東京都内オフィスでのLAN工事実施報告(フロア増築に伴うインターネット配線)

東京都内オフィスでのLAN工事実施報告(フロア増築に伴うインターネット配線)

東京都内にある大手企業のオフィスビルにて、フロア増築に伴うLAN工事(オフィスのインターネット工事)を担当しました。本工事では、増築フロアに新たなネットワークインフラを構築するにあたり、既存の社内ネットワークとの整合性を保ちつつ最新の通信規格に対応することを重視しています。以下、現場担当者の視点も交えて施工手順と工夫をご報告いたします。
 

1. 設計と準備(ニーズ把握と将来を見据えた計画)

まずは増築フロアの設計図を基に、必要なLANポート数と配置を綿密に計画しました。各デスクにはPCや電話機など複数機器を接続できるよう2ポートずつ割り当て、会議室や共有スペースにも用途に応じた十分な数のLANポートを設置しています。この配線計画においては、オフィスのLAN工事経験から「少し多め」が鉄則です。将来の人員増加やレイアウト変更にも対応できるよう、当初見積もりより余裕を持ったポート数を確保しました。現場の感覚として、余裕のない設計は後々の増設対応で苦労することが多いためです。

 

また、使用するケーブルや機器の選定も入念に行いました。新フロアには最新規格に対応したネットワークを導入すべく、高速通信が可能な機材を準備しました。具体的には、10Gbpsの通信に耐え得るカテゴリー6AのLANケーブルや、Wi-Fi6対応の無線アクセスポイントなど、将来的なニーズにも応えられるスペックを選択しています。現場担当者として、「今あるもの」だけでなく「この先必要になるもの」を見据えて道具を揃えることを常に心がけています。

 

2. 基幹配線工事(サーバールームから新フロアへの幹線敷設)

実際の工事は、オフィスの稼働に支障を出さないよう休日に行いました。まず、本社のメインサーバールームから増築フロアまでの基幹となる配線を引き込む作業です。ビルの縦シャフト(配線用のスペース)を利用し、既存ケーブルに干渉しないよう細心の注意を払って通線しました。ケーブルにはカテゴリー6A規格のものを採用しています。Cat6Aケーブルは最大10Gbpsの高速通信に対応しており、今後社内ネットワークの更なる高速化要求が出ても幹線部分でボトルネックにならないようにする狙いがあります。現場でも太めのケーブルを丁寧に扱い、曲げ半径や配線経路に気を配りながら敷設しました。経験上、この基幹部分で妥協しないことが安定したLAN工事の要になるため、手間を惜しまず慎重に作業を進めています。

 

作業中は既存ネットワークへの影響も常に監視していました。例えば、サーバールーム内で新しい配線をラックに追加する際、他の機器のケーブルを動かしてしまわないよう何度も確認しています。また、万一に備えて予備のケーブルと工具を手元に置き、トラブル発生時に即対応できる体制を整えて臨みました。お客様の業務に一切支障を出さないことを最優先に、静かかつ確実な幹線工事を完了させました。

 

3. フロア内配線(美観・柔軟性に配慮したケーブル敷設)

新フロア内の各エリアへの配線は、見た目と実用性の両立を図りながら施工しました。天井裏にはケーブルトレイを新設し、そこにLANケーブル束を収容することで、配線が露出せず美観を損ねないようにしています。ケーブルをトレイ内に通す際は、適切な結束バンドで緩みなく固定し、将来的な保守の際にも一本ずつ識別しやすいようラベル付けも施しました。このラベル作業は地味ですが、現場では非常に重要な工程です。後日配線を増やす際やトラブルシューティング時に「どのケーブルがどこに繋がっているか」が一目で分かるため、私たち施工チームは必ず実施しています。

 

各デスクへの配線はOAフロア(二重床)の下を通しています。床下空間を活用することで、足元にケーブルが露出せず安全かつすっきりと仕上げることができますし、レイアウト変更時も床下配線を移動させるだけで対応できます。実務上も、床下に余裕を持ってケーブルを這わせ、多少デスク位置が動いても張り直しが不要なよう長さにゆとりを持たせました。また、LANケーブルと電源ケーブルが干渉しないように経路を分けて配線しています。電源線と近接しすぎるとノイズによる通信障害が起こり得るため、天井裏・床下とも電源ケーブルとの離隔距離を十分確保しました。これらは現場での経験から得たノウハウで、見えない部分ほど丁寧に施工することで、完成後のトラブルを未然に防ぐよう工夫しています。

 

4. 無線LAN設置(電波環境を最適化するアクセスポイント配置)

有線LANだけでなく、無線LAN (Wi-Fi) 環境の整備も重要なポイントです。増築フロア全体をカバーするため、天井に複数の無線LANアクセスポイント(AP)を適切な間隔で設置しました。現場では電波強度を実測しながら配置を検討し、オフィスの隅々や会議室まで電波が行き渡るよう配置位置と台数を決定しています。例えば、壁やパーティションによる電波の弱まりも考慮し、必要に応じて見通しの良い場所にAPを増設する判断も行いました。

 

