将来の安心な暮らしや、ご家族の安全を考えて「バリアフリーリフォーム」を検討しているものの、具体的な費用相場や利用できる補助金制度について、分からないことが多くて一歩踏み出せずにいませんか。
多くの方が、バリアフリーリフォームの必要性を感じつつも、その方法や効果、そして何より費用面での不安を抱えています。
このリフォームには明確な理由があり、正しく行えば日々の生活の質を大きく向上させることができます。しかし、どのような場合に補助金が使えるのか、どの程度の費用相場を見込んでおくべきか、といった情報は複雑です。
また、専門業者への依頼とプロによる作業の重要性を理解していても、どこから手をつければ良いか迷うこともあるでしょう。
この記事では、そのような疑問や不安を解消するために、公的なデータや専門家の視点を交えながら、バリアフリーリフォームに関する信頼性の高い情報をお届けしますので、ぜひ参考にして下さい。
記事のポイント
- 公的データに基づくバリアフリーリフォームの具体的な効果と必要性
- 場所別の詳細な費用相場と推奨される工事の仕様
- 賢く活用できる補助金や助成金制度の種類と申請方法
- 信頼できる専門業者を見極めるための客観的なポイント
■ バリアフリーリフォームの費用相場と補助金|基礎知識まとめ
- バリアフリーリフォームをしないとどうなるのか
- なぜ今、バリアフリーリフォームの必要性が高いのか
- 安全な暮らしを守るリフォームの具体的な効果
- 家族の暮らしを豊かにするリフォームのメリット
- 知っておきたいバリアフリーリフォームの主な方法
- 自分でできることとプロに任せることの境界線
■ バリアフリーリフォームの費用相場と補助金を賢く活用する方法
- 場所別に見るバリアフリーリフォームの費用相場
- 賢く活用したいリフォームの補助金制度
- 安心して任せられる専門業者の依頼ポイントとは
- 安全を確保するプロの作業内容とは
バリアフリーリフォームの費用相場と補助金|基礎知識まとめ
バリアフリーリフォームは、単に家を改装するだけでなく、将来に渡り、安全で快適な生活を送るための大切な投資です。
この章では、公的な統計データに基づきリフォームのリスクから必要性、メリット、方法に至るまで、知っておくべき基礎知識を解説します。
バリアフリーリフォームをしないとどうなるのか
住み慣れた家の中に潜む危険を放置すると、深刻な事態を招きかねません。最も懸念されるのが、住宅内での転倒事故です。
東京消防庁の「救急搬送データからみる高齢者の事故(令和4年)」によれば、高齢者(65歳以上)の救急搬送の原因で最も多いのが「ころぶ」事故で、全体の81.1%を占めます。
そして、事故の発生場所は「住宅等居住場所」が78.5%と大半を占めており、家の中が最も危険な場所であることがデータから分かります。
転倒による大腿骨骨折などの重傷は、長期の入院や辛いリハビリテーションを余儀なくされることが少なくありません。
これがきっかけで身体機能が低下し、以前のように自立した生活が送れなくなる、いわゆる「寝たきり」や「要介護状態」になってしまうケースは非常に多いのです。
そうなると、ご本人の精神的な落ち込みはもちろん、介助にあたるご家族の生活にも、時間的・肉体的な負担としてのしかかってきます。
さらに、危険を避けるあまり活動量が低下する「生活不活発病」も懸念されます。リフォームを先送りにすることは、こうした多くの身体的・精神的・家族へのリスクを放置することに他なりません。
なぜ今、バリアフリーリフォームの必要性が高いのか
現代の日本において、バリアフリーリフォームの必要性は非常に高まっています。その背景にある、いくつかの社会的な理由を見ていきましょう。
第一に、急速な高齢化です。内閣府の「令和5年版高齢社会白書」によると、日本の高齢化率(65歳以上人口の割合)は29.0%に達しました。2040年には34.8%(約2.9人に1人)になると推計されており、誰もが加齢による身体機能の変化に対応した住まいを必要とする時代になっています。
第二に、在宅介護のニーズ増加が挙げられます。多くの方が住み慣れた家での生活継続を望んでいますが、従来の住宅は介護を想定して作られていません。
