニールシートでカーテンを作り、作業エリアを覆いました。
高齢者施設では粉塵による空気環境の悪化は避けるべきため、少し手間でもこの養生を行っています。
安全対策は地味な工程ですが、現場のプロとして最も気を遣う部分です。
特に高齢者施設では、小さなホコリでも利用者の健康に影響する可能性があるため、丁寧に養生しました。
3. 壁穴の補修作業
安全を確保した後、いよいよ壁の穴の補修に取りかかりました。今回の穴は直径約10センチほど(こぶし大)で、表面のクロス(壁紙)も破れて下地が露出している状態でした。補修手順は以下の通りです。
まず、穴の周囲をカッターナイフで四角形に切り整えました。これは穴の形状を整えることで、新しい石膏ボード片をあてやすくし、パテ埋めを確実にするためです。飛び出した破片や脆くなった石膏ボード部分もこの段階で取り除き、周囲を清掃しました。
次に、補強用のメッシュテープを穴の箇所に貼り付けました。メッシュテープは下地とパテを密着させ、後々のひび割れ防止につながる大切な工程です。
壁穴補修では、このひと手間で仕上がりの耐久性が大きく向上します。
そして、選定したパテ材を穴とその周囲に充填し、ヘラを使って表面を壁面と面一(つらいち)になるよう平滑に成形しました。
パテは一度に厚塗りしすぎず、数回に分けて盛り付けることで、内部までしっかり硬化させつつ表面を滑らかに仕上げます。
私たちは「焦らず薄く重ねる」ことを心がけており、これにより乾燥後の痩せ(縮み)やひび割れを防止しています。
4. 壁のキズの補修作業
穴の補修と並行して、壁に付いた浅い擦りキズの補修も行いました。車椅子が当たった際に壁紙表面が擦れてできたキズで、幸い下地まで達していない浅いものでした。この程度のキズであれば、以下のような手順で対応します。
まずキズ周辺の壁紙表面をサンドペーパーで軽く研磨し、めくれやささくれを落としました。研磨後、布で埃をきれいに拭き取ります。下地が露出していない場合でも、塗装やパテの密着を良くするために表面を整える作業は欠かせません。
次に、キズが深めの箇所にはパテを極薄く充填しました。爪で引っかかる程度の細かな凹凸も放置せず、パテで埋めておくことで、塗装後に跡が浮き出るのを防ぎます。パテが不要な浅い擦り傷については、研磨のみで段差が解消されたことを確認してから次の工程に進みました。
5. 乾燥・硬化待ちと表面研磨
パテ塗布後は、十分な乾燥時間を確保します。高齢者施設では夜間や早朝の時間帯を利用して乾燥させることも検討しますが、今回は速乾性のパテを使用したため数時間で硬化しました。乾燥が不十分なまま次の工程に進むと、後々塗装面に凹みが出たり、仕上がりに影響が出たりするため、ここは焦らず待つことが肝心です。
パテが完全に硬化したことを確認後、サンドペーパーで補修箇所の表面を研磨しました。既存の壁面と段差がないようになめらかに削り、手で触って凹凸を感じない状態に仕上げます。研磨粉もしっかりと除去し、塗装前にホコリが残らないよう綺麗に清掃しました。
6. 周囲の質感調整と下地処理
壁の平滑さが確保できたら、塗装前に周囲の質感に合わせた下地処理を行います。高齢者施設の廊下は多くの場合ビニールクロス仕上げですが、今回は塗装壁でした。そのため、補修部分に下塗り剤(シーラー)を塗布し、既存壁との吸い込み(塗料の染み込み具合)の差を無くすようにしました。
また、場合によっては既存の壁面模様やテクスチャを再現する処理も行います。
今回はフラットな壁面でしたので、パテ面を少し荒らす程度で周囲の質感と合わせています。
下地処理を丁寧に行うことで、この後の塗装で補修跡が目立たなくなります。
7. 塗装作業(色合わせ)
下地処理後、壁の塗装に移りました。施設の美観を損なわないよう、既存の壁面と同じ色・質感に仕上げることが重要です。まず、補修箇所に下塗り塗料を吹き付け、乾燥後、既存壁の色に合わせた上塗り塗料を調色して塗装しました。
色合わせは職人の腕の見せ所です。照明の下で見た色と、自然光での色が微妙に異なることもあるため、時間帯を変えて色味を確認しながら調整しました。塗料は一度に厚く塗らず、薄く重ね塗りをします。これによりムラなく均一な仕上がりになり、乾燥後の色ぶれも防げます。
最終的に、補修箇所が周囲の壁と見分けがつかないほど自然に仕上がったことを確認しました。
9. 施設ご担当者様への引き渡しと説明
全ての工程が完了した段階で、施設の管理ご担当者様に補修箇所をご確認いただきました。ぱっと見では補修したとは分からない仕上がりに、大変安心された様子でした。また、今回の壁面破損の原因が車椅子の接触であったことから、再発防止策についてもご提案しました。
例えば、壁の腰高程度の位置に保護材や手すりを設置し、車椅子や歩行器が直接壁に当たらないようにする対策です。担当者様も「なるほど、そのような対策があるんですね」と感心され、前向きに検討いただけることになりました。
私たち施工業者としても、単に壊れた箇所を直すだけでなく、施設運営に寄り添った視点でアドバイスを行うことを心がけています。
作業を終えて(現場の所感)
今回の高齢者施設での壁補修工事は、短時間で美観を回復しつつ安全にも最大限配慮するという点で、非常にやりがいのある施工でした。補修後の壁面は、新品同様とまではいかなくとも、意識して探さなければ補修箇所がわからない仕上がりになったと自負しています。
施設の管理者様からも、「どこを直したのかわからないくらい綺麗になりました」とお褒めの言葉をいただき、現場担当者冥利に尽きる思いでした。
現場で感じたのは、高齢者施設のように人の生活空間で行う工事では、技術力以上に現場対応力が大事だということです。利用者の方々への安全配慮はもちろん、工事中の音や匂いへの気配り、作業時間帯の調整など、現場での臨機応変な対応力が求められます。
私たちは、これまで培ってきた経験と知識を活かし、そうした配慮を徹底することで他社にはないきめ細やかなサービスを提供していると自負しております。
最後に、弊社では施設の壁補修工事に関する様々なニーズにお応えできる体制を整えております。
冒頭でも触れたように、3センチ程度の小さな穴・キズから、石膏ボードの張替えや内部の断熱材補修を要する大きな損傷まで幅広く対応可能です。「施設のこの壁、直せるかな?」とお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。現場の状況に合わせた最適な工法で、迅速かつ丁寧に対応させていただきます。
今後も高齢者施設をはじめ、あらゆる現場で安心して任せていただける施工を心がけてまいります。