電波干渉を避けるためのチューニングにも注力しました。隣接するフロアや他のWi-Fi機器との混信を防ぐべく、各APのチャンネル設定を綿密に調整しています。具体的には、2.4GHz帯と5GHz帯で干渉しにくいチャネルを選定し、隣り合うAP同士が同じチャネルを使わないように設計しました。また、電波出力も必要以上に強くなりすぎないよう適切に絞っています。これは、強すぎる電波はかえって他エリアとの混信を招くためです。現場担当者のこだわりとして、設置後には実際に社用PCやスマートフォンで各所を歩き回り、通信速度や接続安定性をテストしました。社員の方がオフィス内を移動してもストレスなくWi-Fiが利用できることを確認し、無線LAN環境を最適な状態に仕上げています。

 

5. ネットワーク機器の設定(既存ネットワークとのシームレスな統合)

配線とハード面の工事が完了した後は、ネットワーク機器の設定および既存ネットワークへの統合作業に移りました。新フロア用に設置したスイッチ類やルーターには、既存フロアと同じネットワークポリシーが適用できるよう設定を行っています。IPアドレスの割り当てレンジやデフォルトゲートウェイの設定はもちろん、スイッチのポート構成も既存ネットワークの設計と整合するように調整しました。例えば、新しいスイッチを既存のコアスイッチに接続する際には、トランクリンクのVLAN設定やSTP(スパニングツリー)設定を確認し、ネットワークループが発生しないよう慎重に構成しています。

 

セキュリティにも細心の注意を払い、VLANの設定やファイアウォールのルール調整も実施しました。部署ごとにネットワークを分ける必要がある部分はVLANでセグメント化し、新フロア内でも不要な通信が交差しないようにしています。ファイアウォールについては、新たに追加したネットワークセグメントから社内サーバーやインターネットへのアクセス権限を洗い直し、必要最小限のポートのみ開放する方針で設定を見直しました。現場の判断として、利便性とセキュリティのバランスを取ることが重要です。便利さだけを優先して全てをフリーに接続できるようにしてしまうと、後々セキュリティ事故につながりかねません。一方で厳しすぎる制限は業務効率を下げてしまいますので、社内セキュリティポリシーに準拠しつつ現実的な運用ができる設定値を探りました。

 

さらに、ネットワーク機器の設定内容はドキュメント化して社内に共有しました。どのポートがどのVLANに属しているか、IPアドレス帯や機器の役割分担などを図面と一覧表にまとめ、関係者へ展開しています。これは現場担当者としての役目でもあり、将来別の技術者が保守を行う際にもスムーズに引き継げるよう情報を整理しました。

 

6. 動作確認と引き渡し(徹底したテストと運用サポート)

全ての配線工事と機器設定が完了した段階で、最後に徹底的な動作確認を行いました。有線LANについては、新設した各ポートにPCを接続してリンクアップの確認と通信テストを実施しています。数十カ所あるLANコンセントを一つひとつ丹念にチェックし、ミス配線や接触不良がないかを確かめました。一部のポートでは最初リンクスピードが出ない箇所もありましたが、コネクタの差し直しを行ったところ問題なく1Gbpsで接続できるようになりました。このように、小さな不具合も見逃さず洗い出し、現場で即対処しています。

 

無線LANについても、フロア内の各所から社内ネットワークやインターネットに接続し、速度測定や安定性の確認を行いました。特に会議室では同時に多数の端末が接続される可能性があるため、模擬的に複数端末で接続して通信状況をテストしています。結果、新フロアのどの場所でも有線・無線ともに快適な通信速度と安定性が得られることを確認できました。セキュリティ面の検証も怠りません。あえて別セグメントのPCを接続して社内サーバーにアクセスできないことを確認するなど、設定したVLANやファイアウォールが意図通り機能しているかをテストしました。

 

動作確認が無事終了した後、お客様への引き渡し作業として、システム管理者様へ新しいネットワーク構成の説明を行いました。今回増築フロアで追加・変更になった配線経路や機器構成、割り当てたIPレンジ、設定したVLANの概要などを詳しくご説明し、運用上の注意点も共有しています。例えば、新規に端末を増設する際は余裕ポートを活用できること、トラブル時にはネットワークラック内の表示ラベルを参考に対処できることなど、現場目線でのアドバイスも交えました。質疑応答の時間も設け、管理者様からの質問にその場で回答しています。こうした引き渡しプロセスを通じて、お客様側でも安心して新ネットワークを使い始めていただけるよう配慮しました。
 

工事の成果とお客様の声

今回のLAN工事により、増築フロアは最新のネットワークインフラが整い、社員の皆様が快適に業務できる環境が実現しました。高速かつ安定した有線LANに加え、フロア全域でつながる無線LANにより、どこでもスムーズにインターネットや社内システムへアクセスできます。また、設計段階から将来の拡張性を考慮したことで、今後の増員や機器追加にも柔軟に対応できる土台ができあがったと感じています。長期的に見ても信頼性の高いネットワークが構築できたため、お客様にとっても安心して利用いただけると思います。

 

お引き渡し後、担当のご担当者様からは「非常にスムーズに導入でき、ネットワーク性能にも満足している」との嬉しいお言葉をいただきました。現場担当者としても、その一言で苦労が報われた思いです。実際、大きなトラブルもなく予定通りにLAN工事を完了できたことは、事前準備から現場対応までチーム一丸となって取り組んだ成果だと感じています。今回得られた経験値は次の現場にも活かしつつ、これからも安心・安全で高品質なオフィスのインターネット工事を提供していきたいと思います。
 

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