介護者の負担を減らし、介護される方の尊厳を守るためにも、車椅子が通りやすい廊下幅の確保や、介助しやすいトイレ・浴室への改修といった住環境の整備が不可欠です。
これらの理由から、バリアフリーリフォームは、一部の特別な人のためだけのものではなく、多くの世帯にとって自分たちの将来の暮らしを守るための重要な課題と言えます。
安全な暮らしを守るリフォームの具体的な効果
バリアフリーリフォームを実施することで、日々の暮らしに多くの具体的でポジティブな効果がもたらされます。
その最大の効果は、前述した家庭内事故のリスクを大幅に低減できることです。手すりの設置や段差の解消は、転倒事故を直接的に防ぐ最も有効な手段です。
次に、高齢者や身体に障がいを持つ方の自立した生活を力強く支援します。例えば、手すりを使って自分でトイレに行ける、引き戸を開けて隣の部屋へ移動できるなど、これまで誰かの助けが必要だった動作を一人で行えるようになります。これは、ご本人の自信とQOL(生活の質)の維持・向上に直結します。
さらに、介護が必要な場合、バリアフリー化された住まいは介護者の身体的・精神的負担を大きく軽減します。浴槽をまたぐ際の介助が楽になったり、車椅子での移動がスムーズになったりするだけで、日々の介護のストレスは大きく変わります。安全な環境は、介護する側・される側双方に心のゆとりを生むのです。
家族の暮らしを豊かにするリフォームのメリット
バリアフリーリフォームがもたらす恩恵は、安全性や身体的な側面に限りません。家族全員の暮らしをより豊かにする、心理的・経済的なメリットも存在します。
まず、家族全員が得られる精神的な安心感は、何物にも代えがたい価値があるでしょう。「家の中で転んでいないだろうか」という本人の不安と、「実家の親は元気にしているだろうか」などの離れて暮らす家族の心配が、住まいの安全性が確保されることで同時に和らぎます。
また、長期的な視点で見ると経済的なメリットも考えられます。もし転倒で骨折すれば、入院や手術で高額な医療費がかかる可能性があります。
また、退院後も継続的な介護が必要になれば、介護サービスの利用費などが発生します。リフォームは、そうした将来の突発的で大きな出費を防ぐ「予防投資」と捉えることができるのです。
その他にも、家の中での移動が楽になることで家族のコミュニケーションが活性化したり、将来的に家を売却・賃貸する際にバリアフリー住宅であることが付加価値になったりする可能性もメリットとして挙げられます。
知っておきたいバリアフリーリフォームの主な方法
バリアフリーリフォームには様々な方法があります。ここでは、代表的な工事を場所別に、そのメリットと注意点を交えて紹介します。
玄関・アプローチ
手すりの設置: 靴の着脱や立ち上がりが楽になります。設置する壁に十分な強度があるか、事前に確認が必要です。
スロープの設置: 車椅子や歩行器での出入りをスムーズにします。ただし、設置にはある程度のスペースが必要で、勾配は1/12(約5度)以下が目安です。
式台の設置: 上がりかまちの段差を二分割し、一歩あたりの負担を減らします。
引き戸への交換: 軽い力で開閉でき、開けた扉が通行の邪魔になりません。気密性や遮音性が開き戸より若干劣る場合があります。
廊下・階段
手すりの設置: 階段の上り下りや廊下の歩行を安定させます。直径32~36mm程度の握りやすいものが推奨されます。
段差の解消: 部屋の入口にある敷居の撤去などで、つまずきの原因を取り除きます。マンションの場合、床の構造によっては施工できないこともあります。
足元灯(フットライト)の設置: 夜間のトイレなど、暗い中での安全な移動を確保します。
滑り止め対策: 階段や滑りやすい床に滑り止めを施し、転倒リスクを低減します。
トイレ
和式から洋式への交換: 膝への負担が大きく減り、立ち座りが格段に楽になります。
手すりの設置: L字型や可動式で立ち座りをしっかりサポートします。便器との距離や高さを利用者に合わせることが重要です。
引き戸への交換と入り口の拡張: 車椅子での出入りや、介助者が一緒に入るスペースを確保できます。
浴室
手すりの設置: 浴槽の出入りや洗い場での立ち座りなど、一連の動作を安全に行えるようにします。
