テナント営業を止めない!商業施設・オフィスビル大規模修繕の工程管理

2024/12/16

建物を長く安全に使い続けるためには、定期的な修繕が欠かせません。

国土交通省のガイドラインでは、「快適な居住環境を確保し、資産価値の維持・向上を図るためには、適時適切な維持修繕を行うことが重要である。特に、経年による劣化に対応するため、あらかじめ長期修繕計画を策定し、必要な修繕積立金を積み立てておく必要がある。」と定期的な大規模修繕の必要性について言及されています。

 

では、商業施設の大規模修繕の場合は、どのようにすれば良いのでしょうか?

商業施設の場合、大規模修繕を実施すると、入居しているテナントの営業に支障が出てしまう恐れもあります。

 

本記事では、快適な住環境の提供に日々関わっているKIREI produceが、テナント側への影響を抑えつつ大規模修繕を完遂するにはどうすれば良いのかについて詳しく解説しています。

大規模修繕を検討しているオーナーさん、管理会社の方にぜひ読んでいただきたい内容となっておりますので、どうぞ最後までご覧ください。

 

大規模修繕とは?

大規模修繕とは、建物の老朽化や劣化を防ぎ、建物の価値と機能を維持・向上させるための大掛かりな改修工事のことです。

 

大規模修繕の周期

大規模修繕の周期を定めた法律はありませんが、建物の耐久性などの観点から、一般的には12年に1度程度実施するのが良いとされており、国土交通省のガイドラインにもそのように記載されています。

また、建築基準法では、建設から10年を経過した建物は、3年以内に全面打診調査をするよう義務付けておりますので、12年に1度の周期で実施しているビルが多いようです。

 

大規模修繕の詳細

①対象範囲

・建物の外装(外壁、屋上、外部設備)

・共用部分(エントランス、廊下、階段)

・設備系統(配管、電気、空調システム)

 

②主な目的

・建物の安全性の確保

・建物の耐久性の向上

・資産価値の維持・向上

・居住者や利用者の快適性の改善

 

③工事の特徴

・長期間にわたる(数週間から数ヶ月)

・高額な費用(数千万円〜数億円)

・テナントや居住者への影響が大きい

・専門的な技術と綿密な計画が必要

 

④具体的な工事内容

・外壁の補修とシーリング

・屋上防水工事

・配管や電気系統の交換

・各種設備の更新など

 


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テナント営業を止めずに大規模修繕を完遂するには?

商業施設の大規模修繕は、建物の価値と機能を維持するために不可欠な作業です。

しかし、同時にテナントの営業に大きな影響を与える可能性があり、工事期間中に営業に支障が出ると、店舗とオーナー間のいざこざに発展してしまうこともあります。

この章では、いかにしてテナントの営業を止めることなく、効果的に修繕を進めるか。その鍵となる戦略をご紹介します。

 

①徹底的な事前準備と綿密な計画立案

テナントに影響を出すことなく大規模修繕を成功させるには、まず最初に入念に準備することが大切です。

大規模修繕を成功させるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

 

【詳細な工事スケジュールの作成】

工事の流れを記した時系列順の表を作り、各店舗に配布して意見を求めましょう。

テナント側の意向や事情に十分配慮した工事計画を策定することで、テナント営業と大規模修繕を同時並行で成立させられる可能性が高まります。

 

【テナントごとの営業形態を考慮した工事計画】

「夜間営業のテナント周辺は昼の間に工事する」、「店休日のあるテナントは休みの日に作業する」など、テナントの営業形態に合わせた柔軟な工事計画を立てましょう。

 

【店舗への影響を最小限にした施工順序の設計】

上記したような、テナントごとの営業形態を考慮したスケジュールを組み、各店舗への影響が最小限となるように施工順序を設計しましょう。

また、各店舗への影響は公平となるよう心がけることも大切です。

 

②テナントとの密接なコミュニケーション

大規模修繕期間中は、工事によるテナントへの影響をゼロにすることはできません。

修繕工事を無事に完遂するためには、テナントとの信頼関係の構築も非常に重要となります。

 

・工事説明会の定期的な開催

・詳細な工事予定と影響範囲の事前共有

・個別テナントのニーズに応じた柔軟な対応

 

上記のような施策を実施し、テナントとしっかり意思を共有しましょう。

また、説明会にテナント側の参加を促し、意向を計画に反映させることで、「テナント側も工事に携わっている」という意識を持ってもらうことも重要です。

 

③段階的かつ最小限の工事区画

テナントの営業を最大限に尊重するためには、工事区画を最小限に抑え、段階的に進めることが効果的です。

 

【部分的な工事区画の設定】

大規模修繕では、一気に工事を進めるのではなく、区画を細かく分けて段階的に行うことで、各テナントへの影響を最小限に抑えることができます。

 

【夜間や休日を活用した工事】

店舗が営業していない時間を狙って工事をするのも効果的です。

施設そのものに終業時間や休日がある場合は、そうした隙間時間を狙って一気に工事を進めるのも手です。

 

【テナントの繁忙期を避けた工事スケジュール】

繁忙期、閑散期のある仕事をしているテナントの場合は、店舗のオーナーと相談して、そのテナントの閑散期を狙って工事を進めるのも賢い方法です。

 

④高度な施工技術と騒音・振動対策

最近では技術の発達に伴い、工事の際に発生する騒音や振動をかなり抑えることができるようになっています。

大規模修繕を発注する際は、最新の施工技術を持つ業者に依頼することで、騒音・振動問題をある程度クリアすることができます。

 

⑤代替スペースの提供と柔軟な対応

やむをえずテナントの営業に影響が出てしまいそうな場合は、テナント側へ、下記のような営業継続を支援するための具体的な代替案を提供することも大切です。

 

・一時的な代替スペースの確保

・工事による影響を考慮した補償

・臨時の営業支援策の検討

 

⑥リアルタイムの進捗管理とフィードバック

毎日大規模修繕工事をしていると、「この工事いつまで続くの?」、「今どんな状態なの?」といったテナント側からの不満、疑問が必ず出てきます。

どんな風に工事が進んでいるのか、今何が起きているのかを把握できないと、人は無意識に不安になってしまうためです。

こうした事態を避けるために、下記のような施策を実行し、常に最新の状況を共有すること、およびテナントの声にしっかりと耳を傾けることが重要です。

 

・現在の進捗状況が一目でわかる資料の作成と配布

・工事によるテナントへの影響を定期的にヒアリングする

・工事関係者とテナント側とが繋がる情報共有システムをつくる

 


まとめ

大規模修繕は、テナントの営業を止めることなく、建物の価値と機能を向上させる、極めて繊細で戦略的なプロジェクトです。

テナント側への影響を最小限に抑えた大規模修繕工事を行うには、徹底した事前準備と、テナント側と柔軟にコミュニケーションをとりつつ進めていく必要があります。

テナントの営業を止めずに大規模修繕を完遂するには、テナントの事業継続を最優先に考え、綿密な計画と誠実な対話を通じて、Win-Winの関係を構築することが不可欠です。

 

・テナント側の意向をしっかり汲んだスケジューリング

・テナントとの意思疎通を丁寧に図る

・各店舗の情報を詳細に収集し段階的に工事を進める

・騒音や振動が少ない最新技術で施工してくれる業者に発注する

・店舗側に影響が出る場合は、支障を最小限に止めるための代替案を提示する

・進捗状況を逐一報告できるシステムを構築する

 

上記のような施策を確実に実行できれば、テナントの営業を止めずに、またテナント側からの不満を最小限に止めた上で、大規模修繕を完遂できる可能性が高まります。

 


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