床材の変更: 滑りにくく、水はけの良い素材に交換することで、転倒事故を効果的に防ぎます。
段差の解消: 出入口の段差をなくし、浴槽のまたぎ高を低くすることで、入浴時の負担を軽減します。
扉の交換: 開閉しやすく、万が一中で倒れても外から開けやすい折れ戸や引き戸が推奨されます。
自分でできることとプロに任せることの境界線
費用を抑えるためにDIYを検討するかもしれませんが、バリアフリーリフォームでは安全性が最優先です。自分でできることとプロに任せるべきことの境界線を正しく理解しましょう。
自分でできる可能性があること
滑り止めテープの貼り付けや、工事不要のセンサーライト、吸盤式の簡易手すりの設置などが挙げられます。ただし、吸盤式の手すりはあくまで体重をかけない補助用と割り切り、過信は禁物です。
必ずプロに任せるべきこと
手すりの本格的な設置、段差の解消、水回りのリフォーム、扉の交換や間取りの変更などは、必ず専門業者に依頼してください。これらの工事は、建物の構造や強度に関わるため、専門知識なしに行うと非常に危険です。
また、介護保険の住宅改修などの補助金制度を利用する際には、登録された専門業者による施工が必須条件となっている場合がほとんどです。安全確保と制度活用の両面から、プロへの依頼が不可欠と言えます。
効果的にバリアフリーリフォームを行うには、プロの業者に依頼して、専門的なサービスを受けることが推奨されます。プロの持つ専門的な知識と経験値で、確実にバリアフリーリフォームをしてくれます。
熟練の職人による最高級の仕事
「KIREI produce」では、上に紹介したバリアフリーリフォームのサービスを全都道府県で行っており、専門知識を持つ、経験値の高いスタッフを揃えています。
様々なお客様から依頼をいただいており、バリアフリー以外にもリフォームに関する技術と経験・お客様満足度は清掃業界内でも随一という自負を持っています。
常に適正なお見積もりを心掛けていますので、新たにバリアフリーリフォームを考えている方は、ぜひ一度ご相談下さい。
バリアフリーリフォームの費用相場と補助金を賢く活用する方法
リフォームの必要性を理解した上で、次に気になるのが具体的な費用です。この章では、費用相場と、それを支援する補助金制度、そして信頼できる業者の選び方について解説します。
場所別に見るバリアフリーリフォームの費用相場
リフォーム費用は工事内容や使用する建材で大きく変動します。以下は一般的な目安であり、正確な金額は業者からの見積もりで確認してください。
また、工事中に壁の内部や床下の傷みが見つかるなど、予期せぬ追加費用が発生する可能性も考慮しておくと安心です。
- 手すりの設置(廊下・階段)
3万円~15万円
- 手すりの設置(トイレ・浴室)
4万円~12万円
- 室内の段差解消(敷居撤去・スロープ設置)
3万円~25万円
- 扉の交換(開き戸から引き戸へ)
10万円~30万円
- トイレの交換(和式から洋式へ)
20万円~55万円
- 浴室のリフォーム(ユニットバス交換)
80万円~250万円
賢く活用したいリフォームの補助金制度
バリアフリーリフォームには、費用の負担を軽減するための補助金制度が用意されています。
介護保険の「住宅改修費」
最も代表的な制度です。要支援・要介護認定を受けている方が対象で、以下の対象工事に対し、上限20万円までの費用のうち7~9割(所得に応じて変動)が支給されます。
- 手すりの取付け
- 段差の解消
- 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
- 引き戸等への扉の取替え
- 洋式便器等への便器の取替え
- その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
工事後の申請は認められないため、必ず工事前にケアマネジャー等へ相談し、市区町村への事前申請が必要です。
自治体の補助金・助成金制度
多くの市区町村が独自の支援制度を設けています。介護保険とは別に助成が受けられたり、介護認定を受けていない高齢者でも利用できたりする場合があります。
お住まいの市区町村のウェブサイトや高齢者福祉の担当窓口で、「高齢者 住宅改修 助成」などのキーワードで調べてみましょう。
安心して任せられる専門業者の依頼ポイントとは
リフォームの成否は業者選びで決まります。信頼できるパートナーを見つけるためのポイントを解説します。
複数の業者から相見積もりを取る
まずは3社以上から見積もりを取り、費用と工事内容を比較検討します。見積書では、総額だけでなく、「一式」のような曖昧な表記でなく、工事項目ごとに単価や数量が明記されているかを確認しましょう。
バリアフリーリフォームの実績と専門資格を確認する
高齢者向け住宅改修の施工事例が豊富かを確認します。また、「福祉住環境コーディネーター」の資格を持つスタッフが在籍しているかは、専門性の高い提案が期待できるかの良い指標になります。この資格は、医療・福祉・建築の幅広い知識を持つ証です。
コミュニケーションが円滑か
要望や不安を親身に聞き、分かりやすく説明してくれる担当者を選びましょう。良い業者ほど、メリットだけでなく、デメリットやリスクについても正直に説明してくれます。「過去の似たような事例について、工夫した点を教えてください」といった具体的な質問を投げかけてみるのも良いでしょう。
保証やアフターサービスの内容を確認する
工事後の保証制度や、不具合発生時の対応(アフターサービス)の内容を書面で確認してください。「工事が終われば関係ない」という姿勢の業者ではなく、長期的な視点で付き合える業者を選ぶことが、本当の安心につながります。
安全を確保するプロの作業内容とは
信頼できる専門業者は、単に工事を行うだけではありません。一連のプロセスを通じて、利用者の安全と満足を追求します。
まず、契約前に行われるのが徹底した現地調査とヒアリングです。家の状況を見るだけでなく、利用者の身体状況、生活習慣、将来の希望などを細かく聞き取り、一人ひとりに最適なリフォームプランを練り上げます。
次に、その計画に基づき、建物の構造を熟知した職人が確実な施工を行います。特に、手すりを固定するための壁内部の下地補強や、水回りの防水処理など、完成後には見えなくなる部分の作業を丁寧に行うことが、長期的な安全性を確保する上で極めて大切です。
工事中の安全管理や周辺環境への配慮はもちろんのこと、工事完了後には施主立ち会いのもとで検査を行い、使い方やメンテナンス方法を説明します。そして、保証書を発行し、アフターフォロー体制を整えるまでが、プロの仕事です。
バリアフリーリフォームの理由と費用相場・補助金の総括
この記事で解説した、バリアフリーリフォームに関する重要なポイントを最後にまとめます。安全で快適な住まいを実現するために、以下の項目にぜひ目を通して下さい。
自宅を暮らしやすい空間にしたい方にとって、プロの業者に依頼して、専門的なサービスを受けることは検討すべき内容です。
実際に住んでいる方の視点で考えると、自宅の段差がなくなり、安心感が上がる利点は大きいです。
また、バリアフリーリフォームをしっかり行うことによって、お住まいになる方の満足感にも繋がります。
実際に高齢化社会に差し掛かるこれからの時代、バリアフリーリフォームがいかに効果的か、お分かりになったと思われます。
- 高齢者の家庭内事故の約8割は転倒によるもの
- リフォームをしないと転倒リスクが高まり介護負担が増える可能性がある
- 日本の高齢化率は29.0%に達しバリアフリーの必要性が高まっている
- 主な効果は事故防止、自立支援、介護負担の軽減
- 将来の医療費や介護費を抑える予防投資としての側面も持つ
- 手すりの高さや廊下幅など国が推奨する設計標準がある
- 安全に関わる工事はDIYではなく必ずプロの専門業者に依頼する
- 費用相場は手すり設置で数万円から浴室全体の改修で150万円以上まで幅広い
- 正確な費用は複数の業者からの相見積もりで把握する
- 介護保険の住宅改修費は費用負担を軽減する中心的な制度
- 支給限度額は20万円で自己負担は原則1割(所得により変動)
- 利用にはケアマネジャーへの相談と工事前の事前申請が必須
- お住まいの自治体にも独自の補助金制度がないか確認する
- 業者選びは実績、専門資格、提案力、保証体制を総合的に判断する
- 福祉住環境コーディネーター在籍は業者選びの良い指標になる